[管理番号:2675]
性別:女性
年齢:42歳
はじめまして。
昨年11月(中旬)日に左乳癌全摘出をしました。
22×14×14の浸潤癌とLCISの2つの癌がありました。
リンパ転移はマイナスです。
主治医の先生から説明を受けたのですが、ER+、PgR+、HER2-、ki67=5%、NG2、ステージ2Aなどの専門用語がわからず自分の状態が把握出来ていません。
私にも理解出来るように説明していただきたいです。
今年1月(上旬)日 1月(下旬)日 2月(中旬)日 3月(中旬)日に抗癌剤(ドセタキセル、シクロフォスファミド)を行いました。
計4~6回との事でしたが、血液検査の結果、血色素量が8.6だったので4回で終了してしまいました。
LCISは逆の乳房に再発しやすいと聞いたので不安です。
6回やるつもりで4回で終了しても大丈夫なのでしょうか。
サブタイプはわかりません。
今後の再発の確率は何%でしょうか。
そして残り2回抗癌剤を続ければ数字に変化はありますか。
42歳で母子家庭子供4人、一番下の子はまだ3歳です。
再発しない為に、出来る最善の方法を取りたいので先生の御意思をお聞かせ下さい。
お願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
pT2(22mm), pN0, pStage2A, luminalA(Ki67=5%), NG2
なぜ、この病理結果で「術後化学療法」の方針となったのか?理解に苦しみます。
luminalAは「原則、ホルモン療法単独」なのです。
「主治医の先生から説明を受けたのですが、ER+、PgR+、HER2-、ki67=5%、NG2、ステージ2Aなどの専門用語がわからず自分の状態が把握出来ていません。私にも理解出来るように説明していただきたい」
⇒ERとは「エストロゲン受容体」のことでPgRは「プロゲステロン受容体」のことで、(これが陽性+なので)「ホルモン療法が効き易い」ということを意味しています。
これにHER2-(HER2蛋白の過剰発現が無い)ことを加えて「luminalタイプ」と言います。
「luminalタイプ」は「Ki67が低いか高いか」で
①luminalA Ki67低い ホルモン療法単独
②luminalB Ki67高い ホルモン療法+抗ガン剤
♯質問者は①に相当し本来ならば「ホルモン療法単独」が推奨されるべきものです。
Ki67は「細胞分裂期にある細胞の割合」を指しています。
つまり「Ki67=5%」は(質問者の)癌細胞の「僅か5%のみが細胞分裂期=増殖がゆっくり」ということを意味しています。 だから「luminalA(抗ガン剤が効きにくいから)ホルモン療法単独」となるのです。
NGはnuclear grade(核グレード)のことで細胞の「顔つき(核異型)」と「細胞分裂している細胞の数(核分裂)」の2項目から評価します。
(参考に)
「核グレード」は「核異型の点数」+「核分裂の点数」です。
核異型 弱い:1点
中間:2点
強い:3点
核分裂 5個未満(10視野で):1点
5~10個 〃 :2点
11個以上 〃 :3点
核グレード(NG) 核異型の点数+核分裂の点数
2点、3点 :核グレード1
4点 ;核グレード2
5点、6点 :核グレード3
「今年1月(上旬)日 1月(下旬)日 2月(中旬)日 3月(中旬)日に抗癌剤(ドセタキセル、シクロフォスファミド)を行いました。」
⇒何故TC療法をしているのでしょうか?
明らかな「ルミナールA」です。
ホルモン療法単独が通常だと思います。
「LCISは逆の乳房に再発しやすいと聞いたので不安」
⇒勘違いしています。
対側にでるのは「再発ではありません」
あくまでも「全く新規としてでやすい」ということです。
「6回やるつもりで4回で終了しても大丈夫なのでしょうか。」
⇒そもそも「TCをやる事自体が?」です。
ましてや「6回やろうとした」理由が不明です。
☆「若いから」とか、良く解らない理由かもしれませんね(42歳は特別な若年とは言えません)
「サブタイプはわかりません。」
⇒上記の通り、「luminalA」です。
「今後の再発の確率は何%でしょうか。」
⇒8%です。
「そして残り2回抗癌剤を続ければ数字に変化はありますか。」
⇒ありません。
「再発しない為に、出来る最善の方法を取りたいので先生の御意思をお聞かせ下さい。」
⇒低リスクです。
心配ありません。
ホルモン療法(タモキシフェン)を10年続けると「より安心」です。