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リンパ節転移多数の場合のオンコタイプの意義及びレベル2の追加郭清の必要の有無

[管理番号:12930]
性別:女性
年齢:41
病名:みぎ乳がん
症状:
投稿日:2025年07月28日

田澤先生、いつも記事を読んで勉強させていただいています。
思い切ってフォームで質問を送らせていただきます。
このような機会・場に感謝です。

乳がんの手術後の病理結果について、ご相談させてください。

腋窩リンパ節を21個郭清し、**すべてに転移(21/21)**が認められました。
このように多数のリンパ節転移がある場合でも、オンコタイプDXを行う意義があるのかどうか、主治医以外の先生のご意見も伺いたいです。

実は、海外赴任が決まっており、できる限り抗がん剤を避けたいと考えています。
そのため、もともとリンパ節転移が4個以上あっても、自費でオンコタイプDXを受けるつもりでした。
しかし、4~5個程度ならともかく、21個となると本当に意義があるのか疑問を感じております。

また、今回の手術では腋窩レベル1のみの郭清と記載がありましたが、
これほど多数に転移がある(100%)ということは、レベル2まで転移していた可能性もあるのに郭清しなかったということになるのでしょうか。
その場合、追加で手術を検討すべきなのか、それとも放射線でカバー可能なのかも、判断の目安があれば教えていただけますと幸いです。

加えて、アメリカでは針生検の検体を用いてオンコタイプDXを実施することも珍しくないと知りました。
リンパ節転移の数が不明な状態でも、がん細胞の「遺伝子発現解析(オンコタイプDX)」の結果だけで抗がん剤の適否を判断した方(ルミナルB・抗がん剤なし)の話を聞いて、少々混乱しております。

ちなみに、私の術後病理の結果は、針生検時の印象とはかなり異なっているように感じます。
以下に、生検時の所見を添付いたします:

【生検結果】アメリカではないですが海外です。
Right breast mass, ultrasound-guided core needle biopsy:
Proliferative glandular lesion composed of tubules, cords, and rows of epithelial cells in sclerotic stroma.
? A differential diagnosis included sclerosing adenosis vs.
well-differentiated invasive carcinoma.
? No mitoses, high-grade atypia, or lymphovascular invasion
identified.
? Core needle biopsy interpretation was limited; excisional
biopsy was recommended.

【一次病理結果】
1. 組織型:浸潤性乳管癌(いわゆる硬性型)
2. WHO分類:Invasive carcinoma of no special type
3. 大きさ:顕微鏡的(浸潤部 70×95×30mm)
4. 切除標本の面所見:f, s(真皮まで)
5. 脈管侵襲:ly3+v0
6. 腋窩リンパ節:Level I(21/21)
7. 組織学的グレード分類:腺管形成スコア3、核異型スコア2、核分裂像スコア1ですので、組織学的グレード2となります。
8. 水平断端:陰性
9. 体表側断端:陰性
10. 壁側断端:陰性。多くの部位で断端に癌が近接しています。

ご多忙のところ恐れ入りますが、どうぞよろしくお願いいたします。

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

腋窩リンパ節を21個郭清し、**すべてに転移(21/21)**が認められました。
このように多数のリンパ節転移がある場合でも、オンコタイプDXを行う意義があるのかどうか

⇒リンパ節転移4個以上ではOncotypeDXの信頼性に足るエビデンスが無いため、あくまでも「参考レベル」であり「意義はなし」と考えます。

また、今回の手術では腋窩レベル1のみの郭清と記載がありましたが、
これほど多数に転移がある(100%)ということは、レベル2まで転移していた可能性もあるのに郭清しなかったということになるのでしょうか。
その場合、追加で手術を検討すべきなのか

⇒無論、鎖骨下(レベル3)まで郭清すべきでしょう。(失礼ながら、その担当医がそれを出来るとは思いませんが)

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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
(回答が公開されてから2週間後)
2025/8/14
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