[管理番号:12891]
性別:女性
年齢:29
病名:
症状:パクリタキセル投与中の明らかな腫瘍の増大
投稿日:2025年07月15日
いつも拝見しております。
私は、2025年3月(下旬)日に乳がんと診断されました。
診断時は25ミリ、グレード3、Ki67 90%、
エストロゲン受容体2%、プロゲステロン受容体40%、HER2陰性です。
診断時にはリンパ節転移は認められませんでした。
左胸の上部内側にあり、エコー上、楕円形の癌で乳頭からは少し離れているとのこと。
・手術の前に全身の見えない癌を叩いておきたい
・もしも再発したときに使えるか薬の効果が確認したいから
・温存手術に向けて腫瘍を小さくする
という目的で術前化学療法を行うことになりました。
ウィークリーパクリタキセル→ECのレジメンです。
記事を拝見すると、田澤先生の治療方針とは異なるものだと思います。
4月(下旬)日からウィークリーパクリタキセルを開始し、
6月(上旬)日にパクリタキセルが半分終わったところでエコーを実施し、25→19ミリへ縮小していました。
しかし、7月上旬頃には胸のしこりが硬く大きくなった感覚があり、
7月14日にエコーをしてもらうと、30ミリで、明らかに増大していました。
パクリタキセルは11回で中断となり、ECを2週間毎に投与することになりました。
治療開始前より腫瘍が大きくなっているのに、上記の理由で術前化学療法を再度勧められました。
ECも効かない可能性があることを考えると、再発したときのことを考えるより
今、早く癌を取り除いたほうがいいのではないかと思いました。
ECが効くか効かないかを待っている間にまた癌が大きくなったり、リンパ節へ転移してしまうのではないかと心配です。
また、パクリタキセルに治療抵抗性があったということと予後は関与しますか?
再発リスクの高い癌と聞いていますが、部分切除を勧められています。
局所再発のリスクを減らすなら腫瘍はそこまで大きくないのかもしれませんが全摘したほうがいいのではと考えています。
田澤先生のご意見を伺いたいです。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
患者さん自身が「効かない場合に、増大するかもしれない心配(恐怖)」があるというのに、術前抗がん剤を「押し付ける」ことは決して許されることではありません。
万が一(そのECが効かなかった場合)「手術不能となるリスクや、効かない抗癌剤を行っている間に転移してしまうリスク」を負うのは患者さん自身であり、その医師にとっては他人事なのでしょう。(自分の方針にしがみつくばかりに)
ECも効かない可能性があることを考えると、再発したときのことを考えるより
今、早く癌を取り除いたほうがいいのではないかと思いました。
⇒それは正しい感覚です。
ECが効くか効かないかを待っている間にまた癌が大きくなったり、リンパ節へ転移してしまうのではないかと心配
⇒無論、そのリスクがあるのです。
そもそも抗癌剤は「術前術後、いつやっても予後は一緒」なのだから「術前にしがみつく」意味がありません。
この場合には素直に負け(方針の誤り)を認めて、「大事に至る前」に方針返還すべきです。
また、パクリタキセルに治療抵抗性があったということと予後は関与しますか?
⇒それは考えすぎです。
再発ありきで考えること自体、誤りです。
大事なことは再発しないように、きちんと取り除くことです。
再発リスクの高い癌と聞いていますが、部分切除を勧められています。
局所再発のリスクを減らすなら腫瘍はそこまで大きくないのかもしれませんが全摘したほうがいいのではと考えています。
田澤先生のご意見を伺いたいです。
⇒手術先行でなら、当然腫瘍も小さく温存手術で何ら問題無かったと思いますが、
「腫瘍を増大させている」状態での純緊急手術では全摘の方が安全とも思います。
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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
(回答が公開されてから2週間後)
2025/7/31
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質問者様から 【質問2】
術後の補助療法について
性別:女性
年齢:29歳
病名:
症状:
投稿日:2025年08月29日
先日は丁寧に回答してくださりありがとうございました。
8月に全摘手術を行いました。ただいま病理検査の結果待ちです。
9月からEC療法を予定しています。
手術について、主治医には温存手術を提案されましたが、
少しでもリスクを下げたい気持ちで全摘を選択しました。
診断時の腋窩リンパ節の細胞診は問題ないとのことでしたが
エコーやCTでは腫れているように見えたため、11個リンパ節を切除し、検査したそうです。
術中の迅速検査では腋窩リンパ節への転移はなしと判断されました。
診断時の針生検の結果
ER2% PgR42% HER2+1 Ki67 90% グレード3
腫瘍サイズ25ミリ→パクリタキセル施行中に30ミリへ増大
針生検と手術の病理検査でサブタイプが変わる場合がある、
トリプルネガティブに変わる可能性があると聞きました。
これまで何度も再発リスクが高い、と言われてきましたが
トリプルネガティブに転じたとすれば、再発リスクが高いはずなのにEC終了後は治療の選択肢がないと思うので、心配です。
リンパ節転移がないので再発リスクが低下したと思い、ECが終了したらやることはやったから安心して経過観察、で良いのでしょうか。
腫瘍が途中で大きくなっているので、ECしかやっていないのと同じではないかと思い不安です。
田澤先生と同じくゼローダは保険外診療なので実施しない方針の病院です。
また、ルミナルBのままだとしたら、ホルモン療法を実施しますが
エストロゲン受容体2%と低値のため効果に期待できないかも、と言われています。
プロゲステロン受容体の値はホルモン療法の効果に影響しないのでしょうか。
TS-1は適用になりますが、これもホルモン受容体が強陽性のほうが効果を期待できる、
と説明を受けています。
私にばっちり合った治療の選択肢がなく、不安です。
ホルモン受容体が弱陽性の乳がんに対する薬が今後開発されたらいいな、と考えたりもしています。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
診断時の針生検の結果
ER2% PgR42%
→ER陽性PgR陰性はありますが、ER陰性PgR陽性は少々疑ってかかる(実際はERも陽性かもしれない)べきとかつては言われていました。
いずれにせよ担当医のいうように「針生検と手術の病理検査でサブタイプが変わる場合がある」ことは(術前抗がん剤施行しているので、通常よりも)可能性は高くなります。
「トリプルネガティブに変わる可能性がある」のと同様に「ERが強陽性となる可能性もある」わけなので、慌てずに確認しましょう。
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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
(回答が公開されてから2週間後)
2025/9/15
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