Site Overlay

若年性乳がん、脇のリンパ節への転移強。全摘後の治療について

[管理番号:11603]
性別:女性
年齢:34
病名:乳がん
症状:
投稿日:2024年02月13日

田澤先生、はじめまして。

先日右胸全摘、リンパ郭清の手術を終えました。

たまたま行った健康診断でひっかかり
2023年5月から近所の乳腺外科クリニックに通っておりましたが良性の石灰化ということで
三ヶ月ごとの経過観察をしていたのに結局2023年
12月脇のリンパにまで転移してる状態でガン確定となってしまいました。
もっとこのサイトに早く出会っていれば石灰化の時点で生検を無理矢理でもしていた

と、悔まれますが現実を受け入れて前に進んでいます。

確定以降は病院を変え、
有名なガン専門病院で
手術をしていただきました。

術前診断では胸のがん細胞が
一番大きいものでも
8mmほど。乳頭の真下あたりに広範囲に広がってしまって
いるとのことで全摘。
脇のリンパには2cmほどのものが2つありました。
(術前の生検ではER陽性100% PR陽性100%
HER2陰性スコア0)

術後説明では、「脇のリンパにもう少し炎症が見られた。」と先生はおっしゃっていました。
具体的な数字は聞きませんでした。
「炎症が癌とも限らない。病理検査後リンパの転移数でステージが変わる可能性がある」とのことで、当初はステージ2Aと
言われていたのが2Bか3Aになる可能性とのことでした。
シコリの大きさは2cm以下だと思うが、脇のリンパ節への転移が強いと見られてるようです。

オンコタイプdxをしますか?と質問したところ
病理の結果を見て明らかに必要なければしません。
必要あればしますとおっしゃっていました。
抗がん剤をするかしないかも
結果を見て一緒に決めていきましょうと。
(ベテラン主治医)

ですが同じチームの若い先生には術後の回診で
「リンパ節転移が1つでもあり、閉経前の方にはオンコタイプdxはしません」と言われました。抗がん剤も必須です。と。
同じチーム内で意見が違っていることに疑問を持ちました。

転院してから一番初めの診察はこちらの抗がん剤絶対派のお若い先生でした。
そのときの説明では術前に抗がん剤をしてから手術という話しをされました。

主治医が現在のベテランの先生に確定してから手術が先という判断に変わりました。
カンファレンスの結果、
抗がん剤2種類はやりすぎの可能性があるので先に手術をすることになりましたとのお話しでした。
こちらのサイトを拝見していたので手術が先になったことは安心しました。
今回も病理検査後にカンファレンスで結論を決めるとは思うのですが、意見が割れているようなので心配です。
現在の主治医の考え方が私も納得できます。
閉経前だからとか、リンパに
1個でも転移してるからと最初からオンコタイプdxもせず、
根拠のない抗がん剤はしたくありません。

①主治医は病理検査の結果明らかに必要ないと判断すればオンコタイプdxしないと言っていたのでリンパ転移が多数であればしないという意味に受け取ったのですが、田澤先生はリンパ節転移何個以上だとオンコタイプdxをおすすめしないですか。

②主治医からは進行がゆっくりの癌と話しをされていたのでルミナールAなのかな?と勝手に思っていたのですが、
なぜ原発巣もまだ小さく(クリニックでも半年間癌と判断されなかった)進行がゆっくりな癌だったのに脇のリンパの方が大きく、そして強く転移してしまったのでしょうか。
田澤先生の経験からこのような癌はルミナールAでも予後が悪いでしょうか。

③主治医から分子標的薬の話しもチラッとあったのですが
ルミナールAに効く分子標的薬はあるのでしょうか。

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

①主治医は病理検査の結果明らかに必要ないと判断すればオンコタイプdxしないと言っていたのでリンパ転移が多数であればしないという意味に受け取ったのですが、田澤先生はリンパ節転移何個以上だとオンコタイプdxをおすすめしないですか。
⇒明確に基準があるのです。
4個以上は適応外です。(逆にいうと3個以内なら「是非」行いましょう)

②主治医からは進行がゆっくりの癌と話しをされていたので
ルミナールAなのかな?と勝手に思っていたのですが、
なぜ原発巣もまだ小さく(クリニックでも半年間癌と判断されなかった)進行がゆっくりな癌だったのに脇のリンパの方が大きく、そして強く転移してしまったのでしょうか。
田澤先生の経験からこのような癌はルミナールAでも予後が悪いでしょうか。

⇒考えすぎ

③主治医から分子標的薬の話しもチラッとあったのですが
ルミナールAに効く分子標的薬はあるのでしょうか。

⇒abemaciclibのことです。(今週のコラムで「その適応」について確認しましょう)

***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2024/2/23
***

質問者様から 【質問2】

病理の結果が出ました
性別:女性
年齢:34
病名:
症状:
投稿日:2024年03月15日

病理検査の結果が出ました。
浸潤がん:13mm
リンパ節転移有:3個(12mm 3mm 5mm)
Ki-67:30
脈管侵襲:中等度
核異型度:2
HER2:1+
ステージIIA
でした。

抗がん剤治療、ホルモン治療、分子標的治療、
放射線治療のフルコースを勧められています。

前回、オンコタイプDXをしたいという話しは主治医に伝えているというお話しはしま
したが、適応があればやるとのことだったのでリンパ節転移が
3個以下ならやるし、4個以上ならやらないということなのだろうと理解していました。

やっと病理検査が出たのですが、リンパ節転移が3個だったにも関わらず、
年齢が若いこととリンパ節転移があったことから
オンコタイプDXの適応がないと説明がありました。

主治医は寄り添ってくれる方なので、
「ホルモン治療と放射線治療は必ずした方がいいが
抗がん剤治療は人によって考え方が違うと思うので
◯◯さんが決めたことが一番
正しい治療法だ。」
とおっしゃってくださいました。

それならオンコタイプDXした方がいいのでは…と思ったのですが、病院の標準的な方針が若くてリンパ節転移がある人にはオンコタイプDXしない方針なのか適応はないという言い方でした。
「提出してはいけないわけではないので、もちろん提出してもいいが結局抗がん剤した方がいいという結果が出ると思います」
とおっしゃっていました。

①オンコタイプDXをしたいのですが、若いから、リンパ節転移があるからエビデンスに乏しいということはないですよね?

②既に術後1ヶ月半経過しておりオンコタイプDXの結果を待っている期間なにも治療しないのも不安です。
放射線治療あるいはホルモン治療を先にしても良いのでしょうか。

③サブタイプが難しいところではあるがルミナールAに近いルミナールBだと言われましたが田澤先生もルミナールBだと 思われますか?

④抗がん剤による体へのダメージは抗がん剤が終われば完全に元に戻るものなのでしょうか。
例えば髪も生えてはくるが、
元の髪とは違う髪質だったり薄くなったという例も聞きます。
このように体の至る場所で生活するには問題ない程度に
ダメージの後遺症は残る可能性があるのでしょうか。

⑤癌の大きさは小さいですが リンパ節に転移があることから、長い年月体の中に癌があったと考えられますか?
それともたまたま運悪くリンパ管に入って転移しただけというように思われますか?

長々と申し訳ございません。
よろしくお願いいたします。

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

抗がん剤治療、ホルモン治療、分子標的治療、
放射線治療のフルコースを勧められています。

⇒ちょっと、待った!
まずは、「今週のコラム321回目 abemaciclib 術後補助療法参上!再発治療とは異なりインパクト特大!です」もしくは、ネットで「abemaciclib(ベージニオ)」の添付文章 をお読みください

主治医のいう「分子標的治療」とは(前回、回答したように)abemaciclibのことだ
とすると(それ以外は、ありえませんが)適応は
1.リンパ節転移4個以上
2.リンパ節転移1から3個かつ①腫瘍径5cm以上、または②組織学的グレード3

質問者は「核異型度2」しか記載がありませんが、(もしもabemaciclibの適応があるとすれば)上記2の②つまり組織学的グレードが3でないと「適応外」となります。
★組織学的を確認し、2以下であれば適応外となります。(要確認)

提出してもいいが結局抗がん剤した方がいいという結果が出ると思います
⇒何を根拠に「こんなこと」言っているのか?
いくら「リンパ節転移があれば抗癌剤したい」とその医師が信念を持っていたとしても(それ自体問題だと思いますが)、OncotypeDXの結果を予想する根拠がありません。

①オンコタイプDXをしたいのですが、若いから、リンパ節転移があるからエビデンスに乏しいということはないですよね?
⇒その通り

②既に術後1ヶ月半経過しておりオンコタイプDXの結果を待っている期間なにも治療しないのも不安です。
放射線治療あるいはホルモン治療を先にしても良いのでしょうか。

⇒それは無論構いません。

③サブタイプが難しいところではあるがルミナールAに近いルミナールBだと言われましたが田澤先生もルミナールBだと 思われますか?
⇒いい加減な…
OncotyepDXして「low riskならluminalA」そうでなければluminalBとなります。(結果を待ちましょう。

④抗がん剤による体へのダメージは抗がん剤が終われば完全に元に戻るものなのでしょうか。
例えば髪も生えてはくるが、
元の髪とは違う髪質だったり薄くなったという例も聞きます。
このように体の至る場所で生活するには問題ない程度に
ダメージの後遺症は残る可能性があるのでしょうか。

⇒「元の髪とは違う髪質だったり薄くなったという例」まで入れてしまえば、全く同じというわけではありません。

⑤癌の大きさは小さいですが リンパ節に転移があることから、長い年月体の中に癌があったと考えられますか?
⇒考えすぎです。

それともたまたま運悪くリンパ管に入って転移しただけというように思われますか?
⇒そう思います。

***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2024/3/25
***