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再びの血性分泌

[管理番号:11538]
性別:女性
年齢:32
病名:
症状:
投稿日:2024年01月12日

一旦止まった血性分泌が再開した。乳管造影をしてもらいたいですが、様子を見るべきか。血性分泌があり、12月16日に上京し、先生に診ていただいた者です。丁寧に診ていただきありがとうございました。その後状況に変化がありましたので、再度様子を見るべきなのか迷っています。

半年前に授乳を終え、そこから毎日絞ると龍馬な数滴ほど母乳が出る程度です。11月末に一週間ほど左胸から血性分泌が続き(鮮血~茶黒)、先生にエコーで見ていただいた際には、血性は止まっていましたが、陥没乳首による出血だろうとおしゃって頂きました。その後軽く絞り確認をしていましたが、一昨日また出血がありました。
(生理最終日でした)絞ると鮮血が出ます。本日もまだ続いています。出血しているのは同じ穴です。これもまた陥没乳首による出血と考えて良いのでしょうか。陥没による出血は繰り返すことがありますか?本当の悪性のものであれば、繰り返すことではなく、あくまでも持続性がポイントということは理解していますが、何度も繰り返すので不安です。

また先生のコラム、Q&Aを見ていて疑問が出てきました。がんの場合、出血しやすいので血性分泌が毎日のように出る、増えるとのことですが、まだ小さい段階の場合(エコー等でうつらないような段階の病変)は、止まったり出たりを繰り返すこともありますか?ある程度大きくならないと、または出血が増えるような段階にならないと判断がつかないということでしょうか。
また乳がんのほとんどが乳管から発生し、大きくなりしこりをつくるとのことですが、がんは出血しやすいから血性分泌になるのに、血性分泌がない、ほとんどない人がいるのはどうしてでしょうか?

勉強不足な点がございましたら申し訳ありません。どうぞ宜しくお願いいたします。

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

皆さん「血性」に敏感になりますが(私がしばしばQAで回答するように)注目すべきは「量と継続性」です。
私が診察して「乳管造影が必要(=乳管内病変が原因である可能性が高い)」と判断するのは(血性かどうか?)ではなく、その「分泌量と継続性」なのです。

血性であることが「癌の可能性が高い」というのは、(皆さん誤解されていますが)
あくまでも「分泌量と継続性があった上(=乳管内病変)」での話であり、「量と継続性のない血性は病変とは無関係(陥没乳頭や生理によるもの)」であることが圧倒的に多いのです。

***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2024/1/23
***

  

質問者様から 【質問2】

血性分泌、今後の検査について
性別:女性
年齢:33
病名:
症状:血性分泌
投稿日:2024年08月23日

先生お世話になっております。
ID ○○で、先生に血性分泌を見ていただいた者です。
陥没乳首による炎症の出血という診断で、あれから経過をみておりました。出血は絞れば出てくる状況が続いています。
現在アメリカに住んでおり、こちらでもかかりつけ医を持ちたいという考えから乳腺外科を受診したところ別の所見が見つかりました。

エコー、マンモは異常なし。造影MRIで、薄く映る部分があり、異常所見。明らかなしこりはなく、とにかくこの異常な病変が広範囲であること(5×6×8.3cm)。出血の乳管とは関係ないところ、もしくは一部かかっているところにあると言われています。

RIGHT breast: There is a wedge-shaped area of non masslike enhancement with persistent enhancement kinetics, extending from the nipple to the chest wall in the upper inner quadrant of the right breast 6 cm in cephalo caudal extent, 5 cm in transverse, and 8.3 cm from nipple to apex of the glandular tissue near the chest wall that is suspicious and warrants biopsy. ?No other suspicious areas of enhancement in either breast.

ホルモン異常か、異常細胞の増殖か(がん?)の可能性をおっしゃっていました。
この後はMRIガイド下生検でこの異常範囲の細胞をとる予定です。放射線医が難しいと判断したら、切開による生検を行うと言われています。

質問は、
①この生検は先生から見て妥当か、先生ならどんな診察をされますか。そもそもしこりがないのに、何を生検するのでしょうか?

②先生のQ&Aを拝見したところ、乳管内乳頭腫であれば、生検を行うことにより連続した乳管が切断され、乳管腺葉区域切除術ができなくなると学びました。(間違っていたらごめんなさい)せっかくの分泌を無駄にしたくない思いがあります。先生は、陥没乳首だと乳管造影できないとおっしゃっていたとおもいますが、乳管腺葉区域切除術も同じく陥没乳首だと出来ないのでしょうか。

③このようなMRIでの広範囲の異常所見は、どのような病気が考えられるのでしょうか。しこりを作らない広範囲の異常ということで、小葉がんなのでは無いかと不安です。広範囲のがんなのでしょうか。エコーマンモで映らない時点で、初期と考えていいですか?

どうぞ宜しくお願いします。

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

MRIはあくまでも拡がりを見るための検査です。(診断目的ではありません)
MRIで所見があっても、(その部位を)超音波して異常所見がなければそれは放置でよいし、(その部位に)超音波で所見があれば、その部位を「超音波ガイドで」生検すればいいのです。

①この生検は先生から見て妥当か、先生ならどんな診察をされますか。そもそもしこりがないのに、何を生検するのでしょうか?
⇒冒頭のコメント通り。
超音波所見が無ければ生検の必要はありません。

②先生のQ&Aを拝見したところ、乳管内乳頭腫であれば、生検を行うことにより連続した乳管が切断され、乳管腺葉区域切除術ができなくなると学びました。(間違っていたらごめんなさい)せっかくの分泌を無駄にしたくない思いがあります。
⇒勘違いしていますね!
 そもそも私が「陥没乳首による炎症の出血という診断」をしているのだから、その分泌を気にする事はないし「乳管内病変でもない」ですよ。

③このようなMRIでの広範囲の異常所見は、どのような病気が考えられるのでしょうか。しこりを作らない広範囲の異常ということで、小葉がんなのでは無いかと不安です。広範囲のがんなのでしょうか。エコーマンモで映らない時点で、初期と考えていいですか?
⇒小葉癌であれば「エコーで解る」ので、エコーで所見がないのであれば心配はありません。

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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2024/9/2
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質問者様から 【質問3】

DCISの治療について
性別:女性
年齢:33
病名:DCIS
症状:
投稿日:2024年09月20日

ID ○○
先生お世話になります。
あれから外科的生検を受け、残念ながらDCISとの診断になりました。
かなりショックですが、先生よく仰ってるターニングポイント!諦めずに診断までこぎつけることが出来て本当に良かったです。頑張ります。

A:Right nipple duct B:Right breast excision upper inner quadrant Gross
Description: Specimen A: \”Right nipple duct\” consists of a 2.5 cm lateral-medial by 1.6 cm x 1.3 cm superficial to deep piece of fibrofatty tissue, received orient ed with sutures as: Short stitch = superior, long stitch = lateral, double stitch = deep. The margins are inked: Black = deep, orange = superficial/anterior, blue = superior, green = inferior.
Serially sectioned from lateral to medial into 6 slices of 0.42 cm average thickness. Entirely submitted labeled as follows: A1 = entire slice 1 – perpendicular lateral margin A2 = entire slices 2 and 3 A3 = entire slices 4 and 5 A4 = entire slice 6 – perpendicular medial margin Specimen B:\\\”Right breast excision upper inner quadrant\\\” consists of a 7 g, 3.4 cm lateral-medial x 2.8 cm superior-inferior x 1.4 cm superficial-deep fibrofatty tissue fragment received oriented with sutures as: Short stitch = superior, long stitch = lateral, double s!
titch = deep. The margins are inked: Black = deep, orange = superficial/anterior, blue = superior, green = inferior. Serially sectioned from lateral to medial into 7 slightly uneven slices of 0.49 cm average thickness. No discrete masses are i dentified. Entirely submitted labeled as
follows: B1-B2 = entire slice 1 – perpendicular lateral margin B3 = entire slice 2 B4 = entire slice 3 B5 = entire slice 4 B6 = entire slice 5 B7 = entire slice 6 B8 = entire slice 7 – perpendicular medial margin Microscopic Description: A. Right nipple duct: Sections were examined microscopically and the findings are consistent with the diagnosis.
Immunohistochemistry was performed to evaluate the lesion. On the E cad/p120 combination immunostain, the results are consistent with ductal carcinoma.
On the breast combination immunostain, CAM 5.2 highlights the epithelial structures, which appear positive for the myoepithelial markers, SMM and p63. No definitive invasive carcinoma is seen. An E!
R/CK5 combination immunostain was performed to evaluate the i!
nferior margin, which shows no definitive involvement of the inferior
margin by carcinoma. B. Right breast excision upper inner quadrant:
Sections were examined micro scopically and the findings are consistent with the diagnosis. Immunohistochemistry was performed to evaluate the lesion. On the E cad/p120 combination immunostain, the results are consistent with ductal carcinoma. On the breast combination immunostain, CAM 5.2 highlights the epithelial structures, which appear positive for the myoepithelial markers, SMM and p63. No definitive invasive carcinoma is seen.
Representative slides of both parts have been reviewed in the daily consensus conference with agreement of the above findings.Synoptic Comment:
A. Right nipple duct: SPECIMEN Procedure: Excision (less than total
mastectomy) Specimen Laterality: Right TUMOR Tumor Site: Nipple duct Histologic Type: Ductal carcinoma in situ Size (Extent) of DCIS: Estimated size (extent) of DCIS is at least (Millimeters): 2.!
08 mm Nuclear Grade: Grade II (intermediate) Necrosis: Present, central (expansive \\\”comedo\\\” necrosis) MARGINS Margin Status: DCIS present at margin Margin(s) Involved by DCIS: Superior: 0.5 mm REGIONAL LYMPH NODES Regional Lymph Node Status: Not applicable (no regional lymph nodes submitted or found) PATHOLOGIC STAGE CLASSIFICATION (pTNM, AJCC 8th Edition) pT Category: pTis (DCIS) pN Category: pN not assigned (no nodes submitted or
found) – B. Right breast excision upper inner quadrant: SPECIMEN
Procedure: Excision (less than total mastectomy) Specimen Laterality: Right TUMOR Tumor Site: Upper inner quadrant Histologic Type: Ductal carcinoma in situ Size (Extent) of DCIS: Estimated size (extent) of DCIS is at least
(Millimeters): 3.4 mm Nuclear Grade: Grade II (intermediate) Necrosis:
Present, central (expansive \\\”comedo\\\” necrosis) MARGINS Margin Status:
DCIS present at margin Margin(s) Involved by DCIS: Anterior: 2 mm Superior:
0.5 mm REGIONAL LYMPH NODES Regi!
onal Lymph Node Status: Not applicable (no regional lymph nodes submitt!
ed or found) PATHOLOGIC STAGE CLASSIFICATION (pTNM, AJCC 8th Edition) pT
Category: pTis (DCIS) pN Category: pN not assigned (no nodes submitted or
found)
外科的生検の結果です。
先日のMRIの所見はホルモンの影響と、DCISの所見だったようです。

外科的生検は血性分泌の乳頭に近い部分と、非腫瘍性病変疑いの範囲をとりました。
どちらもDCISがあり、乳管も違うようでした?

質問は、
①部分切除と全摘の2オプションありましたが、安全策をとって全摘を選択します。
センチパネル生検を同時にやります。日本では術中に陽性、陰性判定をすると思うのですが、それをせず後日結果が分かるようです。(陽性の場合)術中に行えない場合、手術をもう一度しなければならない以外のデメリットはありますか?

②全摘に種類はありますか?コラム86回目の「このようにすれば、全摘で深部側断片が陽性となることはないのです。」が自分の状況に当てはまるのかか理解できないでいます。

③やはり浸潤、転移が怖いです。MRIの所見と、このDCISの結果からみてどれぐらい浸潤性がんの可能性がありますか?
またリンパ節転移の可能性はどれくらいでしょうか?

どうぞ宜しくお願いします。

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。

診断がきちんとできて大変良かったです。
非浸潤癌で治療をすれば再発超低リスク(最終的に手術病理での確定となりますが、
外科的生検での非浸潤癌の診断は針生検とは異なり術後病理で診断がひっくり返ることは極めて少ないことは事実です)というか、ほぼ根治と言えます。

①部分切除と全摘の2オプションありましたが、安全策をとって全摘を選択します。
センチパネル生検を同時にやります。日本では術中に陽性、陰性判定をすると思うのですが、それをせず後日結果が分かるようです。(陽性の場合)術中に行えない場合、手術をもう一度しなければならない以外のデメリットはありますか?

⇒そのデメリット(手術が2回になる)だけです。

②全摘に種類はありますか?コラム86回目の「このようにすれば、全摘で深部側断片が陽性となることはないのです。」が自分の状況に当てはまるのかか理解できないでいます。
⇒非浸潤癌なのだから、「乳腺に切り込まない」限り深部断端陽性とはなりません。
大学病院の研修医だと怖いですが…

③やはり浸潤、転移が怖いです。MRIの所見と、このDCISの結果からみてどれぐらい浸潤性がんの可能性がありますか?
⇒冒頭でコメントしたように…
外科的生検での診断なので、「ほぼ無い」と思います。

またリンパ節転移の可能性はどれくらいでしょうか?
⇒これも同様、ほぼ無いでしょう。

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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2024/10/1
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