[管理番号:9346]
性別:女性
年齢:48歳
病名:左乳房下外側部乳癌
症状:
投稿日:2021年4月23日
田澤先生
初めてメールさせていただきます。
3月末に左乳房下外側部乳癌の部分摘出手術を行いました。
病理診断の結果、断端陽性ということで、主治医から追加手術を勧められました。
再度、部分摘出という選択もあるようですが、私としては不安要素を残すのが嫌なので、全摘手術を行い、同時再建をしようかと考えています。
手術をしていただく時期について、田澤先生のお考えを伺いたく、質問させていただきます。
病理診断の結果は以下の通りです。
Breast:Invasive ductal carcinoma, scirrhous type.
ER,PR:positve immunoreactivity
HER-2 score(1+):weakly positive
【病理所見】
ER positive 70%以上の細胞に明らかな陽性像
PR positive 70%以上の細胞に明らかな陽性像
HER2 score(1+)
HER2判定基準(1+腫瘍組織のHER2陽性細胞が10%以上みられるが、腫瘍細胞膜に不均一ないし軽度の陽性像を示す)
Ki67 15%
摘出乳腺組織には、N/C比の増大を示す異型細胞の索状、一部小管状の浸潤性増殖を示す、scirrhour typの増生の優位なinvasive ductal carcinomaがみられます。
篩状増生を主体とするduct内病変が観察されます。
病変全体の広がりは約40×12×55mmで浸潤病変は約8×6×8mmです。
切除端は、側方の一部で、0.1~0.2mmに達する部分が認められます。
背景の乳腺には、adenosisや部分的な腺の拡張、lobular hyperplasiaなどが観察さ
れ、一部にはADHもみられます。
HG score2(腺腔)+2(異型)+1(分裂)
以上が病理診断です。
①このタイプの癌はルミナールA、全摘手術をした場合、ホルモン治療のみで大丈夫でしょうか?
ホルモン治療は5年と言われております。
②先生のお考えでも、追加手術は必要だと思われますか?部分摘出、全摘、どちらがよいと思われますか?
また、全摘をした場合、放射線治療は必要ないと考えてよろしいでしょうか?
③仕事の都合上、手術を7月中旬くらいに受けたいと考えております。
この時期が一番お聞きしたいところで、3か月先でも大丈夫でしょうか?
先生の今までの回答を拝見しておりますが、このタイプの癌は比較的顔つきがよいものだとは考えおります。
主治医の先生も、それくらい先でも大丈夫と言っていただいておりますが、田澤先生のお考えをお聞かせいただけますか?
大変お忙しい所、申し訳ありません。
主治医以外の先生のご意見も伺いたく、また、こちらの乳がんプラザの田澤先生のお答えに、もやもやと感じていることがとても明確になります。
どうぞよろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは田澤です。
「①このタイプの癌はルミナールA、全摘手術をした場合、ホルモン治療のみで大丈夫でしょうか?
ホルモン治療は5年と言われております。」
⇒その通りです。
「②先生のお考えでも、追加手術は必要だと思われますか?」
⇒それが安全ですね。
「部分摘出、全摘、どちらがよいと思われますか?」
⇒質問者の意思を尊重(全摘)でいいのでは?
「また、全摘をした場合、放射線治療は必要ないと考えてよろしいでしょうか?」
⇒それは当然です。
「③仕事の都合上、手術を7月中旬くらいに受けたいと考えております。
この時期が一番お聞きしたいところで、3か月先でも大丈夫でしょうか?」
⇒全く問題ありません。
質問者様から 【質問2 】
断端陽性の追加手術の時期について
性別:女性
年齢:48
病名:
症状:
投稿日:2021年4月30日
田澤先生
本日はご回答いただき、ありがとうございました。
先生のご回答をいただく前に、主治医の先生の診察があり、切除端が陽性であったのか、再度確認をしました。
前回の診察で、「断端陽性」という言葉がなかったのですが、追加切除をした方が安心かも、と言われ、私はてっきり「断端陽性」かと思っていたのですが、「陽性とまでは言えない」ということを言われました。
主治医の先生もご判断に迷うようで、「放射線治療という選択もあるけども、憂を無くすのであれば追加切除をした方が…」と言われ、放射線治療でも根治の可能性があるのなら、そちらをまずやってみたい、と考えるようになりました。
田澤先生にデータを見ていただき、ご意見をお伺いしたいと思い、セカンドオピニオン外来を予約させていただきました。
今後の治療について、ご相談させていただければと思います。
取り急ぎ、お礼まで。
どうぞ宜しくお願いいたします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは田澤です。
「「陽性とまでは言えない」ということを言われました。
主治医の先生もご判断に迷う」
⇒この内容であれば、「当科」ではなく、「病理の」セカンドオピニオンの方がいいのでは?
ご参考に。
質問者様から 【結果3 】
病理診断結果(管理番号9346)
性別:女性
年齢:48歳
病名:左乳房乳癌
田澤先生の診察:[診察あり]
田澤先生の手術:[手術なし]
田澤先生
先日の病理セカンドオピニオンでは大変お世話になり、ありがとうございました。
断端陽性かどうかの診断と、今後の治療方針について、先生にお聞きして本当によかったです。
断端陽性ということでしたが、治療方針を3つ提示していただき、放射線治療を選択しました。万が一局所再発しても、早い段階でその時に全摘をすれば予後は一緒である、ということを明確にしていただき、自分の治療方針を決めることができました。
その後、主治医の先生にも放射線治療でということをお伝えし、これから治療を始める予定です。
こちらの乳癌プラザで、むやみに恐れなくても大丈夫だということを教えていただきました。
もちろん、局所再発、遠隔転移という可能性は0にはなりませんが、気をつけて検査し、万が一再発しても早い段階で見つけるという覚悟が自分の中でできました。なぜ自分が乳癌になったのか、落ち込み涙が溢れていた時期もありましたが、前向きに生きていかなければと思っています。
長くなりましたが、本当にありがとうございました。
今後も乳癌プラザで勉強させていただきます。
<Q&A結果>
質問者様から 【質問4 】
両側異時性乳がんについて
性別:女性
年齢:48
病名:
症状:
投稿日:2021年8月25日
田澤先生
先日は病理診断と今後の治療についてご相談させていただき、ありがとうございました。
6月に先生とお話しさせていただき、さあ放射線治療を始めようと思っていた矢先に、また新たな癌が見つかってしまい、先生に今後の治療について、再度ご質問させていただきます。
8月から左胸の照射予定でしたが、その前にエコーで両胸を検査していただいたところ、右胸に影が見えるということで生検していただきました。
通院中の某医大では、「異型腺管が小範囲のため診断の確定が難しく、すくなくともADHは考えられる所見で、
DCISの一部である可能性も否定できない」という診断でした。
主治医の先生が、自分のところでは確定診断が難しいので、乳腺病理診断科のクリニックに出してくださったところ、DCISという診断でした。
某医大の病理診断は、Atypical glands, see description.biopsy
クリニックの病理診断は、Noninvasive carcinoma of the right breast,needle biopsy.です。
先生にお聞きしたいのは、
①この結果はDCISということで間違いないでしょうか?
②両側乳がんということであれば、遺伝子検査を受けた方がよい
とお考えになりますか?
③両側の場合、左は部分摘出しましたが、今後の再発を考え、両
胸全摘が一番ベストな治療方法でしょうか?
この場合、乳頭乳輪は残し再建が希望です。
④手術の時期ですが、また数ヶ月先でも大丈夫でしょうか?
仕事の関係で12月中旬以降がベストです。
先生とお話しさせていただき、前向きな気持ちになっていた矢先
にこの結果で、今回はまだ気持ちの整理がつきません。
もちろん、両方とも早期乳がんなので、今回発見していただいた
のはラッキーなことなんだろうな、とも思ってはいるのですが。
お忙しいところ申し訳ありません。
ご教示いただければ幸いです。
どうぞ宜しくお願いします。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは田澤です。
「①この結果はDCISということで間違いないでしょうか?」
⇒その通りです。
「②両側乳がんということであれば、遺伝子検査を受けた方がよい
とお考えになりますか?」
⇒思いません。
そもそもBRACAnalysisの保険適応は
1.再発乳癌
2.対側の予防切除を希望する場合
質問者は上記いずれにも該当しません。(適応外なのに、むやみやたらに「知りた
いから」という理由は慎みましょう)
「③両側の場合、左は部分摘出しましたが、今後の再発を考え、両胸全摘が一番ベストな治療方法でしょうか?
この場合、乳頭乳輪は残し再建が希望です。」
⇒無関係(両側であることとは)
④手術の時期ですが、また数ヶ月先でも大丈夫でしょうか?
仕事の関係で12月中旬以降がベストです。」
⇒それは許容範囲と思います。