[管理番号:2283]
性別:女性
年齢:47歳
術後の病理検査において、
「異形上皮細胞の主として乳管内面ぽう癌様の増殖が見られるが、一部で明らかな周囲への浸潤が見られる。
比較的高度なリンパ球浸潤を伴っている。
腫瘍はごく一部脂肪組織内へも浸潤しているが、切除断端は陰性で明らかな脈管浸潤は見られず、切除リンパ節にも転移を認めない。
周囲は高度な硬化性腺症を伴う乳腺症である。」
という診断でした。
size:10×8mm,f, グレード2(2+2),
ly(ー), V(ー), n(ー)
センチネル:0/1, level 1:0/5
腫瘍細胞はER+:50% PGR+:30%
HER2(3+) MIBー1 index:>30% です。
この結果から、すぐに放射線治療→抗ガン剤4回(エピルビシン、エンドキサン)→ハーセプチン1年間とホルモン治療(アリミデックス)5年間と治療計画を言われました。
今、EC治療の3回目ですが、今日になりタキソール抗ガン剤を4回投与すると言われました。
最初の計画と違うことを指摘したら、「リンパにいってなかったからECとハーセプチンだけで良いと思ったんだった」と言われながらも、どちらがいいか考えさせて欲しいとのことでした。
急に方針が変わりとても不安です。
ECの後は職場復帰も予定していたので、副作用のことを考えると受けなくて良いものなら…とも考えます。
先生はどのようにお考えでしょうか。
お考えをお聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
pT1b(10mm), pN0, NG2, luminalB(HER2陽性)
「すぐに放射線治療→抗ガン剤4回(エピルビシン、エンドキサン)→ハーセプチン1年間とホルモン治療(アリミデックス)5年間と治療計画を言われました。」
⇒2つ問題点があります。
○放射線治療は通常「抗がん剤の後(ハーセプチン単剤との間)」に行われます。
(抗癌剤⇒放射線⇒ハーセプチン)
○EC+ハーセプチンは、あまり行われないレジメンです。
通常は「ゴールドスタンダード」として①「アンスラサイクリン(エピルビシン)+タキサン+ハーセプチン」
これに対し、「非アンスラサイクリンレジメン」として②「パクリタキセル+ハーセプチン」③「ドセタキセル+エンドキサン+ハーセプチン」④「ドセタキセル+カルボプラチン+ハーセプチン」などがあります。
「今、EC治療の3回目ですが、今日になりタキソール抗ガン剤を4回投与すると言われました。」
⇒これは質問者の勘違いです。
「タキソール」ではなく「タキソテール」の筈です。
♯タキソール(パクリタキセル)は毎週投与で12回、タキソテール(ドセタキセル)なら3週間に1回投与で4回だからです。
「先生はどのようにお考えでしょうか。お考えをお聞かせください。」
⇒質問者は「低リスク」なのだから、私であれば、上記②もしくは③を行います。
(つまりアンスラサイクリンは使いません)
「ECをやってしまっている」ので「タキサンも加える」のは(質問者のような低リスクには)「過剰に思える」のですが、「EC単剤というのは何とも中途半端」なのです。
♯ハーセプチンとの併用では「タキサンは入れるべき」だと思います。