Site Overlay

左胸の乳輪のしこりと右脇の下のしこりについて

[管理番号:1395]
性別:女性
年齢:34歳
はじめまして。現在授乳中です。乳がんではないか、と心配していることが二つあるのですが、海外在住で受診や検査が容易でなく、ネットで色々調べていてこちらにたどりつきました。
1 左胸の乳輪のしこり
 ちょうど1週間ほど前、なんだか左胸の乳頭近くがちくちくっとするな、と感じて触ったところ、しこりがあることに気づきました。
 横になって上から指の腹で触っても分からないのですが、つまむとあることが分かります。授乳直後に授乳前より小さくなっていると感じることもありますが、つまみ方や角度によって大きさが違って感じられ、確信が持てません。授乳中、強く吸われると痛いと感じることがあります。
 里帰り出産だったため、帰国した際の4月はじめに、妊娠9ヶ月でエコーによる健診を受け、その際には異常はないと言われています。このしこりに乳がんの心配はあるでしょうか。また、もし受診し検査してもらう場合は、どのような検査がよいでしょうか。
2 右脇の下のしこりについて
 1とは反対側なのですが、昨日何気なく脇の下に触れたときに、コリコリとした小豆大のしこりに気づきました。
 腕を上下させたときに皺のできる脇の中心部にあり、(太っているためはっきりとは自信がないのですが)脇のくぼみではないように思えます。
 皮膚表面に変化はなく、上から押さえて皮膚をのばすとうっすらしこりの丸い形が見えます。また、横から見ても膨らんでいます。指でつまむことができるのですが、確かめようと何度もつまんでいるうちにヒリヒリと痛くなってきました。なお、右胸から右脇にかけては、現在、自分で触って気になるしこりは他にありません。
Q&Aを読んで副乳かな、とは思ったのですが、「皮膚の奥」にあるのではないのが気になります。今後、どのようになれば受診の必要があるでしょうか。
 産後、体の不調が続いているためか、心配し過ぎの様な気もするのですが、不安です。長くなり恐縮ですが、よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「海外から」ですね。
医療環境が異なるので、御心配の程解ります。

回答

「このしこりに乳がんの心配はあるでしょうか」
⇒「横になって上から指の腹で触っても分からないのですが、つまむとあることが分かります」「授乳直後に授乳前より小さくなっていると感じることもあります」「つまみ方や角度によって大きさが違って感じられ」
 などからすると、
 「乳癌の可能性は低い」と思います。「乳瘤」もしくは「ミルク嚢胞」の可能性を第1に考えます。
 自己検診では「摘む」のはお勧めできません。 あくまでも「横になって、指の腹で触るべき」です。
 
「もし受診し検査してもらう場合は、どのような検査がよいでしょうか」
⇒これは「超音波」です。
 その部位を「超音波」してもらえば、解決します。
 「それ以外の検査など全く不要」です。
 
「脇の下に触れたときに、コリコリとした小豆大のしこり」「皺のできる脇の中心部」「脇のくぼみではない」「横から見ても膨らんでいます。指でつまむことができる」
⇒これは「副乳」だと思います。
 
 
『Q&Aを読んで副乳かな、とは思ったのですが、「皮膚の奥」にあるのではないのが気になります』
⇒質問者は勘違いしています。
 「皮膚表面に変化はなく」ということは立派に「皮膚の奥」と言う事です。
 ♯私が「皮膚の奥」と表現しているのは「皮膚表面と連続していない」という意味で、「奥深く」という意味では無いのです。
 「副乳は妊娠・授乳中には大きく張り出す」ので「横からみても張り出す」ようになります。
 この「脇のしこり」が「転移性リンパ節でない」ことは確実と言えます。
 腋窩リンパ節は「窪みの奥深く」にあります。
 だから、「小豆大の腋窩リンパ節が横から見て膨らんで見える」ことはあり得ないのです。
 ★もしも「腋窩リンパ節が横から見て膨らんで見えるようになるためには5cm位の巨大リンパ節にならなくては」不可能なのです。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

 先日は、丁寧にご回答くださり、ありがとうございました。前回ご相談した「左胸の乳輪のしこり」について、追加でご相談させてください。
 しばらく様子を見ましたが、痛みが強くなっている感じがしたので、先日受診しました。診察では、「しこりは確かにあるので、超音波検査をして、その上で針をさす検査(細胞診なのか、生検なのかはよくわかりません)をするかどうか決めましょう」と言われました。
 そこでご質問なのですが、
 1.前回、「超音波検査以外の検査など全く不要」とのご回答をいただきましたが、私の様な症状で、超音波検査の結果、精密検査をしようということになるのは、一般的に言ってどのような場合でしょうか。悪いものである可能性が高いということでしょうか。
 2.しこりは、ちょうど授乳時に子供の口が触れる場所にあり、強く吸われると痛みを感じるときも少なくありません。しこりの場所を一日に10回近く強く刺激していることになるのですが、悪性のものだったときのことを考えると危険でしょうか。授乳をやめるべきだと思われますか。現在いる国の事情で超音波検査まで1ヶ月近く待たなければならないため、このまま刺激が続いていいのかと思う一方で、哺乳瓶を拒否する完全母乳のため、悩んでいます。
 言葉の問題もあり、また、国の事情で乳腺外科の専門の先生にかかれるのはがんと分かってからの様なので、少し心配です。よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
受診されたようですが、「触診のみ」ですね。
残念です。
「しこりは確かにある」と言われたまま「超音波まで1カ月も待たされる」のは「不安なまま置き去りにされる」ようなものです。
「超音波検査」ぐらいは、「その場でやってあげれば」その場で解決する可能性もあるのに…

回答

「超音波検査の結果、精密検査をしようということになるのは、一般的に言ってどのような場合でしょうか。悪いものである可能性が高いということでしょうか」
⇒画像だけで「良悪の判断ができない」ときです。
 「悪性の可能性が高い場合だけ」ではありません。
 
「悪性のものだったときのことを考えると危険でしょうか」
⇒そんな事はありません。
 心配ありません。
 
「授乳をやめるべきだと思われますか」
⇒辞めなくても大丈夫です。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

これまで、2度ほど左胸の乳輪にできたしこりについて相談にのっていただいた海外在住の者です。
いつもお忙しい中ご回答いただき、本当にありがとうございます。
2回目の質問の後、超音波検査を受け、結果は問題ないとのこと
(normal glandular elements and mildly prominent ducts)で、「しこりが大きくなる、痛みが強くなる、赤くなるなどしたときにはまた来るように」と指示されました。
安心して様子を見ていたのですが、以下のような症状があり、やはり心配に感じることがあるため、指示された症状にはあたらなくてももう一度受診すべきか、このまま様子をみてもよいか、悩んでいます。
・乳頭の水ぶくれが続く
12月の上旬以降、2ヶ月以上、乳頭に水ぶくれができては破れ、
時には赤いかさぶたみたいなものができる、という状態を、ちょうどしこりに近い場所で繰り返しています。
授乳期の乳頭に水ぶくれができる
ことがあるのは第1子の時にも経験して知っているのですが、左胸のみ絶え間なく2ヶ月以上も続き、その分痛みも続いています。
乳がんのチェックとして、乳頭のただれや炎症が挙げられることがありますが、私の症状は心配するようなものではないでしょうか。
乳汁に血が混じったことはないと思います。
・乳輪の引き攣れ?
  上記の水ぶくれが常にあるため、どうしても左の乳首を気にして観察することが多いのですが、乳輪を上にすこし引っ張った時、少し窪んで引き攣れたように見える場所があります。
場所は、正面から見たしこりの位置を時計の10時とすれば、2時にあたる場所で、1.5センチ程離れています。
太い血管2本の陰になる場所で色素沈着によりそう見える
のかとも思いましたが、柔らかい場所のため触って確かめることもできず、ずっと気になっています。
自分で触る限り、くぼみの下にはしこり
はありません。
このような状態であっても、超音波検査で問題なしであれば、様子を見ても問題ないでしょうか。
しつこく何度も本当に恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「乳頭のただれや炎症が挙げられることがありますが、私の症状は心配するようなものではないでしょうか。」
⇒シンプルに考えましょう。
 乳頭で気にするのは「パジェット」しかありません。
 パジェットは「(乳頭部の)乳管開口部にできた癌」であり、「その部分(乳管開口部)に爛れがあるのか?」が問題です。
 もしも「乳頭部の乳管開口部に爛れが存在」しているのであれば、「病院を受診(必要があれば、その部分の生検」をすべきです。
 トップページの「今週のコラム 5回目 最初は乳頭なのです」を是非参照してください。
 「水ぶくれ」というのが、「乳管開口部なのか?」が重要となります。
 ♯乳管と無関係(乳頭の側面など)であれば、気にしないでください。
 
「乳汁に血が混じったことはないと思います。」
⇒「血性分泌」は「乳頭とは無関係」です。
 あくまでも「乳管内病変」を想像させる所見であり、「関連は皆無」です。
 
「・乳輪の引き攣れ?  上記の水ぶくれが常にあるため、どうしても左の乳首を気にして観察することが多いのですが、乳輪を上にすこし引っ張った時、少し窪んで引き攣れたように見える場所があります。」
⇒これは「気にし過ぎ」です。
 「自分で触る限り、くぼみの下にはしこりはありません。」というのであれば、「無関係」です。
 
「このような状態であっても、超音波検査で問題なしであれば、様子を見ても問題ないでしょうか。」
⇒「乳頭の乳管開口部」なのかが重要です。
 シンプルに行きましょう。(いろいろな事に、囚われずに)