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乳がんでした。

[管理番号:2877]
性別:女性
年齢:37歳
3月上旬の検診で乳がんと告知され、4月(中旬)日に手術をし、右の乳房を全摘、腋のリンパにも転移が認められました。
病理の結果はホルモン治療が40%有効で、HER2は2+で、ハーセプチンが効くかどうかの詳しい検査中と言われました。
ただグレード3、ki値が65%、リンパの転移は1つとのことでした。
今後の治療としては、TC療法4回+ハーセプチンが効くようならハーセプチンを1年でホルモンの薬を飲んでもらうとのことでした。
放射線治療は必要ないだろうとのことでしたが、必要ないのでしょうか?
また、グレードやki値が高いので再発するリスクは高いのでしょうか?
ホルモン治療が40%有効ということはあまり効かない部類に入るのでしょうか?
また、ハーセプチンが有効でハーセプチン投与したほうが予後がよいというのは本当ですか?
再発するリスクを下げるすべはもうないのでしょうか?
自分自身、勉強不足でどうしてよいのかわからないうちの質問ですが、先生のお言葉をいただきたいです。
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「病理の結果はホルモン治療が40%有効で、HER2は2+で、ハーセプチンが効くかどうかの詳しい検査中」「グレード3、ki値が65%」
⇒つまり、luminalBであり、
 HER2が2+なので「FISHで確認中」ということです。
 FISH陽性⇒luminalB(HER2陽性):通常の抗がん剤の適応
 FISH陰性⇒luminalB(HER2陰性):抗HER2療法(ハーセプチン+抗ガン剤)の適応
  となります。
 ♯どちらにしてもluminalBとなり、化学療法の適応となります。
「今後の治療としては、TC療法4回+ハーセプチンが効くようならハーセプチンを1年でホルモンの薬を飲んでもらうとのことでした。」
⇒つまり、そう言う事です。(ここでいうTC療法が通常の抗ガン剤にあたります)
 
「放射線治療は必要ないだろうとのことでしたが、必要ないのでしょうか?」
⇒全摘後の放射線照射の適応は「リンパ節転移4個以上」なので、それでいいと思います。
 
「また、グレードやki値が高いので再発するリスクは高いのでしょうか?」
⇒あまり、「グレードやKi67]を再発リスクと結び付けない様にしましょう。
 
「ホルモン治療が40%有効ということはあまり効かない部類に入るのでしょうか?」
⇒十分に効きます。
 心配ありません。
 
「また、ハーセプチンが有効でハーセプチン投与したほうが予後がよいというのは本当ですか?」
⇒その通りです。
 抗HER2療法は「再発リスクを半分に下げる」魔法のような治療であり、これによって「サブタイプの中でも最も予後が良い」部類と言えます。
 
「再発するリスクを下げるすべはもうないのでしょうか?」
⇒担当医の言う通り行えば十分です。
 あまり「余計な事はしない」方がいいと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

こんばんは。
以前も質問させていただいたのですが、先生から回答をいただき、安心して治療に望む覚悟ができました。
ホルモン治療40%有効でTC療法+ホルモン治療、ハーセプチンはHER2が2+でしたので、検査中です。
医師からは抗がん剤後にホルモンの薬を飲んでもらうと話があったのですが、このホルモンの内服を飲むことが「ホルモン治療」になるのですか?
また、サブタイプ別の薬が効く率は高い順に、(ER-, PgR-)HER2陽性タイプ >
(ER+, PgR+)HER2陽性タイプ(トリプルポジティブまたはルミナールB)とトリプルネガティブ > ルミナールAタイプの順で間違いないですか?
またこの順番は予後がよい順としても同様ですか?
先生からの回答をお待ちしております。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「このホルモンの内服を飲むことが「ホルモン治療」になるのですか?」
⇒その通りです。
 
「また、サブタイプ別の薬が効く率は高い順に、(ER-, PgR-)HER2陽性タイプ >(ER+, PgR+)HER2陽性タイプ(トリプルポジティブまたはルミナールB)とトリプルネガティブ > ルミナールAタイプの順で間違いないですか?」
⇒ここでいう「薬が効く率」を「抗ガン剤が効く率」へと訂正すれば、おおよそ、その通りですが…
 一部訂正すると、ルミナールBには「HER2陽性」と「HER2陰性でKi67高値」の2タイプがありますので
 (ER-, PgR-)HER2陽性タイプ > (ER+, PgR+)HER2陽性タイプ「ルミナールB(HER2陽性) 俗称トリプルポジティブと呼ばれる」 ≧ トリプルネガティブ >
 ルミナールB(HER2陰性) > ルミナールAタイプ
 
「またこの順番は予後がよい順としても同様でしょうか?」
⇒これは違います。
 サブタイプで予後を語るのは止めましょう。
 ただ、かつて(最も予後が良いサブタイプがルミナールタイプといわれてきましたが)
抗HER2療法の登場(特に術後補助療法への適応拡大)により、「HER2陽性乳癌の予後が飛躍的に改善して、最も予後がよいサブタイプ」と考えられるようになったということです。
 ○治療法には「ホルモン療法」もあるので「抗ガン剤が効きにくい」からといって「ルミナールタイプの予後が一番悪い」わけではないのです。(もともと大人しいタイプでもあります)