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乳房全摘の手術について

[管理番号:4386]
性別:女性
年齢:47歳
現在、術前ddAC療法が終わり1ヶ月後に乳房全摘手術をひかえている者です。
病理検査の結果、トリプルネガティブ 乳がんで組織的悪性度3、
Ki67が80%で、HBOCの可能性が強い家系です。
治療から半年経ち、当初2センチ弱のしこりの他、6センチ近くの集塊域があったものが、明らかに小さくなってきています。
(パクリタキセルで大きくなることもなく全てのクールを終えました)
治療に入る前の問診で、執刀医について確認し、手術数の多いベテランの医師が担当してくださるという約束のもと、後悔のない闘病ができると考え、遠距離でも頑張ってきたのですが、いざ手術が近づいて見ると、
術者は別の医師で、指導医(主治医)の先生が一緒に入る形となると言われました。
後になって別の医師というのが、大学卒業後6年目の研修医であることがわかったため不安で大変なショックを受けています。
ここで田澤先生に質問です。
① 手術のクオリティは、ベテランの指導医の指示もとであれば、指導医が行う場合の何%くらいに保つことができるのか 、
また全摘であれば研修医でも完璧にすることが可能な簡単な手術なのか。
②予後や再発、QOLへの影響は心配ないか。
③主治医が手術に入らなくてもいいとあきらめ、中堅の先生に手術して
もらう方がいいのか、その場合さらに経験の浅い医師がついてきて教育の材料にされてしまう可能性もあるのか。
④今ならまだ予定を変更できると思いますが、もし、田澤先生が私の立場だったら、どうされますか。
お答えいただくのが難しい内容とは存じますが、宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です・
質問の主旨とは離れますが…
最初から多発であり「温存の適応外」なのに「術前化学療法を提案」していることには悲しくなります。
手術精度については日々感じていることなので(質問者には厳しい内容となるかもしれませんが)率直にコメントします。
「① 手術のクオリティは、ベテランの指導医の指示もとであれば、指導医が行う場合の何%くらいに保つことができるのか」
⇒実際のところ、自分自身でしなければ「歯がゆいだけで、5割にもいかない」のが現状でしょう。
「また全摘であれば研修医でも完璧にすることが可能な簡単な手術なのか」
⇒全摘こそ、「研修医には荷が重い」ものです。
 乳腺の全摘に比べれば(中空臓器である)「胃や大腸」の方がずっと楽です。
 なぜなら、「乳腺と広背筋との境界が解り難い」し、腋窩郭清は(中空臓器とは異なり)「埋まっている構造」なので「何処から何処まで切るべきか?」理解するには経験を要するのです。(指導されてもチンプンカンプンとなります)
 
「②予後や再発、QOLへの影響は心配ないか」
⇒予後や再発に関しては「指導医がついていれば」防げるとは思いますが、問題はQOLですね。
 出血やリンパ漏などによる短期的な問題もありますが、長期的な意味での「リンパ浮腫」が問題となります。
「③主治医が手術に入らなくてもいいとあきらめ、中堅の先生に手術してもらう方がいいのか」
⇒どの程度の「中堅」なのかですが…
 研修医が(指導医に指導されて)行うよりはいいでしょう。
「その場合さらに経験の浅い医師がついてきて教育の材料にされてしまう可能性もあるのか」
⇒そのような病院なら、そうなるでしょう。
「④今ならまだ予定を変更できると思いますが、もし、田澤先生が私の立場だったら、どうされますか」
⇒正直、手術の精度の違いを知っているので…
 家族でも親戚でも「私以外」が執刀する事は考えられません。
★誰しも、最初から上手い人など居ないので、仕方がないことなのですが…(一度)そこを知ってしまうと「大学病院や○んセンターなど」で手術する事がこわくなるでしょう。