[管理番号:6337]
性別:女性
年齢:51歳
海外在住(ニュージーランド)の51歳女性で先月乳がんとの告知を受け、当地の主治医(乳腺外科専門医)から納得のいく説明を受け、右胸の乳頭を温存して全摘+同時再建(エキスパンダー)を行いました。
現在以下の術後検査の結果(PT1a N0)に基づきホルモン治療(Tamoxifen)を始めています。
術後治療と今後の観察方法に関して、医療英語を含めたやり取りで不安な点もあるため、主治医からの説明に関して私の理解が適切かどうか確認したくお手数ですが以下の2点の質問にご回答いただければ幸いです(診察等はすべて英語で行われていますので、
慣れない英語の医学用語等はネットで調べ、また日本の医療サイト等の標準治療を参照にして主治医と治療方針を決めています)。
質問1)ホルモン療法(タモキシフェン)のみで良いかどうか。
主治医から「広範囲のDCISは切除。
また浸潤が見られたがサイズが小さい、リンパ節への転移がない、およびホルモン受容性が陽性のことから、ホルモン治療(抗エストロゲン剤:タモキシフェン)のみでよい」とありました。
HER2陽性に関して質問したところ、浸潤が小さいこと、また治療のリスクとベネフィットを測った上で化学療法および
ハーセプチンは不要であると腫瘍専門医と協議し結論したとのことです(但し過去の類似検査結果の患者で治療検討を行ったことがある様子)
質問2)今後の検診方法に関して。
右胸がマンモグラフィーで発見しにくいタイプのDCIS
であったことから今後の健側(左)の年に1回行う検診はMRIを加えたほうがよい →
ベストの検査方法かどうか?
実は昨年(12か月前)にしこりを感じ、マンモグラフィー+超音波+針生検を行ったのですが、結果は乳管過形成(Ductal Hyperplasia)で経過観察でした。
今年2月に前倒しでフォローアップ検診を受けた際に、マンモグラフィーの後に行った超音波検査で
微妙な変化があったのでマンモ生検を追加、さらにMRIを行い今回の広範囲に広がった
DCIS
が見つかりました。
主治医も昨年の検査で見つけられなかったことに驚くと共に、所見ではマンモグラフィーでは見つかりにくいタイプであることが考えられ今後の検診はMRIの追加を考慮したほうがいいのではないかとコメントがありました。
術後検査の結果
DCIS / Intermediate and High grade [Size: 120 X 120 mm] No Calcification
Invasive ductal carcinoma / 浸潤性乳管がん
Tumour1 [Size: 2.5 X 2mm]
Histological grade: 2
ER: Positive
PR: Positive
HER2: Equivocal 2+ / FISH Positive
Tumour2 [Size: 0.4 X 0.4mm]
Histological grade: 2
ER: Positive
PR: Positive
HER2: Positive 3+
Tumour3 [Size: 1.2 X 0.9mm]
Histological grade: 2
ER: Positive
PR: Positive
HER2: Equivocal 2+
Margins
Invasive: Deep 6mm
Nodes: 0/8
PT1a N0
よろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
物事はシンプルに考えましょう。
今回の件は「極めてシンプル」に『浸潤径5mm以下では抗癌剤(抗HER2療法も含む)の適応無』これに尽きます。
「質問1)ホルモン療法(タモキシフェン)のみで良いかどうか。」
⇒そもそも私なら…
ホルモン療法も行いません。(浸潤径2.5mmでは再発超低リスクであり、ホルモン療法による有害事象「子宮体癌のリスクや副作用」とバランスしないので)
☆抗癌剤をしないことは冒頭にコメントした通りです。
「今後の検診はMRIの追加を考慮したほうがいいのではないかとコメントがありました。」
⇒考え過ぎ。
費用対効果が合いません。
MRIを撮影するよりは、半年に1回の超音波+年に1回のマンモの方がいいでしょう。