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根治を(可能性が高まる)目指した治療を行いたい

[管理番号:6350]
性別:女性
年齢:31歳
田澤先生初めまして。
よろしくお願いいたします。
妻が乳がんを患っています。
母親を乳癌で亡くしています。
(39歳)
2016年4月(しこりが気になる)
授乳中のしこりで出産後7ヵ月ぐらいから気になっていました。
助産師さん産婦人科医師からは乳腺の詰まりだろうとの所見のため様子見とした。
2016年5月末(乳腺外科受診と検査)
そのうち無くなると思っていましたが、一向に無くならず、
乳腺外科を受診したところ乳癌であることがわかりました。
2016年6月(乳癌告知と治療開始)
右乳房約4センチ、右腋窩リンパ節転移あり。
術前化学療法(静注化学療法と経口抗がん剤を併用)
Doc40mg、Epi40mgを2W毎に交互で投与×3クール、経口フルツロン、CPA)
がんが縮小しいずれかの薬が効いていることが確認された。
2016年9月
がんが縮小の停滞と3cm以下であった為、乳房温存手術を受けました。
病理結果
・NAC後2.8mm×2.2mm
・carcinoma with medullary feartures afterNAC
・脈管侵襲 ly1,v0 【extensivePVI(-)】
・核グレード3(核異型スコア3、核分裂スコア3)相当
・波及度f
・EIC(-)
・組織学的治療効果判定 Grade1B
・断端 陰性
・リンパ節 LevelⅠ(3/3)LevelⅡ(3/3)
・所見抜粋 すべてのリンパ節にマクロ転移があり節外浸潤を伴っています。
リンパ節にもNACの影響はうかがえるものの軽度
・HER2 2+(FISH増幅なし)
・ER 0
・PgR 0
・Ki-67 70%
・EGFR 約70%弱ないし中等度陽性
・CK5/6 約15%が強陽性、約40%が弱ないし中等度陽性
術後2016年10月
Doc40mg、Epi40mgを2W毎に交互で投与×1クール、ハーセ
プチンを6月まで12回投与
2016年11月~12月 放射線治療 右乳房・右腋窩・右鎖骨
周辺 計30回50グレイ
2017年1月~Doc40mg、Epi40mgを2W毎に交互で投与×2
クール、その後6月までUFT
2017年7月PET-CTにて再発発覚
右乳房、右腋窩リンパ節(LevelⅡ Rotter)、胸骨傍右リ
ンパ約5cm
再発治療再開も薬以外の選択肢示されず。
カドサイラ数回、ゼローダ数回、パクリタキセル+アバスチ
ン2回実施し転院
2017年10月
転院先の検査にて、左腋窩リンパ節への転移発覚
アバスチン+パクリタキセルにて治療開始
2018年1月
治療効果ありと判断され、同治療継続
2018年3月末頃より胸周りの痛みを訴え始める
2018年4月PET-CT、CT検査にて、治療効果が無くなっていることを確認
併せて、右鎖骨リンパに4か所の集積あり(前回ははっきり映っていなかった)
2018年5月ハラヴェンの投薬開始
【現在確認されているガン】
・乳房再発(2.5mm)
・右腋窩リンパ
・右鎖骨下リンパ 小さいが数か所
・胸骨傍右リンパ 5cm程度で胸骨にへばりついている見立て
・左腋窩リンパ
【主治医の治療方針】
・胸骨傍や左腋窩リンパへの転移が確認されている為、遠隔転移と判断。
手術はできない。
・乳房のみであれはQOL向上目的ならば切除可能
・放射線は既に実施済のため無理
・化学療法しかない。
【質問】
リンパへの転移が広がっていますが、ガン発覚から約2年弱経ってリンパ以外への転移がないことから
まだ根治の可能性をあきらめていません。
そこで根治を目指すにあたり今後どのような治療が可能か
ご意見を伺いたいと思います。
●右乳房原発で左腋窩リンパへの転移で遠隔転移と判断されています。
但し、現在転移の認められる右側のリンパにて閉塞が起きた際は、リンパ液は左側へも流入するとの記載がありました。
そういった場合も遠隔転移になるのでしょうか?
他臓器にて見つかる遠隔転移とは異なると思いますが如何でしょうか?
●手術の可能性について
現在見つかっているガンを全て取り除くことは可能でしょうか?
QOL低下の度合いが判らないため、ガンをとった方が良い様な気がしてなりません。
全てを取り除いてからの化学療法ではダメなのでしょうか?
乳房だけでも早めに取った方がいいのでしょうか?
●他治療の可能性
手術が難しいのであれば、トモセラピーや粒子線治療等にて治療し(局所に対処)、
その後に化学療法(全身療法)という治療は難しいのでしょうか?
先進医療を組み合わせた治療プランはできないのでしょうか?
●遺伝性乳癌について
検査未実施ですが早めに実施することで治療の選択肢が広がりますでしょうか?
●田澤先生に一度お話し聞いてもらった方がよろしいでしょうか?
ご回答、よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「そういった場合も遠隔転移になるのでしょうか?」
⇒規約では、「遠隔リンパ節はM(metastatic)扱い」となっています。(それだけ、「右と左は天と地ほど遠いということ」なのです。)
「他臓器にて見つかる遠隔転移とは異なると思いますが如何でしょうか?」
⇒意味合いは異なるとは思います。
 
「現在見つかっているガンを全て取り除くことは可能でしょうか?」
⇒現実的ではないようです。
「乳房だけでも早めに取った方がいいのでしょうか?」
⇒「他の病変がコントロールされてから」が、一般的です。(やはりPSがネックとなります)
「トモセラピーや粒子線治療等」
⇒トモセラピー(放射線)は「初回照射の照射野」を放射線科に確認しているのでしょうか?
 「2016年11月~12月 放射線治療 右乳房・右腋窩・右鎖骨周辺 計30回50グレイにて」という記載だけだと、「PSが照射野に入っているのか?」は不明です。
 粒子線については、その施設に問い合わせてみましょう。
「検査未実施ですが早めに実施することで治療の選択肢が広がりますでしょうか?」
⇒オラパリブは使用できません。
 BRCA転移性乳癌に対する臨床試験(OlympiAD)は終了しています。
(現在進行形のOlympiAは術後補助療法が対象なのです)
 ☆もしもBRCA変異だと解っても、オラパリブは保険対象外なのです。
「●田澤先生に一度お話し聞いてもらった方がよろしいでしょうか?」
⇒すでに、可能な治療がなされているようです。(これ以上の助言はできそうもありません)
 「照射野」については放射線科医に聞いてみましょう。