[管理番号:4878]
性別:女性
年齢:71歳
はじめまして、質問させてください。
5月初めに乳癌と診断。
腫瘍は約1cm強、
術前検査のMRI・骨シンチ・エコーで転移なしと診断。
5月(中旬)日温存手術、センチネルリンパ節生検 → リンパ節転移なし
病理検査の結果は以下の通りです。
(診断結果の表をそのままうつしたので誤字があるかもしれません、すみません。)
Invasive ductal carcinoma, scirrhous
carcinoma/Invasive carcinoma of no special type(NST)
[2012 WHO classification](3-5)(intraductal
components:1-4,6,7)of left mammary
gland,conservative operation. Malignant
pTlc(12×8mm), f, EIC(-), TILs: low, Iy0,v0 高度の腫瘍
辺縁部脈管侵襲(-)
tubule formation 3, nuclear pleomorphism 3 , mitotic count 3 Histological grade ; score9 Grade Ⅲ Nuclear grade ; score 6 Grade 3
ER:+(中,40-50%)(陽性細胞,80-90%) Allred score:2+4=6, J-score 3b(高レベル)
PGR:-(0%) Allred score:0, J-score0(陰性)
MIB-1 index:69.7%
乳頭と腫瘍を結ぶライン垂直に、約5mm間隔でスライスし、すべて切片とした。
浸潤癌が含まれており、最大径12×8mmに至る。
中型~大型の腫瘍細胞が大小の充実性胞巣を形成し、乳腺間質内に増殖しています。
線維性間質の増生を伴っています。
広範囲で乳腺外脂肪組織への浸潤を認めます。
浸潤性乳管癌、硬癌(充実腺管癌崩れ)の診断となります。
浸潤癌の周囲には、充実型や面疱型の乳管内癌成分が拡がっています。
核異型は中等度から高度、核分裂像は25個/10HPF程度です。
脈管侵襲ははっきりとしません。
断端については、乳管内癌成分が側方断端より1mmと近接している他、最も乳頭側に近い1Bにも乳管内癌成分が見られます。
なお、腫瘍は紡錘形のものが多く、神経内分泌の性格を示す高悪性度の腫瘍の可能性も考慮し、神経内分泌マーカー chromogranin-A,
synaptophysinに対する免疫染色を施行しましたが有意な陽性所見はえられませんでした。
今後の治療について、主治医からは放射線(決定)、ホルモン療法(決定)、化学療法については、年齢も考えて悩むところですので、カンファレンスで決定しますので、1週間待ってくださいとのことでした。
○ステージⅠとの診断でしたが、病理検査の結果(グレード・Ki67高値)で5年、10年生存率に変動はありますか?
○サブタイプは何になりますか?(luminalBですか?)
○化学療法は必要ですか?する場合としない場合の再発率は大きく違いますか?
○グレード3、Ki67:69.7%と高いですが、再発率は?
○化学療法を受けるのに判断する為、OncotypeDXを受ける必要はありますか?
よろしくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
それにしても…
「1cmの早期乳癌」に骨シンチを行うとは!(全く無駄な被爆です)
pT1c(12mm), pN0, luminalB(Ki67=69.7%),
完璧な早期乳癌ですが、(ルミナールBなので)化学療法の適応はあります。
○ただし、70歳以上は術後化学療法の有効性は証明されていないので、この場合には(私であれば)化学療法は勧めずホルモン療法単独とします。
「○ステージⅠとの診断でしたが、病理検査の結果(グレード・Ki67高値)で5年、10年生存率に変動はありますか?」
⇒ありません。
グレードやサブタイプはステージとは無関係です。
「○サブタイプは何になりますか?(luminalBですか?)」
⇒その通りです。
「○化学療法は必要ですか?する場合としない場合の再発率は大きく違いますか?」
⇒70歳以上では「有効性の証明がない」以上、コメントできません。
「○グレード3、Ki67:69.7%と高いですが、再発率は?」
⇒ホルモン療法をすることで 18%位となります。
「○化学療法を受けるのに判断する為、OncotypeDXを受ける必要はありますか?」
⇒勧めません。
Ki67=69.7%ではルミナールBとなる(つまりOncotypeDXではhigh riskとなる)と思います。
焦点は(ルミナールAかBなのか?ではなく)「年齢」なのです。