Site Overlay

化学治療

[管理番号:2363]
性別:女性
年齢:52歳
12月○○日部分摘出手術後の化学治療です
HER2陽性2+
ER7 PGR0 センチネ
ルリンパ節 術中0/2
術後1/2郭清省略
グレード1
4年前子宮全摘出術後エストラーナテープ使用していたが癌疑いにより中止
術中腫瘍が見当たらずDrからの説明を主人が受け腫瘍があったとおもわれる部分摘出
非常に珍しいと説明抗がん剤8クール、ハーセプチン、ホルモン療法の治療予定ですが、ハーセプチンとホルモン療法だけではだめなんですね
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「HER2陽性2+ 」
⇒これで「術後、ハーセプチン予定」と言う事は、当然HER2-FISHで確認していますよね?
 本来「3+」であれば、陽性ですが「2+の場合にはFISHで確認」しなくてはならないのです。
 
「ER7 PGR0 センチネルリンパ節 術中0/2 術後1/2郭清省略 グレード1術中腫瘍が見当たらず」
⇒この事実からは、おそらく「浸潤径が小さい」「リンパ節転移は微小転移」だと思います。
 「核グレード1」からも「再発低リスク」だとは思います。
 
「抗がん剤8クール、ハーセプチン、ホルモン療法の治療予定」
⇒これは所謂「スタンダードレジメン」です。 つまり「アンスラサイクリン+タキサン」両方が入っています。
 しかし、質問者の(予想される)病理結果からは「非アンスラサイクリンレジメン」でもいいのではないかと思います。
 ★参考に★
 非アンスラサイクリンレジメン
 ①パクリタキセルとハーセプチンを毎週投与(12回)⇒ハーセプチン単剤(14回)
  これは、ハンドブックにあるスタンダードレジメンとは異なり「AC療法を行わない」やり方です。
  「最初の12回の毎週通院」は「通院は大変」ですが、「副作用は格段に楽」です。
  その後のハーセプチン単剤には副作用はありません。
 
 ②ドセタキセル+エンドキサン+ハーセプチン(4回)⇒ハーセプチン単剤(14回)
  これは、「全て3週毎通院」となります。
  ①と比較すると「通院回数が少ない」ことが利点ですが、「副作用は①よりは、やや強い」と言えます。
  効果に関しては①との直接比較はありませんが、「パクリタキセル(毎週12回)
=ドセタキセル(3週投毎投与4回)」と考えると②の方が「エンドキサン分」上乗せされると思います。
 ③ドセタキセル+カルボプラチン+ハーセプチン(6回)⇒ハーセプチン単剤(12回)
  これも「全て3週毎通院」となります。
  カルボプラチンが唯一乳癌の適応を通る使い方です。
 
「ハーセプチンとホルモン療法だけではだめなんですね」
⇒駄目です。
 どんなに低リスクでも「ハーセプチン単剤の効果」は証明されていません。
 副作用が気になるのであれば、「スタンダードレジメン」ではなく、上記「非アンスラサイクリンレジメン」を検討すべきでしょう。