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術後治療 遺伝性について

[管理番号:1875]
性別:女性
年齢:42才
田澤先生はじめまして。
9月17日にしこりに気付き受診し(細胞診クラス5)、10月23日に温存術を受けました。11月24日病理診断の結果、今後は放射線治療とホルモン療法(リュープリン注射1回/3ヶ月・ノルバデックス20mg)となりました。
(病理結果)
腫瘍 18mm
グレード 2
ホルモンレセプターER 90%以上
PgR 90%
Her2 陰性
Ki67 20-30%
リンパ節転移 なし
広範な脈管浸潤 なし
断片陰性
組織型やサブタイプを確認していないのですが、田澤先生でも同じ治療を選択されますか?サブタイプについてどう診断されますか?
気になったのはki67の20-30%です。
平均の25%でルミナルAと判断されたということでしょうか。
グレード2は不安材料ではないですか?
ノルバデックスについて薬局でジェネリックを勧められましたが、田澤先生はどちらを勧められますか?
乳がんと診断されてから毎日こちらのサイトを読み、知識や勇気を頂いていました。担当医は信頼していますがそれ以上に田澤先生への信頼感が増しており、同様の質問がないか今までのQ&Aを検索していましたが少しずつ違いがあるため思い切って直接質問させて頂きました。
また、42才なので若年性乳がんではないと思いますが、私には娘が二人(中1と小5)います。私が乳がんになったことで子供たちの乳がん罹患リスクがぐっと上がってしまったということでしょうか。
私の母方の血縁者には罹患者はいませんが、父方の方は離別しているためわかりません。
早期発見することの大切さを娘に伝えていこうと思いますが、私のせいでリスクが上がるのかと思うとやはり辛く感じてしまいます。
お忙しい中大変申し訳ありませんがよろしくお願いします。
こういう質問の場を作って頂き心から感謝しています。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1c(18mm), pN0, luminal A(Ki67=20-30%)
十分な早期乳癌です。

回答

「組織型やサブタイプを確認していないのですが、田澤先生でも同じ治療を選択されますか?」
⇒私であれば「タモキシフェン単剤」とします。
 LH-RHagonistの併用はSOFT試験の結果により、「35歳未満もしくは化学療法後に月経が再開する場合」でしか「タモキシフェンにプラスした際の上乗せ効果がない」ことが解っています。
 ○つまり「42歳」「化学療法をしていない」質問者には「LH-RHagonistの併用」の適応はなしと判断します。
 
「気になったのはki67の20-30%です。平均の25%でルミナルAと判断されたということでしょうか。」
⇒St.Gallen 2015では「中間ゾーン」とされている領域です。
 実際のvoting 結果からは「20-29%にカットオフがある」という意見が最多でした。
 質問者はルミナールAとして問題無いと思います。
 
「グレード2は不安材料ではないですか?」
⇒不安材料ではありません。
 中間のグレードです。
 
「ノルバデックスについて薬局でジェネリックを勧められましたが、田澤先生はどちらを勧められますか?」
⇒どちらも特に勧めてはいません。
 普通に「ノルバデックスを処方」して、ご本人から「ジェネリックにしたい」と希望が有った場合には「いいですよ」としています。(全く拘りはありません)
 
「私が乳がんになったことで子供たちの乳がん罹患リスクがぐっと上がってしまったということでしょうか」
⇒そんな事はありません。
 質問者本人の血縁者に乳癌がなく、しかも質問者自身のサブタイプが「ルミナールタイプ」であることから「遺伝性乳癌の可能性は低い」と思います。
 
「私のせいでリスクが上がるのかと思うとやはり辛く感じてしまいます」
⇒現在、乳癌患者数が増加しています。
 これは「ホルモン環境などの非遺伝性の増加」と考えられ、「相対的には非遺伝性の割合が増加」していると想像しています。
 心配ありません。