[管理番号:3512]
性別:女性
年齢:44歳
はじめまして。
7月に部分切除をしました。
(17×8×7mm)
浸潤性乳がんで、術前の画像診断で遠隔転移なし。
ホルモン受容体陽性、HER2陰性、ki67は17%、Histological
grade1、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体ともに8/8の満点
センチネルリンパ節生検でリンパ節転移が1個(0.8mm)見つかりました。
(4個とったうちの1個)
術前は、リンパ転移が分からなかったため、放射線とホルモン療法(ノルバデックス)を予定していましたが、転移が見つかったことで今後の治療として、抗がん剤(TC療法)か、リュープリンのどちらかを自分で選ぶように言われました。
医学的知識がない私にはどちらかを選ぶことができません。
来週に返事をしなくてはならないのですが、先生でしたら、私の場合、どのような治療をすると良いと思われますか。
教えてください。
主治医のコメントとしては、抗がん剤では強すぎるだろうとのこと。
ただ、私は初潮を10歳で迎えており、閉経が早いのではないかと思うと、リュープリンの効果はあるのか不安です。
よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
pT1c(17mm), pN1mi(微小転移), luminalA
○微小転移は「予後に影響しない」ことは解っています。
因みに「luminalAで抗がん剤の上乗せ(benefit)がない」ことも解っています。
「先生でしたら、私の場合、どのような治療をすると良いと思われますか。」
⇒タモキシフェン単独です。
微小転移を気にする必要はありません。
「転移が見つかったことで今後の治療として、抗がん剤(TC療法)か、リュープリンのどちらかを自分で選ぶように」
⇒この主治医は決定的に誤りがあります。
明らかなルミナールAなのだから「抗がん剤の適応はそもそもありません」
「選択肢として提示」すること自体「完全な誤り」です。
「主治医のコメントとしては、抗がん剤では強すぎるだろうとのこと。」
⇒「強すぎる」とか、そう言う問題ではありません。
効果(上乗せ)がないのです。
○ためしにOncotypeDXをすれば、「low risk」となるでしょう。(かなりの確率で)
「ただ、私は初潮を10歳で迎えており、閉経が早いのではないかと思うと、リュープリンの効果はあるのか不安です。」
⇒タモキシフェン単独でいいと思います。
質問者様から 【質問2】
田澤先生の、根拠が明確な回答のお陰で、ここまでの治療を続けてくることができている者です。
ありがとうございます。
乳房温存手術後の、放射線治療を始めています。
センチネルリンパ節
生検でリンパ節転移が1個(0.8mm)見つかったことで、主治医からは
乳房とわきの下に照射すると説明を受けました。
照射1週間後に放射線医師から治療の状況について説明を受けたのですが、その際には乳房の照射だけでした。
またもやドクター間の連携不足なのかと悲しくなりました。
①そもそも、微小転移でわきの下の照射はするものなのでしょうか。
②必要だとしたら、途中で照射個所を増やすことはできるのでしょうか。
主治医への相談は、田澤先生のご回答を伺ってからと思っております。
どうぞよろしくお願いします。
なお、私の状況についてはpT1c(17mm),pN1mi(微小転移),luminalAです。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「①そもそも、微小転移でわきの下の照射はするものなのでしょうか。」
⇒不要です。
(どこかの病院みたいに)「リンパ節転移が2個以内なら郭清しない」という場合には、必須です。
「 ②必要だとしたら、途中で照射個所を増やすことはできるのでしょうか。」
⇒可能です。
ただ不要です。
質問者様から 【質問3】
原則を守らず、2日間連続で質問させていただくことをお詫びします。
昨日、微小転移でわきの下の照射が必要かという問いに対して、先生から「リンパ節転移が2個以内なら郭清しない」というような病院の場合には必須とのご回答をいただきました。
私の場合そのような取り決めがあったわけではありませんが、郭清したとは言われておりません。
「微小転移では追加郭清は無効」ということで実施していないのかもしれません。
この場合、わきの下の照射が必須という捉え方でよろしいでしょうか。
また、皆さんの質問を読む中で、経過観察が重要なことがよくわかりました。
放射線治療が終了した時点で、信頼できる田澤先生の病院に転院し、この後の長い治療生活を安心して過ごしたいと思うのですが、患者さんがとても増えているところで、受け入れていただくことは可能でしょうか。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
私の前回の回答の真意は
臨床試験(ACOSOG Z0011)の結果を受けて「リンパ節転移(肉眼的転移)が2個以下なら、(放射線照射を前提として)腋窩郭清は省略できる」としている施設があります。
つまり、このようにして「追加郭清を省略した」患者さんは、当然「術後照射を前提」としているのです。
それに対して「微小転移」では「術後照射を前提としているわけではない」のです。
○腋窩照射に伴う「患肢浮腫のリスク」を考えると、不要と思います。
「ことを根拠として「2個以下で省略」した場合には「放射線照射が必要」
「患者さんがとても増えているところで、受け入れていただくことは可能でしょうか。」
⇒可能です。
メディカルプラザ市川に予約してもらうのがいいと思います。(その場合には、QandAの管理番号を、予約時にお伝えいただけると事前に診療内容を確認できて助かります)