[管理番号:4514]
性別:女性
年齢:60歳
田澤先生、初めまして。
いつも大変ご多忙中、このような場を設けていただきありがとうございます。
心から感謝しており、いつも勉強させていただいています。
1)術後5年経過後のアロマターゼ阻害剤の継続について
2)術後5年経過後の検査の間隔について
3)再発した場合、発見が早い方がよいのかどうか
4)オンコタイプDXについて
2)私自身10年間は、せめて超音波だけでも半年に一度受けたいと思っているのですが、術後3年経過後から年に一度の検査となっています。
不安なので半年に一度の検査にして欲しいと申し出ても、変更されませんでした。
マンモと技師による超音波、胸のレントゲン、血液検査、骨塩定量検査のみです。
今後この検査の間隔でよいのでしょうか。
3)2番に関係する事ですが、術後3年経過後はなぜ年に一度の検査なのかと問うと、再発の場合は、早く見つかっても時間が経過して見つかっても予後は変わらないからという理由でした。
私自身の知識としては、局所再発の場合は、早く見つけて対処すれば根治も可能で、半年でも遅れるべきではないと考えているのですが間違っていますか?
4)当時ほとんど情報の無かったオンコタイプDXを、主治医の勧めで受けましたが、スコア「26」「5年後再発率17%」という悩ましい数字が戻ってきてしまい、癌にはなったけど早期だからと楽観的だった考えは不安に変わっていきました。
かといって、抗がん剤の上乗せ効果は
少なく、ホルモン単独と決断しました。
田澤先生のコラムを読んでホッとしたり、またQ&Aではスコア「25」の方に抗がん剤を勧めると回答されておられます。
オンコタイプは一つの判断材料とし、あくまで病理全体を見て、治療の方針を決定する、という認識で正しいでしょうか。
私の術後治療の選択は間違いではなかったでしょうか。
今更ですが以下、病理です。
ご多忙中、恐れ入ります。
【診断】
1,左乳房(摘出)
Primary breast cancer. Invasive ductal carcinoma. scirrhous carcinoma.
2.廓清・乳(摘出)
Lymph node metastasis. positive (1/7)
【所見】
《追加報告:免疫組織化学》
免疫染色標本番号:3
ER?? ??約99%
PgR 約10%
HER2 1+
MIB1 index 約20%
A領域
腫瘍径(浸潤部)1.2×0.8×0.6cm
腫瘍の大きさ 1.2×0.8×0.6cm
組織型 invasive ductal carcinoma, scirrhous carcinoma,
浸潤度 g+??f+
娘結節 -
切除断端 cut surface +, 標本番号:2(頭側 invasion) 約5mm以内+
標本番号2(頭~外側 invasion)
リンパ管浸潤- 静脈浸潤-
intraductal spreading: +??EIC:-
壊死comedo:- punctuate:-
組織学的異型度
Tubular formation:3(<10%)??Mitosis score:1(0-7/10HPF)
Nuclear atypia:2
Total score:6 Tumor grade:2
リンパ節転移 Level1: 0/5 sentinel:1/2 合計:1/7
免疫染色標本番号3
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「田澤先生も回答しておられますが、TAMの10年投与の優位性は証明されているが
アロマターゼインヒビターの10年投与の優位性は証明されていないとありました」
⇒これは勘違いですね。
是非『今週のコラム40回目 AI投与は5年より10年の方が優れている』を参照してください。
「術後5年経過後のアロマターゼ阻害剤の継続について」
⇒上記のように…
「アロマターゼインヒビターの10年投与の優位性」は示されていますが、(医療経済的な面も含め)ある程度「適応を絞る」必要があります。
例えば「1期は除外」とか「80歳以上は除外」など(勿論、骨粗鬆症を含め有害事象も重要な観点です)
その点からは「2期」で「60歳」「骨密度も高い」
⇒是非「10年目指して」頑張りましょう。
「2)術後5年経過後の検査の間隔について」「マンモと技師による超音波、胸のレントゲン、血液検査、骨塩定量検査のみ」「今後この検査の間隔でよいのでしょうか。」
⇒私の感覚では…
5年経過した場合
「ホルモン療法を継続」する場合⇒「3カ月処方」⇒(希望により)「3カ月に1回の診察、超音波でもいい」 ただし、採血やレントゲンは1年でいいでしょう。
「ホルモン療法を終了」する場合⇒「3カ月に1回の通院が不要」⇒(希望により)「半年もしくは1年に1回の診察、超音波」 ただし、採血やレントゲンは(上記と)同様に1年
「3)再発した場合、発見が早い方がよいのかどうか」「局所再発の場合は、早く見つけて対処すれば根治も可能で、半年でも遅れるべきではないと考えているのですが間違っていますか?」
⇒これは、その通りです。
その意味では「温存」であれば「半年に1回の超音波」が理想的だと思います。
「4)オンコタイプDXについて」「私のような中間リスク後半のスコアの場合、田澤先生はどうアドバイスされますか」
⇒私は「ハイリスク」しか抗癌剤は勧めません。
ただ、「中間リスクでも、それによる上乗せ数字(通常は5%以下となると思いますが)がご本人にとって重要」ならば、(ご本人の意思を尊重して)「抗ガン剤を行う」ことになります。
質問者様から 【結果2 】
術後10年が過ぎ卒業しました
性別:女性
年齢:65歳
病名:乳がん
田澤先生の診察:[診察なし]
田澤先生の手術:[手術なし]
管理番号4514
術後5年後の治療に悩んでおりましたが、田澤先生にご回答いただき、
アドバイスのようにフェマーラを10年継続し、年に一度の病院の検査に加え、超音波も自発的に行なっていました。
再発無しに無事卒業できましたので、お知らせ致します。
今後も検査は怠らないよう努力します。
基本情報では、私の思い込みによるミスもあったと後になり色々とわかってきた部分もあります。リンパ節郭清はレベル2までしたのだと思います。勉強不足で申し訳ございませんでした。
先生のアドバイスにより、精神的にとても楽になり、大変感謝しております。
ありがとうございました。
<Q&A結果>