[管理番号:3221]
性別:女性
年齢:43歳
田澤先生、はじめまして。
質問させて下さい。
去年1月に右乳癌と診断されました。
ER(+) PgR(-)Her2(1+)
髄様癌 T2(us2.2cm)、N1 、 M0、StageⅡB
術前に化学療法FEC4コースとドセタキセル4コース施行
7/(下旬)手術 右乳房全摘+リンパ郭清
病理所見 No remnant malignant cells pNO=0/13
(化学療法効果判定 グレード3)という結果でした。
その後、ホルモン治療ノルバディクス内服しましたが、副作用が強く(軽度うつ)3ヵ月で中止しています。
現在無治療で、再発するのではないかという不安が強いです。
抗がん剤後生理も止まったので、閉経後のホルモン治療は使えないか主治医に質問したのですが、「完全奏功したからね。ホルモン治療しなくていいよ」と言われました。
このまま無治療でいいのか、
中学生の娘と2人暮しで、再発したら…子供を1人にしてしまう…と不安な毎日を送っています。
今後どのような治療をしたら良いのか?
完全奏功後は、ほんとうに無治療で再発リスクはないのか?
ホルモン治療する場合、ノルバディクス以外の薬はどんなものがあるのか?主治医に治療してもらうためにはどのようにお願いしたらいいのか?
多忙の中、申し訳ありませんが、回答よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
ルミナールタイプで「完全奏功」ですね。
それは良かったです。
術後療法としては当然「タモキシフェン」となりますが、「それ以外」となると選択肢は極めて狭くなります。
「抗がん剤後生理も止まったので、閉経後のホルモン治療は使えないか主治医に質問」
⇒誤った考えです。
化学療法閉経は「本当の閉経とは異なり」ます。
(閉経後のホルモン療法である)「アロマターゼインヒビター」を用いることで「生理が再開し、予後に悪影響がある」ことが解っています。
「完全奏功後は、ほんとうに無治療で再発リスクはないのか?」
⇒再発リスクが「無い」訳ではありませんが、十分に低いとは思います。
「ホルモン治療する場合、ノルバディクス以外の薬はどんなものがあるのか?」
⇒ノルバデックス以外にはありません。
●最低1年は待ちましょう。
1年経っても「月経再開」なければ(エストラジオール値で確認した上で)アロマターゼインヒビターとします。
逆に「月経再開」となれば「LH-RHagonist 」を行います。
質問者様から 【質問2 今後のホルモン治療について】
性別:女性
年齢:45歳
病名:右乳がん 髄様がん
症状:
田澤先生、こんにちは。
以前管理番号3221でお世話になりました。
(病理学的完全奏功後のホルモン療法について)
その節は大変ありがとうございました。
術後1年経過した時に、右腕のリンパ浮腫が出現。
CT上再発なく、リンパマッサージや弾性包帯など使用し、リンパ浮腫の改善にはいたりませんが、なんとか現状を維持しながら生活しています。
同じ頃より、
月経が再開しノルバデックス+リュープリンを開始しました。
開始時に一時的に感情失禁がありましたが、その後はホットフラッシュ程度の副作用で経過していましたが、今年7月にリュープリン後の皮膚硬結、発赤、腫脹、痛みでゾラデックスに変更しています。
ゾラデックスに変更後薄っすらと不正出血がみられ婦人科受診。
婦人科では子宮体癌、頸がんは問題ないが内膜が肥厚(1.8cm)していると言われました。
しかし、その後生理のような量の出血が5日間~7日間、2ヶ月続いています。
ここで、質問です。
1.ホルモン療法中にも生理が再開することがあるのでしょうか?
2.もし、生理だとしたらホルモン治療は効果がないということでしょうか?
3.今後のホルモン治療としてはどうしたらよいでしょうか?
ご多忙の中、大変申し訳ありませんがご回答よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
物事はシンプルに考えましょう。
「その場」「その場」に起こっている現象に対し、「その都度」心配していては何の解決にもなりません。
実際に起こっているのは、
「化学療法閉経」→(単に、一時的に抗がん剤によって卵巣機能が停止していただけ)→(抗がん剤の影響がなくなり)「卵巣機能が再開」
「1.ホルモン療法中にも生理が再開することがあるのでしょうか?」
→「ホルモン療法中」と一括りに理解するのは止めましょう。
タモキシフェン(ノルバデックス)自体には「生理を止める=卵巣機能を停止させる」作用はありません。
この場合には、リュープリンからゾラデックスに変更した際に、(似ているとはいっても)違う薬剤なので「一時的に」卵巣が賦活して(結果)生理が起きなのでしょう。
★無論ゾラデックスも卵巣機能抑制が(リュープリンと同様に)あるので、また生理は停止します。(慌てる必要は全くありません)
「2.もし、生理だとしたらホルモン治療は効果がないということでしょうか?」
→全く違います。(上記通り)
リュープリンからゾラデックスの切り替えによって、あくまでも「一時的に」そうなっただけです。
物事を(焦って)「刹那的に」捉えるのは止めましょう。
「3.今後のホルモン治療としてはどうしたらよいでしょうか?」
→そのまま継続です。(当然)