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心不全とホルモン治療

[管理番号:8824]
性別:女性
年齢:50歳
病名:乳ガン
症状:
投稿日:2020年8月19日

いつも、拝見しております
ただいま、循環器内科にて入院中のため、わたしの乳ガンの検査結果が手元にありませんが、今後の乳ガンの治療についてアドバイスをいただきたく、質問させてもらいます

左胸
ルミナールa
ki67 19
腫瘍三センチ
左腋窩リンパ節転移 8こ

2017年11月 左胸全摘手術、腋窩リンパ節郭清

2018年1月 抗がん剤 fec
(fec前に心エコー検査、心電図問題なし)

2018年4月 抗がん剤 ドセタキセル
(ドセ前に心電図のみ 問題なし)

2018年6月 両足左腕が浮腫
(リンパドレナージュで、足は治る)
腫瘍マーカーが上がり、CT、胸部エコー、骨シンチ をして問題なし
腫瘍マーカーも下がる

田澤先生のQ&Aで、ドセタキセルの影響で腫瘍マーカーがあがることがあると書いていたので、すぐ色々再発検査するのは納得しませんでしたが。

2018年7月 放射線治療

2018年8月 フェマーラ服用開始
10年服用の予定

三ヶ月おきに通院
そのたびに、腫瘍マーカーを測る
定期的に胸部エコー、マンモ

2020年3月 乳腺外科、定期検診
胸部エコー 問題なし
放射線治療 経過観察のため、胸部レントゲン 問題なし

2020年4月 時々横になるとき息苦しかったり、動悸がする

乳腺外科に話したら フェマーラの副作用だろうと今月の 8月の定期検診まで様子見をしました

先日 朝まで動悸、息切れがおさまらずかかりつけの乳腺外科(大学病院)に急患でいく
肺に水がたまっており
心臓機能低下により緊急入院

心臓カテーテル検査、心臓生検をした結果、血管は問題なし
抗がん剤による心不全心筋症かもということです
フェマーラも心不全になった原因が0ではないので、中止
フェマーラは、二年間飲みました

しばらくは、心不全をすこしでもよい状態にするべく乳ガンの治療はお休みします

ルミナルaタイプでも、腋窩リンパ転移があるハイリスクだからと、抗がん剤頑張ったのですが、こんなことになり悔しいです

質問です

1. 心臓が少しおちついたらできれば乳ガン再発したくないのでホルモン療法続けたいのですが、心臓に負担がない閉経後ホルモン薬はあるのでしょうか

ホルモン薬は更年期障害のような副作用がでるので本当は飲みたくありませんが、心臓に負担ない薬があるなら飲みたいと思っています

主治医は閉経前のホルモン薬なら大丈夫かもといってましたが
閉経前のは効果ないのではないでしょうか

2. わたしの場合、治療はしないという選択をしたら、再発リスクはどのくらい上るのかデータは、ないかもしれませんがご意見をいただきたいです

3. もし全身に再発してしまったら、心臓が悪いと薬の選択肢もなく、諦めるしかないでしょうか

どうかご意見を伺いたくよろしくお願いします

 

田澤先生からの回答

こんにちは田澤です。

「1. 心臓が少しおちついたらできれば乳ガン再発したくないのでホルモン療法続けたいのですが、心臓に負担がない閉経後ホルモン薬はあるのでしょうか」
⇒通常は、問題ありません。
 落ち着いたら、(念のために)薬を変えて再開となるでしょう。

「閉経前のは効果ないのではないでしょうか」
⇒誤り!

 もともと(アロマターゼ阻害剤が出る前は 20年前まで)全てのホルモン療法はタモキシフェンでした。(そもそもタモキシフェンは「閉経前専用ではない」のです)
 タモキシフェンとアロマターゼ阻害剤の比較試験で「アロマターゼ阻害剤の方が、
やや勝った」と言うだけの話で、(当然ながら)閉経後でもタモキシフェンは有効です。

 と、いうか・
 そもそも質問者は化学療法閉経ではないのですか?(抗がん剤する前は、まだ閉経前もしくは更年期)
 もしもそうなら、「そもそも」タモキシフェンの方が妥当なのです。

「2. わたしの場合、治療はしないという選択をしたら、再発リスクはどのくらい上るのかデータは、ないかもしれませんが」
⇒10%前後と想像します。

「3. もし全身に再発してしまったら、心臓が悪いと薬の選択肢もなく、諦めるしかないでしょうか」
⇒普通にanthracycline taxaneをして(薬剤性の)心機能障害は通常起こりません。

 どの程度の心機能なのか不明ですが、可逆性(一過性で、改善してくる)なのでは?(経過見ないと不明ですが)

 心機能が改善すれば、選択肢はいくらでもあります。
 今から、それを悩むのは杞憂というものです。