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非浸潤ガンとリンパ浮腫について

[管理番号:4798]
性別:女性
年齢:42歳
乳がん温存手術後の治療について??現在43歳?腫瘍約8.8ミリ
大人しいタイプの非浸潤ガン?ホルモン受容体 陽性?Her2 陰性?リンパ節転移なし
骨シンチ転移なし
術前診断結果で
細胞診にて(パチッと音がして細胞3つ採取)
1週間後の結果で管内乳頭ガンを90パーセントの確率で強く推測します。
との結果に、小さな病院ですが、初めてのガン宣告にとにかく悪いものは切り取ってほしいと慌ててすぐに手術日を決め温存手術を受けました。
転移をしているかどうかは開けてみないとらわからないとの事で、
術後、目が覚めると、主治医より「怪しいリンパ節を3つ取って病理検査に出しました」と言われました。
術後病理検査の結果は、
(以下、手渡しで頂いた検査の結果の全てです)
IHC0 陰性
ER 90パーセント
pgr 95パーセント
MIB-1 4.8パーセント
細い血管結合性組織の茎をもって、単調で異形の上皮細胞が重層化し、
乳頭状、腺管構造及び篩状構造を形成しながら増殖した所見を認める。
核は基底層に不規則に並び、筋上皮細胞が部分的に欠損している。
腫瘍は乳管内に留まっている。
非浸潤ガンである。
免疫染色で腫瘍層の基底層にはalpha-SMA.calponin.p63は部分的に欠損し、腫瘍巣の異形上皮細胞にはCK19がびまん性に陽性でCK5/6.CK14は陰性です。
腫瘍巣の基底層にはCK19.CK5/6.CK14は陰性です。
郭清したリンパ節、切除断端には癌細胞浸潤を認めません、とあります。
術後の治療方針が決まり、5日前から放射線治療+ホルモン療法(ノルバデックス10年、リュープリン5年)を始めました。
ですが、乳がんに関するいろいろな記事を検索するたびに非浸潤ガンの治療法とリンパ浮腫について、気持ちが晴れずにいるため、ご相談させてください。
①術後に、インターネット検索でリンパ節転移の有無を調べるセンチネル生検というものを知りました。
私の場合、昔気質のご高齢の先生が勤務されている田舎の病院ということもあり、それを省略され、3つのリンパ節が切除されたのですが、現在の仕事は力仕事でもあり、リンパ浮腫がとても心配しながら仕事をしています。
今後、重い荷物は極力持たないなど、リンパ浮腫への対策など術後何年程気にかけるべきでしょうか?
②現在の乳腺外科の主治医(ご高齢の方です)は、
治療法として、術後当初は放射線50gry後、ゾラデックスのみを毎月10年間続けましょうと言われましたが、
私自身の仕事の都合もあり、3か月に一度のリュープリンがあることをネットで知り、主治医に相談すると「うちは大概 ゾラデックスですが、」と言われながらも取り寄せて頂き、本を私に提示しながら、「リュープリン5年とノルバデックス10年が推奨されるということなので」
と、最後になって本が決め手となり治療法が決まったように思えてなりません。
田澤先生にお尋ねします。
非浸潤ガンであれば術後無治療で良いとされる見解に値する患者は主治医が手術で完全に切除できたと認識された場合のみでしょうか?
仮に無治療の場合、ホルモン受容体が作用して胃腸などの別の臓器での転移も起こり得るのでしょうか?
先生の治療方針では私のようなレベルの患者にはどのような治療方針を決断されますか?
③私自身、若い頃は1か月間生理が続くこともあったり、(現在は約28日周期で婦人科検診では異常なしです)昨年は、子宮内に良性のポリープがあり、切除して頂いてます。
先月まで貧血の治療薬を2か月服用し、やっとギリギリ正常内数値に入りましたが、偏頭痛持ちのため副作用がとても不安ですが、ホルモン療法はやはり10年間もの歳月をかけて行うべきでしょうか?
仮に無治療の場合、再発すると命を脅かされますか?
いくつもご相談させて頂き申し訳ありません。
どうぞよろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
問題点は
(術前診断が非浸潤癌なのに)「骨シンチ」をしていること
術中センチネルリンパ節生検をしていないこと(おそらく、その施設では「術中迅速病理診断ができない」事情があると推測します)
「術後の治療方針が決まり、5日前から放射線治療+ホルモン療法(ノルバデックス10年、リュープリン5年)を始めました。」
⇒明らかな過剰診療
 そもそもホルモン療法自体不要だと思います。
 タモキシフェンは子宮体癌のリスクがあり、(非浸潤癌では再発リスクが極端に小さいため)その(再発予防)「効果」とバランスしません。
 リュープリンは非浸潤癌でやるべき治療ではありません。
「今後、重い荷物は極力持たないなど、リンパ浮腫への対策など術後何年程気にかけるべきでしょうか?」
⇒「3こだけ」ということから・
 あまり酷いリンパ管損傷となっていないことを期待するだけです。
 どの程度の手術が為されているのかは私には知りようがありません。(担当医に確認すべきです)
 ♯ただ、一般的に其の程度ではリンパ浮腫となるリスクは低い事と思われます。
「非浸潤ガンであれば術後無治療で良いとされる見解に値する患者は
主治医が手術で完全に切除できたと認識された場合のみでしょうか?」

⇒違います。
 局所療法(全摘もしくは温存+放射線)だけでいいのです。
「仮に無治療の場合、ホルモン受容体が作用して胃腸などの別の臓器での転移も起こり得るのでしょうか?」
⇒胃には転移しません。
 非浸潤癌で遠隔転移する確率は極端に少ないので無視すべきです。
「先生の治療方針では私のようなレベルの患者にはどのような治療方針を決断されますか?」
⇒温存手術だから(当然)放射線が必須となりますが、それで治療は終了です。
「ホルモン療法はやはり10年間もの歳月をかけて行うべきでしょうか?」
⇒非浸潤癌でホルモン療法(タモキシフェン)10年というのは、あり得ない事です。
「仮に無治療の場合、再発すると命を脅かされますか?」
⇒非浸潤癌では、そもそも確率的に極端に低いため不要な心配と言えます。
☆何事も「過ぎたるは及ばざるがごとし」です。
 過剰診療が許される時代ではありません。(副作用の面でも、医療経済学的な面でも)