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針生検で膿

[管理番号:4574]
性別:女性
年齢:36歳
こんにちは、いつも拝見させていただいています。
先日、右側の乳頭付近に時々チクチク・ズキっとした痛みと共にしこりを感じ、総合病院の乳腺外科へかかりました。
マンモグラフィー、エコー検査をしてもらい、どちらも乳頭下に、1.5センチ程のものが写っていました。
エコーでは、黒い影の中に小さな白い点(影?)があり、医師は悪性の可能性があるので検査をしましょうと、その日に針生検をしていただきました。
針生検の際に、医師が「確か痛みがあったんですよね?しこりの部分に膿がありますね」と言いながら組織を取っていました。
針の先には膿と血液が混ざっさようなものが付いていました。
結果は10日後です。
質問なのですが、
①エコーの黒い影の中に白い点(影?黒い丸の中に、米粒のようなものが2~3個並んでいるように見えました)があるものは嚢胞内腫瘍の場合があると認識しているのですが、膿瘍の場合でもそのようなエコー画像になることがあるのでしょうか?
②針生検の際に医師が痛みについて聞いてきたのは、膿瘍の痛みを疑っていたのでしょうか?
③マンモグラフィーやエコーで悪性を疑っていても、針生検で患部から膿が出た場合、悪性の可能性は減るのでしょうか?
お忙しいと思いますがご回答宜しくお願い致します。
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田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
そもそも「チクチク・ズキっとした痛みと共にしこりを感じ」とあるので、可能性としては
1.(位置的に)乳輪下膿瘍
2.肉芽腫性乳腺炎
3.(乳がんなど)本物の腫瘍
となります。
「①エコーの黒い影の中に白い点(影?黒い丸の中に、米粒のようなものが2~3個並んでいるように見えました)があるものは嚢胞内腫瘍の場合があると認識しているのですが、膿瘍の場合でもそのようなエコー画像になることがあるのでしょうか?」
⇒なります。
「②針生検の際に医師が痛みについて聞いてきたのは、膿瘍の痛みを疑っていたのでしょうか?」
⇒そのようです。
「③マンモグラフィーやエコーで悪性を疑っていても、針生検で患部から膿が出た場合、悪性の可能性は減るのでしょうか?」
⇒減ります。
 というか、乳癌が膿を伴うことは通常ありません。
○肉芽腫性乳腺炎を知らない乳腺外科医は多いので、針生検の結果には注意が必要です。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

管理番号:4574
先週、針生検で膿というテーマで質問させていただいた者です。
あと数日後に結果が出るので不安な毎日を過ごしております。
自分の中では、「悪性腫瘍」か、前回田澤先生に教えて頂いた「肉芽腫性乳腺炎」ではないかと考えています。
私は4年前に出産しており、1年半前まで授乳をしていました。
また、右側の乳頭が扁平だったため、ほぼ左側のみで授乳をしていた状態でした。
(今回、腫瘤のあるのは右乳房です)産後5年以内の女性に肉芽腫性乳腺炎が発症しやすという事も書いてあり、自分もそうだといいな…
と僅かな希望を持っているところです。
質問ですが、
①針生検の際に腫瘤内に膿があると医師に言われましたが、肉芽腫性乳腺炎を調べていると、乳房の皮膚が自壊し、膿が出てくる、または針生検の傷口から膿が出てくるなどというのを目にしますが、私の場合は、
針生検の際に医師が乳房を絞るようにして傷口から膿を出そうとしているように見えましたが、膿は出ていない様子でした。
針生検後にもとくに炎症や膿が出てきたりもありませんでした。
逆に針生検後に痛みが無くなったような気もします…
肉芽腫性乳腺炎の場合に、あまり膿の出ないものもあるのでしょうか?
また、痛みが治まるものなのでしょうか?
②また、腫瘤のある場所が、乳頭より2~3センチ程下(奥)なのですが、場所的に乳頭下膿瘍ではなく、やはり悪性腫瘍か肉芽腫性乳腺炎の可能性が高いのでしょうか?
③エコー検査の際に、カラードプラー?で小さく血流も確認できていたようですが、肉芽腫性乳腺炎でも血流は確認されたりするのでしょうか?
④炎症を起こさない肉芽腫性乳腺炎もあるのでしょうか?
お忙しい中たくさんの質問失礼致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「右側の乳頭が扁平だった」
⇒陥没乳頭でしょうか?
 それなら、「乳輪下膿瘍の原因」とはなります。(陥没乳頭=乳輪下膿瘍というわけではありません)

「針生検の際に医師が乳房を絞るようにして傷口から膿を出そうとしているように見えました」

⇒これは、(肉芽腫性乳腺炎を知らない)乳腺外科医に典型的な行動と言えます。
(「あれっ?膿が出る筈。おかしいな。」と)
 ♯今週のコラム42回目での医師の行動を、忘れない様にしましょう。
   (以下、引用)
 担当医 「炎症?おかしいな。炎症だったら、膿が出る筈だ。針生検の孔を広げて膿をだします。」
 担当医は、そう言うと無理やり、針生検の孔をグリグリ広げようとします。
 しかし、膿など出ません。
 更に複数個所から針を入れてグリグリします。
 「痛い。痛い…」
 担当医 「膿出ないなー。本当に炎症か? やっぱり癌なのでは?」
「Aさん。組織診の結果は炎症となってるけど、癌の疑いも捨てきれません。本当に炎症ならば、
抗生剤で良くなる筈だから、暫く抗生剤で様子を見ます。結局癌だったという可能性も、まだありますよ。」
「肉芽腫性乳腺炎の場合に、あまり膿の出ないものもあるのでしょうか?」
⇒通常は膿は出ません。
 ○肉芽腫性乳腺炎とは本来「肉芽が炎症を起こす」ことによる「シコリと痛み」です。(症状は「膿」ではありません)
  炎症が強くなったりして「肉芽がドロドロに溶けて膿が出る事もある」と言う程度です。
「②また、腫瘤のある場所が、乳頭より2~3センチ程下(奥)なのですが、場所的に乳頭下膿瘍ではなく、やはり悪性腫瘍か肉芽腫性乳腺炎の可能性が高いのでしょうか?」
⇒前回、回答したように…
 (場所的には)乳輪下膿瘍も疑います。
  ただし、「膿は出ていない様子」とあるので、(膿が出ないのなら)「肉芽腫性乳腺炎」が候補に挙がるのです(ただし、乳輪下乳腺炎も必ずしも膿瘍を形成する「それを乳輪下膿瘍といいます」わけではないのです。
「③エコー検査の際に、カラードプラー?で小さく血流も確認できていたようですが、肉芽腫性乳腺炎でも血流は確認されたりするのでしょうか?」
⇒勿論です。
 それで、(肉芽腫性乳腺炎を知らない)乳腺外科医が「癌と勘違いする」のです。
 これも『今週のコラム39回目 1つの病院で肉芽腫性乳腺炎の患者さんが10名を超えているなんて、日本中どこを探してもあり得ないことです。』をお読みください。
「④炎症を起こさない肉芽腫性乳腺炎もあるのでしょうか?」
⇒「炎症が消退(つまり、改善傾向にある)」時期には炎症はどんどん治まります。