[管理番号:4976]
性別:女性
年齢:43歳
はじめまして。
現在海外(イギリス)に在住で、1か月前に左胸全摘とリンパ郭清を行なったのですが、術後治療について相談させて下さい。
術前診断ではリンパ転移なしのため、部分摘出予定でしたが、センチネルリンパに1つ転移が見つかったため、乳頭含め全摘しレベル2まで郭清しました。
郭清で12個取ったうち1個転移が見つかりました。
病理検査の結果は以下の通りです。
英語を自分なりに訳してみたのですが、念のため原文の英語も併記しておきます。
3時方向に浸潤癌が計2個
*20mm /grade2/T3 P2 M1/粘液混合型? invasive carcinoma of mixed
type(mucinous and no special type)
*18mm/grade1/T2 P2 M1/粘液癌
(carcinoma of mucinous type)
リンパ転移ー2/13
センチネルリンパに4mmの微小転移
リンパ郭清で3.5mmの微小転移
エストロゲン 8/8
プロゲステロン 8/8
HER-2 Negative
ルミナールAだろうと言われています。
現在オンコタイプの結果待ちです。
ドクターには、スコア18以上なら抗ガン剤をやり、それ以下であれば放射線とホルモン療法になると言われました。
そもそも全摘をしているのに放射線は必要なのかと聞いたところ、皮膚は残っているからそこに当てると言われました。
そういうものなのでしょうか?
また、オンコタイプで高リスクが出た場合は、私も抗ガン剤を考えようと思っていますが、中リスクの場合は正直どうしようか判断に迷うところです。
先生でしたら、このタイプの癌でオンコタイプが中リスクで出た場合、どのようにお考えになるか、ご教示いただけますでしょうか?
また、粘液癌なのに針生検をしたため、リンパにまで広がってしまったのではないかとも思っています。
生検から手術まで約1か月半も空いてしまったのですが、それとリンパ転移は関係あると思われますか?
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
まず指摘したいのが「micrometastasis微小転移」とは「2mm以下」を指します。
(「4mm」とか「3.5mm」はmacrometastasis肉眼転移となります)
「ドクターには、スコア18以上なら抗ガン剤をやり」
⇒誤りです。
トップページの「お知らせ」の中の『Oncotype DXで勘違いしていませんか??』を、是非ご参照ください。
「そもそも全摘をしているのに放射線は必要なのかと聞いたところ、皮膚は残っているからそこに当てると言われました。そういうものなのでしょうか?」
⇒全摘後の放射線照射の適応は「リンパ節転移4個以上」です。
日本の場合(推奨度A)
「先生でしたら、このタイプの癌でオンコタイプが中リスクで出た場合、どのようにお考えになるか、ご教示いただけますでしょうか?」
⇒中間リスクでは「抗癌剤による上乗せは(統計学的に)否定」されています。上記『Oncotype DXで勘違いしていませんか??』参照のこと
私は「高リスクでしか、抗癌剤をしません」
「また、粘液癌なのに針生検をしたため、リンパにまで広がってしまったのではないかとも思っています。」
⇒無関係です。
ただし、「粘液癌の場合には、皮膚からの穿刺ルートには注意が必要」です。(リンパ管とは無関係です)
「生検から手術まで約1か月半も空いてしまったのですが、それとリンパ転移は関係あると思われますか?」
⇒ありません。
考え過ぎです。