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断端陽性結果での治療について

[管理番号:2885]
性別:女性
年齢:50歳
いつもこちらのQ&Aを参考にさせて頂いております。
今回、断端陽性の結果を知り、心配になり初めて質問させて頂きます。
2月のマンモトーム検査で確定
ER陽性10%・HER2陽性score3・Ki67 30%強
先月3月に右胸の内視鏡による温存手術を受けました。
石灰可がもやもやと広がっていたようですが、腫瘍の大きさは確認しておりません。
また、手術時リンパ節への転移を確認していただき、転移は無いようでしたが、腫大が見られ切除いただいてます。
術後、一週間後から抗がん剤のUFT200を朝晩内服
点滴:エンドキサン(月初め一回のマンスリー)・タキソール(3週続けて1週休み)・
ハーセプチン(3週続けて1週休み)が1クールで6クール投与予定(半年)
ハーセプチンは1年間投与予定
抗がん剤終了後、放射線療法・ホルモン剤療法予定
手術時の病理結果
wide excision, apocrine DCIS, high unclear grade, with questionable foci of stromal invasion, margin(+),SLN(-),n(0/9)
組織所見は頂いた検査報告書をそのまま写しますが・・・
材料は部分切除された右乳腺組織及びリンパ節。
乳腺は全割し、10個の標本を作製。
№2-9において中等度から高度の核異型示す細胞が主として充実性に或いはcomedo
patternを呈して乳管内増生しており、high unclear grade DCISの診断になりますが、
№4,5では間質浸潤を否定しきれないfociが散在性にみられます。
Cancerはしばしば切除断端に迫っており、№7の側方断端で陽性となります。
また、№3,4では面が出きっていない側方断端近傍部にcancerみられ、断端陽性否定できません。
乳頭側及び乳頭反対側断端はいずれも陰性です。
リンパ節はSLN(0/1), LN-I(0/9),とmetastasis認めません。
以上が報告書内容で、断端陽性があることに対して非常に心配です。
検査結果を頂いただけで、主治医からはこの件に関して特にコメントが無かったのですが、放射線治療で賄えるのでしょうか?
また、乳管内のがん細胞が露出されており、どんどん広がって浸潤していかないのでしょうか?
追加切除する場合、少しでも早く処置をしてほうがよいのでしょうか?
先生のお考えを教えていただきたく、よろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
私は、そもそも内視鏡手術を認めていません。
断端陽性であっても「追加手術を勧めていない」ことからも「内視鏡手術だから、有る程度の断端陽性は想定内」ということかもしれません。
 
「リンパ節はSLN(0/1), LN-I(0/9),とmetastasis認めません」
⇒「転移は無いようでしたが、腫大が見られ切除」とありますが、「全く不必要な追加郭清」がされているようです。
 私には理解できません。
術後治療としてUFTを用いていることも全く理解できません。
 
「検査結果を頂いただけで、主治医からはこの件に関して特にコメントが無かったのですが、放射線治療で賄えるのでしょうか?」
⇒複数個所で陽性となっており、「局所再発のハイリスク」といえます。
 
「また、乳管内のがん細胞が露出されており、どんどん広がって浸潤していかないのでしょうか?」
⇒非浸潤癌が残っている可能性はあります。(露出したから、乳管から外へ出る=浸潤ということではありませんが)
 
「追加切除する場合、少しでも早く処置をしてほうがよいのでしょうか?」
⇒緊急性はないとは思いますが、「きちんとした治療」が必要です。
以下は蛇足です。 あくまでも参考までに…
○もう一つコメントさせてもらうと、病理診断が「間質浸潤を伴うかもしれない、アポクリン非浸潤癌」となっています。
 つまり、「浸潤癌の確定診断」ではありません。
 抗HER2療法は、浸潤癌にのみ適応がある治療法です。 通常5mm以上の浸潤径が無い限り適応とはなりません。
 (穿った見方をすれば)局所療法が不十分なところを(半ば、強引に)全身療法でカバーしようとしているようにも見えます。
 本来「局所療法」と「全身療法」は全く独立したものとして、「それぞれにおいて完結させるべき」と思います。