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治療方法について

[管理番号:1432]
性別:女性
年齢:50歳
乳癌の検査の時からこのサイトを拝見させていただき、どの方にもきめ細やかな答えをされていて、
先生もお忙しいのに本当に感心しておりました。
一時期、サイトがストップしていて、
無くなるのかと不安でいっぱいでしたが、
再開して下さり、本当に感謝でいっぱいです。
田澤先生が近くにいらしたら、すぐに診てもらいたかったです。
8月初めにしこりが見つかり、9月30日に全摘手術をしました。
しこりは左胸の内側上部にあり、1.2cmくらいだから温存手術先行で、
切って乳首近くまで癌が広がっていれば全摘になります、と聞いていて承諾していたのですが、
温存出来るのならという思いもあり、手術後はやはりショックでした。
結果、広がりが大きく、全摘。よって手術の傷が2ヶ所あります。
今後の治療について迷っていて、田澤先生にぜひご相談させて下さい。
病理結果
浸潤性入管癌(硬癌)
ER(+)95%、PR(+)95%
HER2(-)
ki67 15%
リンパ節転移なし
脈管侵襲なし
ルミナールAタイプからホルモン治療はします。
あと、化学療法をするか迷っています。
副作用もあり、担当医もするかしないか微妙な所なので、
本人の判断に任せると言われました。
乳管に沿って乳首まで広がっていた事を気にされていた様でした。
質問
①化学治療した方が良いのでしょうか?
②化学治療した場合、どの薬がいいのか、又どれくらいの上乗せ効果があるのか?
③ホルモン治療のみの場合、今後の転移の可能性が大きくなるのですか?
長々となり、申し訳ありません。
今月末までに答えを出さなくてはいけないので、
お手数ですが、よろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
ルミナールAなので、「リンパ節転移なし」という時点で「化学療法の適応なし」となります。
担当医が「するかしないか微妙な所」と言っているのは何故でしょうか? 

回答

「①化学治療した方が良いのでしょうか?」
⇒適応はありません。
 冒頭でコメントした通りです。
 ルミナールAで「リンパ節転移なし」では「化学療法の適応」を検討する状況では
ないと思います。
 
「②化学治療した場合、どの薬がいいのか、又どれくらいの上乗せ効果があるのか?」
⇒%を出すには、「浸潤径」と「核グレード」の情報が必要です。
 
「③ホルモン治療のみの場合、今後の転移の可能性が大きくなるのですか?」
⇒ホルモン治療のみでいいと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先日はお忙しい中ご回答いただき、ありがとうございました。
担当医に病理診断書のコピーを貰っていなかったので、
今回貰いました。
ただし、私にはよく分からないところもあり、
先生は分かりますでしょうか。
浸潤性乳管癌 SurnhoUS type , 波及度f
ER(+,95%) PgR(+,95%) , Her2(-,スコア1)
Ki67 15% , グレード1(異型2、分型1)
SLN(0/1)
左胸内側、上部しこり1.5cm
広範囲で乳管内進展あり(しこり部より乳首まで)
乳頭部付近 浸潤癌なし
良性の2層性の保たれた乳管内病変が多いが、
一部で2層性の消失しのもの
外縁を除き2層性の消失したもの、内腔部にえ死物を
入れたものがあり、乳管内要素として癌が存在する。
以上のように書いてありました。
担当医にも、もう一度聞いてみたのですが
長年に渡って癌ができたのではないかという事で、
抗がん剤はした方が良いのではないか、と言われました。
抗がん剤のリスクを考えると、やはりすぐには返事が出来ず
まだ迷いに迷っています。
田澤先生なら、抗がん剤をされますか?
浸潤径が書いてなかったのですが、しこりから
乳頭あたりだとすると5cmくらいはあると思いますが(?)
ホルモン剤だけでは、やはり転移しやすいという事でしょうか?
抗がん剤をプラスするとした場合、どの薬になりますか?
手術(全摘)をしても、まだこれから先もずっと
悩まなくてはいけないのかと思うと、本当に大変な病気に
なってしまったと実感しています。
今後もお力をいただけたら、幸せます。
よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
pT1c(15mm), pN0, luminalA, NG1
文句なしの早期乳癌で、しかもルミナールA
担当医が「何故、化学療法を勧めているのか?」全く意味不明です。
担当医はSt.Gallenとか、NCCNのガイドラインなど「きちんとした基準」を持って診療をしているのでしょうか?
申し訳ありませんが「全く、議論の余地なし」と思います。

回答

「田澤先生なら、抗がん剤をされますか?」
⇒抗がん剤は絶対にしません。
「luminalA」「核グレード1」「リンパ節転移なし」「浸潤径15mm」
⇒どれ一つとっても「抗がん剤を勧める要素」はありません。
 ♯非浸潤癌の拡がりなど、全く問題にする必要はありません。(それだけが、化
学療法を勧める根拠だとしたら、悲しくなります)
 
「浸潤径が書いてなかったのですが、しこりから乳頭あたりだとすると5cmくらいは
あると思いますが」
⇒1.5cmだと思います。
 この病理レポートには「左胸内側、上部しこり1.5cm」と記載があります。
 それ以下の記載「広範囲で~」は全て「乳管内病変=非浸潤癌及び良性病変の記
載」です。
 
「ホルモン剤だけでは、やはり転移しやすいという事でしょうか?」
⇒全くそんなことはありません。
 抗がん剤の適応は「全く無し」です。
 
「抗がん剤をプラスするとした場合、どの薬になりますか?」
⇒私には(私だけでなく、多くの乳腺外科医にとって)抗がん剤を追加するなど「全
くありえない」ので、コメントできません。
 
 
「手術(全摘)をしても、まだこれから先もずっと悩まなくてはいけないのか」
⇒余計な心配をしています。
 幸い人間は「忘れる動物」です。いつの間にか「乳癌の事など忘れている」自分に気付く筈です。