[管理番号:4552]
性別:女性
年齢:45歳
はじめまして。
つい最近、乳がんプラザのQ&Aを知りました。
初めて質問させていただきます。
質問内容は、今後の治療方針についてです。
よろしくお願いします。
私の家内の乳がんについてです。
まずは、質問するにあたりまして、経緯を書き記します。
長文となりますが、何卒よろしくお願いいたします。
2012年(平成24年)9月ごろ、定期健診にてがんの疑いがあるとのことで、
検査の結果、右乳房にがん腫瘍があり、右リンパ節への転移も見られると診断されました。
2012年(平成24年)11月(上旬)日に、右乳房全摘出(乳房再建のインプラント挿入)
及び右リンパ節一部切除(このときにリンパ節へ転移していた「小さい腫瘍」は切除せず、のちの投薬などでのリハビリで治療していく方針としました。)
その後の治療方法 主にホルモン治療
・リュープリン注射(3ヶ月に1回)
これは本来なら2年くらい投与したら中止するようですが、2016年9月まで投与し続けました。
・ホルモン剤 「タモキシフェン20」
毎朝1錠服用(2012年の術後の治療開始から2017年2月まで)
直近の状況
H29・2・(上旬) 定期検査に引っかかる。
超音波検査で、右ワキのリンパ節に影が見受けられるとの診断。
一部細胞を採取し、検体に出す。
(結果は2週間後)
H29・2・(中旬) 悪性がん腫瘍と診断
H29・2・(下旬) 手術により、11個のリンパ節を切除。
そのうちの8個ががん腫瘍に侵されていた。
H29・3・(上旬) 抜糸
H29・3・(上旬) PET検査を受ける
H29・3・(上旬) 「病理組織診断報告書」(一次報告書)より転載。
受領臓器組織: リンパ節
臨床診断: 右乳癌腋窩リンパ節転移の疑い
病理診断: Lymph node, resection, #1-#11
—
Metastatic adenocarcinoma
(total: 8/11)
所見: リンパ節11個中8個に腺癌の転移を認めます。
乳管癌の転移として矛盾しません。
腫瘍細胞は周囲脂肪組織にも浸潤しています。
*上記の報告書の日付けは、「報告日」であり、実際に見たのは、
3月(中旬)日です。
H29・3・(上旬) 「医療機関用診療情報提供書」より転載。
2017/03/(上旬)に実施いたしました以下の検査について報告いたします。
検査種類:PT
検査部位:全身
所見:
<FDGPET(PET-CT)>
FDG約190MBq静脈投与1時間後に全身像を撮像しました。
rt.Breast ca-postop state、今回、右腋窩リンパ節再発(class Ⅴ)あり。
前回PET-CT(2015/02/(上旬))と比較しました。
右腋窩リンパ節切除10日後。
・右腋窩に以上集積(SUV max=3.1)を伴う液体貯留、脂肪織濃度上昇+
腫脹とairが認められます。
術後の炎症性変化と思われますが、一部、
点状集積なので引き続きfollowして下さい。
鎖骨上窩、胸骨傍や
縦隔領域に有意なリンパ節集積は指摘できません。
・Th9棘突起(SUV max=3.6)、Th7右横突起(SUV max=2.5)、
Th11左椎弓根(SUV max=3.6)や、L1右横突起(SUV max=2.5)等
に骨融解性変化を伴う以上集積が出現しています。多発性骨転移が強く疑われます。
・肝や副腎への遠隔転移を積極的に示唆する異常集積は指摘できません。
・その他、悪性病変を積極的に示唆する異常集積は指摘できません。
・脳、口腔周辺、心、消化管などに生理的集積、腎、尿管、暴行に排泄
過程のFDGを認めます。
・肺野条件のCTでは、両肺に5mm以下のGGNや微小結節影を認めます。
多くが前回もありますが、引き続き経過観察(r/o
lung meta)してください。
胸水貯留なし。
・単純CT上、明らかな肝転移なし。
水腎症なし。
腹水
貯留なし。
24mm大
の左卵巣嚢腫が疑われますが、やや縮小し、生理的なものでしょう。
診断:
右腋窩術後炎症性集積以外に、多発骨転移(胸腰椎)の出現が疑われます。
脊椎MRIでも検査を。
*上記の提供書の日付けは、「報告日」であり、実際に見たのは、
3月(中旬)日です。
H29・3・(上旬) 腰椎骨への転移があると報告される。
H29・3・(中旬) MRI受診
H29・3・(中旬) 「医療機関用診療情報提供書」より転載。
2017/03/(中旬)に実施いたしました以下の検査について報告いたします。
検査種類:MRI 単純
検査部位:胸+腰椎
主訴または病名:PETにて胸腰椎骨転移疑い
所見:
・Th9・11・12の左椎弓から横突起、Th7・9の右椎弓から
横突起、Th6、9-11の棘突起、L1の右横突起にそれぞれT1
低信号、T2脂肪抑制像で高信号の病変が見られ、骨転移と思われます。
・上記病変はいずれも骨外への進展は見られず、dural sac圧迫や
椎間孔の狭小化は指摘できません。
診断:胸腰椎多発性骨転移
*上記の提供書の日付けは、「報告日」であり、実際に見たのは、
3月(中旬)日です。
H29・3・(中旬) 「病理組織診断報告書」(最終報告書)より転載。
受領臓器組織: 乳腺
病理診断: HER2タンパク過剰発現: なし
スコア:1+
所見:
判定の対象となる部位: 浸潤性乳癌
観察される組織型: IDC
陽性占拠率: 10%以上
陽性の局在: 細胞膜
連続性(細胞膜): 一部限局
染色強度: 軽度
コメント)
ER: TS=PS( 5 ) + IS( 2 ) = ( 7 ) ( + ) 100%
PgR: TS=PS( 0 ) + IS( 0 ) = ( 0 ) (- ) 0%
<HER2判定基準>
腫瘍細胞の膜での染色性およびその染色強度が対象となり、細胞質の
反応は非特異反応とする。
細胞膜の反応性は以下の基準で分類し、
スコア2+および3+をHER2タンパクの過剰発現ありと評価する。
0 : 被検体組織中の腫瘍細胞の中でHER2陽性細胞がない。
または10%に満たないもの
1+ : 被検体組織中の腫瘍細胞の中でHER2陽性細胞が10%以上あるが、
腫瘍細胞の一部の膜に限局した弱い染色強度を有するもの
2+ : 被検体組織中の腫瘍細胞の中でHER2陽性細胞が10%以上あり、
腫瘍細胞の膜に限局した連続性のある中等度の染色強度を有するもの
3+ : 被検体組織中の腫瘍細胞の中でHER2陽性細胞が10%以上あり、
腫瘍細胞の膜に限局した連続性のある強度の染色強度を示すもの
H29・3・(中旬) 「病理組織診断報告書」(最終報告書)より転載。
受領臓器組織: 乳腺
臨床診断: 乳癌
病理診断: < Additional report >
所見: Ki67陽性細胞は約60%程度です。
*上記の報告書の日付けは、「報告日」であり、実際に見たのは、
3月(中旬)日です。
H29・3・(中旬) 腰椎骨および右胸から首にかけての部分に、放射線治療を開始する
ことを了承
*放射線治療の日程
H29・3・(下旬)~4・(上旬)までの平日、計10回にわたり腰椎骨への放射線治療
その後、過程を見、ゾメタの服用と胸部及び首周辺への放射線治療に移る。
(日程は未定)
現在、腰椎骨への放射線治療中です。
質問といたしまして、
①家内は、抗がん剤の服用を決心していますが、服用するのが最善なのでしょうか。
私は、副作用なども考えますと、賛成できないのですが・・・
②どの抗がん剤を服用するのかはまだわかりませんが、テレビにて「分子標的治療薬」
という抗がん剤を知りました。
家内の現時点の症状には効果があるのでしょうか。
*ハーセプチンが該当薬?
③現在、放射線治療を、自宅から約1時間電車を乗り継いで通っております。
最初の10回の放射線治療後、もう少し自宅に近い病院への転院は受け入れてもらえる
のでしょうか。
現在の病院の先生いわく、治療中は転院はできませんとのことでした。
以上、よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
どうしても気になるのは『右リンパ節一部切除(このときにリンパ節へ転移していた「小さい腫瘍」は切除せず』というところです。
今更言っても仕方がありませんが、今回の局所再発の原因となったように思います。
「①家内は、抗がん剤の服用を決心していますが、服用するのが最善なのでしょうか。 私は、副作用なども考えますと、賛成できないのですが・・・」
⇒ホルモン療法中の再発(腋窩は「取り残し」だとしても、骨転移が出現しているわけだから)なのだから、「抗癌剤は必須」でしょう。
ただし、私であれば(効果があるかないか解らない様な)「経口抗がん剤ではなく、点滴の抗癌剤」としますが…
「家内の現時点の症状には効果があるのでしょうか。」
⇒bevacizumabは効果が期待できます(但し、単独ではなくpaclitaxelとの併用となります)
Everolimusは「非ステロイドアロマターゼ阻害剤(アリミデックスやフェマーラ)の治療歴が必須」なので閉経前である質問者には該当しません。
またtrastuzumabはHER2陰性なので使えません。
「*ハーセプチンが該当薬?」
⇒HER2 1+(陰性)なので適応外です。
♯HER2は
0、1+(陰性)
2+(FISHで要確認)
3+(FISHで確認するまでもなく陽性)
となります。
「最初の10回の放射線治療後、もう少し自宅に近い病院への転院は受け入れてもらえる のでしょうか。 現在の病院の先生いわく、治療中は転院はできませんとのことでした。」
⇒照射野の問題があるので、途中で替えることは望ましくない(困難)です。