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腋窩鎖骨下郭清の習熟度

手術が難しい条件
1.視野が悪い(奥深くにある)
2.重要な血管の傍にある(損傷してはいけない)

☆乳癌の手術で唯一上記を満たすのが「鎖骨下郭清(レベル3)」なのです。
それで昨今は、(特に大学病院などで)避けられがちとなっています。
術前抗がん剤をして、郭清はレベル2までにして、Ⅲは放射線で誤魔化す。

当院では、他院で『レベルⅢは郭清できないから』と、言われた患者さんが集まるので、私自身の鎖骨下郭清の習熟度が格段に上がりました。

腋窩郭清


(乳腺を大胸筋から外した状態)
レベル1リンパ節は見えない。
 
 


まず(表面にある)大胸筋を内側へ引っ張ると
その裏にあるレベル1リンパ節(Ⅰ)
が現れ、その奥(内側)に小胸筋も見えてきます。


更に、その小胸筋も内側へ引っ張ると、(小胸筋の裏にある)レベル2(Ⅱ)が見えてきます。

 
 

ここまでが、所謂腋窩郭清(レベル2郭清)です。
 
 

 ここまでは簡単な操作なので誰にでもできます。
☆レベル3リンパ節(Ⅲ)は、この更に奥にあるので、
 ここから更に「一手間」必要となります。

(腋窩郭清に引き続いて)鎖骨下郭清 Ver.1 通常の鎖骨下郭清

これが「通常」の鎖骨下郭清です。
この状況になるには、「一手間」が必要です。

ポイント1.小胸筋を外側へ引っ張る
 小胸筋を(奥にある)腋窩静脈から外して、(更に)大胸筋から剥がす必要がある。
  ♯この操作自体、経験している医師が少ない
慣れない者が行うと「腋窩静脈からの大出血」に繋がるから。

ポイント2.視野が悪い
(引っ張りだした)小胸筋と(無理やり牽引した)大胸筋の間の「隙間」
しかも「奥深く」なので視野がとても悪い。
この「悪い視野」で腋窩静脈からⅢを郭清するには習熟が必要

Ver.2 Kodama変法


「通常の鎖骨下郭清」の最大の欠点「視野の悪さ」を克服したのが、この手技です。

ポイント1.(小胸筋を外して、外側へ引っ張るまでは一緒)そこに「更なる一手間
 大胸筋を(レベル3の真上で)割ります。
 この操作のためには大胸筋の裏面を血管から剥がさなくてはならないので「一手間」となります。

ポイント2.視野が良い(隙間から覗き込まずに)直下で操作ができる。
 
血管にくっついているようなⅢを郭清するには(隙間から覗き込むよりも)安全で良好な視野で完璧に行った方がよい
☆最近では、この方法をとることが多くなっています。