3.鎖骨下郭清の習熟
◎私からのコメント
鎖骨下郭清は「失われた」技術と言えます。
殆どの乳腺外科医は「鎖骨下郭清はしない(できない)」と言います。
それは事実であり、(実際には)この手技を「見たこともない」人が殆どなのです。
〇リンパ節の名称
(浅い部位から)レベルⅠ→レベルⅡ→(更に奥)レベルⅢ
レベルⅠとレベルⅡの郭清を「腋窩」郭清、レベルⅢの郭清を「鎖骨下」郭清といいます。
実際の郭清手技 レベルⅠに到達するには、大胸筋を内側に引っ張ります。
◎腋窩郭清の実態1
ここまでの手技は容易であり、
研修医や若い医師の腋窩郭清は実はこのレベル1のみの郭清となることも多い
♯ 本来の腋窩郭清は「レベル1+2」の郭清をいいます。
何故なら、
レベルⅡを郭清するには以下の操作(小胸筋を完全に血管から外す)が必要だが…
この操作を「完璧に」するには小胸筋の奥の血管の処理が必要であり、これは視野が深く、「やや」難易度が上がるのです。(=大出血のリスクをはらむ)
◎腋窩郭清の実態2
小胸筋を完全に内側へ牽引するには…
小胸筋を完全に外して、その内縁まで郭清しなくてはいけない
♯ この操作は視野の奥で腋窩静脈からの枝を処理する必要
があるが、それをしない(できない)「なんちゃって」腋窩郭清しかできない医師が殆どなのが実情なのです。
と、いうことでここから「先」の鎖骨下(level 3)郭清は殆どの乳腺外科医ができない(と、いうか「見たこともない」領域となります。
通常の鎖骨下郭清
小胸筋を手前に引っ張り出し(その奥にある)レベルⅢリンパ節を血管から外して郭清
↑
これは視野が狭い(隙間からなので)から助手から見ることができない。(術者のみに見えている)
♯ここも「技術の継承がなされなかった」原因。つまり「後継者の指導が非常にしずらい」のです。
私は非常に慣れているので、この「鎖骨下郭清」の手技自体は15分程度でできます。
しかし、これを慣れていない術者がやると…
かつて「どこかの大学病院で発生したように」大血管損傷→止血できず→血管外科による血管縫合のような「ゾッとする(生きた心地がしない)」事態になりえるのです。
たいていの鎖骨下郭清(レベルⅢ)は、上記視野で可能ですが中には(特に再発して大きくなったりすると)視野が不十分となります。
その場合にはKodama法を行ったりもします。(この視野だと直視下となります)





