[管理番号:8178]
性別:女性
年齢:52歳
病名:右乳癌
症状:
9月○○日乳がんと診断され、その後のMRI,骨シンチ、CTなどで転移なしと診断され、10月○○日に、右乳房温存手術を受けました。
リンパ節転移なし。
乳管伸展がわずかにありました。
11月○○日から25日間50gyの放射線治療をしました。
術後組織診断結果は
1. Invasive ductal carcinoma, tubule forming type, right breast
[size;2.1cm×2.0cm, nuclear grade1(nuclear atypia 2, mitotic counts1),
乳管形成1点、乳管内伸展(+)、波及度”f”, Ly0, V0,surgical margin(-)]
ER(+),PgR(+),HER(3+), MIB-1 index=27%, immununostain
2. No evidence of metastasis, sentinel lymph node(0/2)
3. Atypical ductal hyperplasia, right breast(#9,16)
全割で検索。
#17,20,22,23に泡巣状で菅腔形成を示す腫瘍細胞の増殖が見られる。
脂肪織への浸潤が見られる。
背景にmammary dysplasiaが見られ、
epithelial atypiaが散在性に見られ、#9,16ではatypical ductal hyperplasiaの見られる。
断破部には腫瘍細胞は見られない。
放射線治療の後、1月○日からec療法3週おきに4クール、ハープチセン3週おきに18クール
その後5~10年間のアロマシン療法と言われています。
1月以降の治療は、これでいいのでしょうか。
当初の予定では私の都合で化学療法を8月に遅らせてもらっていたこと、放射線より化学療法が先立ったのではないか?と疑問になったことから、主治医の治療方針に不安を感じています。
先生のご見解を伺いたい次第です。
どうぞ、よろしくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
私から見て論点は3つ
1.Anthracycline単独regimenであること
2.放射線の位置
3.ホルモン療法の選択
まず1については
(もしも)Anthracyclineをやるなら、anthracycline+taxaneレジメンがスタンダートであり、anthracycline単独レジメンであることには疑問があります。
2Aとはなっているが2.1cmのpN0だから、taxaneまでは要らないかな?という考えだとしたら、むしろ非anthracyclineレジメン(TC+HER)の方が一般的では?
2.放射線については、化学療法→放射線→trastuzumab単剤が通常です。
3.質問者は52歳ですが、現時点(化学療法前)で閉経してますか?
(閉経では無かった方が)化学療法で閉経したとしても、それは(通常の閉経ではないので)閉経前のホルモン療法(タモキシフェン)が適応となります。
無論、質問者が(化学療法前から)自然閉経(最終月経から1年以上経っている)であれば、アロマターゼ阻害剤を行うことになります。