[管理番号:8045]
性別:女性
年齢:48歳
病名:右乳房 粘液癌
症状:
現在、右乳房温存手術 乳房扇状部分切除術および右センチネルリンパ節生検の後、放射線治療の開始前です。
病理検査結果から、「抗がん剤治療を追加するか」の判断について先生のご意見お聞かせください。
なお、米国移民ビザ(配偶者ビザ)申請中に乳がんが見つかりました。
主治医の先生は、ビザが下り米国へ移住する前に日本で出来るだけの治療をしておくことを考慮してくださっています。
針生検<病理組織検査結果>
粘液癌
ER陽性 100%
PR陽性 100%
HER2陰性 score0
Ki67 35%
cT1N0M0 StageⅠ
進行が遅く転移しにくい大人しい癌で、抗がん剤が効きにくいタイプ
①手術→②放射線治療→③ホルモン療法を勧められる。
手術後<病理検査結果>
粘液癌
腫瘍径14mm
切除断片 陰性
リンパ節転移 なし(センチネル0/1,センチネル周囲0/1)
グレードⅠ
ER陽性 95%
PR陽性 100%
HER2陰性 score0
Ki67 51%
pT1c pN0 M0 StageⅠA
Ki67値が高いことから、抗がん剤治療を追加することを勧められる。
②放射線治療→③抗がん剤治療(TC療法)→ホルモン療法
ホルモン療法も十分有効であり、抗がん剤治療を追加するかしないかは、
本人の希望により、放射線治療終了までに決定する。
<質問>
抗がん剤治療を追加するかしないか、本人が決定するようにとのことです。
Ki67値が51%がの場合は、やはり抗がん剤治療が有効でしょうか?
針生検でも35%でしたが、その際にはKi67値については何も説明はありませんでした。
術前、抗がん剤が効きにくいタイプと説明されたのに、術後、抗がん剤治療をするよう説明され、混乱しています。
そもそも再発率がそれほど高くない種類のガンなので、抗がん剤治療を
しても再発率の振れ幅は小さいが、少しでも再発率を抑えるため追加してはどうかと。
オンコタイプDX検査については、例え実施してもKi67値51%であることから低値が出るとは考えにくく勧めないとのこと。
抗がん剤の副作用で脱毛し、治療後に髪の毛が元のように戻ってこない患者さんが少なからずいらっしゃるなど、不安要因が拭いきれません。
その他の副作用も考慮した上で、なお抗がん剤治療を追加するべきでしょうか?
ご意見を頂戴出来ますと幸いです。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
物事はシンプルに考えましょう。
「効果が期待できる治療なら、やっておいた方がよい」し、「効果が期待できないなら、やらない」
「Ki67値が51%がの場合は、やはり抗がん剤治療が有効でしょうか?」
→Ki67だけで判断するのであれば、そう判断します。
「オンコタイプDX検査については、例え実施してもKi67値51%であることから低値が出るとは考えにくく勧めないとのこと。」
→これは違います。
実際に行うと、「Ki67とOncotypeDXのRSには乖離が存在している」ことは実感します。(Ki67はOncotypeDXで発言を調べている癌関連遺伝子16の1つにすぎないのです)
ただし、ある程度Ki67で判断しないと成り立たないだけ『(保険適応外で高額な)OncotypeDXを皆に勧めるわけにもいかないといけないから』
「その他の副作用も考慮した上で、なお抗がん剤治療を追加するべきでしょうか?」
→迷うなら…
OncotypeDXすべきです。
物事はシンプルに考えましょう。