[管理番号:6892]
性別:女性
年齢:40歳
病名:
症状:
乳がんと診断されました。
過去質問で関連のあるものは一通り読ませていただきました。
とても参考になり、勇気づけられました。
ありがとうございます。
私も数点質問させてください。
検査の時系列と結果は下記の通りです。
10月上旬
■針生検
浸潤癌
2.2cm
ホルモン受容体 0%
HER2 陽性3+
組織グレード 3
Ki-67 40.2%
リンパ節転移 なし
■血液検査
CEA 0.7
CA15-3 7.2
1CTP 5.5
10月中旬
■PET-CT
・乳がんの全身への転移はなし
・子宮に集積あり。
子宮体がんの疑いとの
所見(検査日は月経2日目)
これらをふまえて、以下の5点を質問させてください。
① 術前化学療法でACを4回投与後、タキサン+ハーセプチン4回、術後にハーセプチン9ヶ月投与の予定です。
アンスラサイクリンは副作用がとても強いようで、仕事ができなくなることを懸念しています。
先生が過去レスでローリスクの抗HER2療法としてあげられていたパクリタキセル+ハーセプチン12回、術後にハーセプチンという選択肢は私の現状でも可能ですか?
術前化学療法をするのは温存を希望しているからです。
②10月上旬から時々背中が痛みます。
10日ほど前の検査では骨転移の所見は見られなかったようですが、1CTPも高いので、骨転移が進んでいる可能性が高いですか?増殖能が高いがんのようなので。
③化学療法中は生理は止まると思いますが、終了後も40歳ならそのまま閉経する可能性が高いですか?HER2乳がん初発時化学療法で使える薬の中で、比較的閉経しにくいものはどれですか?
④PETの子宮の集積は、子宮体がんも併発している可能性が高いのでしょうか?
(子宮筋腫などの可能性もあるとのことです)
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「ローリスクの抗HER2療法としてあげられていたパクリタキセル+ハーセプチン12回、術後にハーセプチンという選択肢は私の現状でも可能ですか?」
⇒勘違いされていますね?
それは、あくまでも「術後補助療法として」の話です。
★術前化学療法というのは(多くの方「医師も含めて」が誤解しているようですが)リスクのある治療なのです。
だから、(術後補助療法とは異なり)「アンスラサイクリン+タキサン」以外の組み合わせはしてはいけないのです。
「1CTPも高いので、骨転移が進んでいる可能性が高いですか?」
⇒ありません。
1CTPは無意味です。(余計な心配をするくらいなら、CEAとCA15-3だけにしましょう)
「終了後も40歳ならそのまま閉経する可能性が高いですか?」
⇒確率的には
「戻る」可能性が圧倒的に高いです。(経験上)
★45歳で「半々」
40歳代前半では「7割以上」戻ります。
「HER2乳がん初発時化学療法で使える薬の中で、比較的閉経しにくいものはどれですか?」
⇒全て閉経しますし、(そもそも)術前抗がん剤は「アンスラタキサン」とすべきです。
「④PETの子宮の集積は、子宮体がんも併発している可能性が高いのでしょうか?」
⇒絶対に違います。
常識的に考えましょう。
子宮体癌は(そもそも)頻度が低く、更に「閉経後になる」癌です。
40歳で(たまたまPETで)子宮体癌が見つかるなどと考えるようでは「医師として」常識が疑われます(子宮筋腫でしょう)
質問者様から 【質問2 乳房内リンパ節への転移疑い】
性別:女性
年齢:40歳
病名:乳がん
症状:
10月に受けたエコーと針生検では22mmの右乳房浸潤癌(HER2陽性、ホルモン陰性)、PET-CTの結果は腋窩リンパ節、遠隔臓器共に転移なしでステージⅡaという結果が出ましたが、11月中旬に受けた乳房MRIでは、25mmの右乳房浸潤癌、および右乳房内リンパ節への転移疑いありと出ました。
現段階では確定診断できないので、治療しながら経過を観察するようです。
また、左乳房にも悪性を疑う病変ありとのことです。
主治医は左乳房の病変についてはエコー所見から良性だと考えていて経過観察するようです。
一気に病気が進行し、両側乳がんの疑いもあり、精神的に参っています。
主治医からは乳房内リンパ節への転移疑いについてほとんど説明がなかったため、教えてください。
①乳房内リンパ節への転移はよくあることなのですか?MRIで転移疑い所見が出た場合、ほぼ転移していると見て間違いないのでしょうか?
②乳房内リンパ節は腋窩リンパ節に含まれると読みました。
では、ここに転移している場合、ステージⅡbかⅢaかどちらになるのでしょうか?予後は悪いですか?
③エコー&生検時(10月)とMRI(11月)
の結果の違い(大きさ、乳房内リンパ節への転移)は、ガンが進行しているのか、単に測定機器によってわかることの違いか、どちらですか?
④左乳房の病変については、エコーとMRI、どちらを信用すればよいですか?
⑤田澤先生ならこのようなケースでは、どういう治療方針をとられますか?
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「①乳房内リンパ節への転移はよくあることなのですか?」
→珍しくはありません。
「MRIで転移疑い所見が出た場合、ほぼ転移していると見て間違いないのでしょうか?」
→MRIは無意味。
エコしてもらい、(気になるなら)組織診してもらいましょう。
「予後は悪いですか?」
→無関係
「単に測定機器によってわかることの違いか、どちらですか?」
→これは、このQandAでも「かなりしばしば」あるQであり(おそらくベスト3には入るでしょう)
回答は
「もしも、エコーとMRIが同じに見えるなら、MRIをする意味がない。 違いますか??」(よく考えましょう)
「④左乳房の病変については、エコーとMRI、どちらを信用すればよいですか?」
→(自分自身が行う)エコーならエコーを信じますが、他人が行ったエコーを信用することはありません。 (つまり回答不能)
「⑤田澤先生ならこのようなケースでは、どういう治療方針をとられますか?」
→乳腺内リンパ節にかんしては、(温存手術をする場合には)切除範囲に入らない可能性があるので組織診すべきです。
もしも全摘ならば、どうせ乳腺と一緒に切除するので気にしません。
左はエコーで癌の可能性があれば(手術の前に)組織診します。(MRIなど「参考程度」です)
質問者様から 【質問3 抗がん剤への不安】
性別:女性
年齢:40歳
病名:
症状:
田澤先生、毎回心強い回答をありがとうございます。
術前化学療法に向けて準備を進める中で、
仕事で無理をしすぎてしまったことによる過労と、ガンになったことや化学療法への不安でうつ状態になってしまい、治療が延期しています。
化学療法について質問させてください。
①私のがんは悪性度が高く、再発率も高いようです。
腫瘍径 25mm
HER2 強陽性
エストロゲン 陰性
プロゲステロン 陰性
Ki-67 40%
リンパ節転移 乳房内リンパ節に1箇所転移疑い(MRの結果。組織診はしておりません)
画像を見ないと正確な判断は難しいと思いますが、一般論では上記の数値から、化学療法をやらなかった場合の再発率はどれくらいですか?
このような状態で手術のみというのはありえない選択ですか?
②化学療法は、使う薬剤や投与量や投与の間隔や回数が定められており、それが標準治療と呼ばれるものだと理解しています。
乳がんの化学療法は3ヶ月~6ヶ月で、再発リスクが高い場合は6ヶ月と書かれていましたが、
私の今の状態で、苦しい治療を半年間8クールもやり切る自信はとてもありません。
何とか抗がん剤治療の期間を短縮する方法はありませんか?
③生活のために仕事はやめられません。
抗がん剤について書かれたものを読むと、副作用がきつくて何も食べられず苦しんだ、
爪が真っ黒になったりはがれたりし、手足がしびれ、皮膚にはむくみや色素沈着が出て、白血球が下がり何度も緊急入院、見る影もなくやつれた、回を重ねるごとに弱っていった、あまりのしんどさに途中で断念したなどネガティブなものばかりです。
治療を受けることが怖くてたまりません。
美容関係の仕事なので、過度に不健康な外見やひどい体調不良になれば、業務に支障をきたします。
抗がん剤治療中の人は、やはり普通の生活
や健康的な外見を保つことは難しいですか?
④10月上旬の発見から2ヶ月が過ぎ、治療を順調に進められていないことに焦りを感じています。
現在目に見えて腫瘍が大きくなっている実感はありませんが、遠隔転移が進んでいる可能性が高いですか?
田澤先生から 【回答3】
そもそも「何故?」術前抗がん剤ありきなのか、根本的に考えましょう。(HER2陽性だから、術前抗がん剤などという発想は言語道断!!)
質問者は腫瘍径も小さく、(術前抗がん剤せずに)そのまま手術先行→術後療法(温存の場合には 抗がん剤+ハーセプチン→放射線→ハーセプチン単独)でいいのでは?
「①私のがんは悪性度が高く、再発率も高い」
→?
早期ですよ?
早期なのに、こんなことを言うようでは、「ステージ3期の方達に申し訳ない」そう考えませんか??
「化学療法をやらなかった場合の再発率はどれくらいですか?このような状態で手術のみというのはありえない選択ですか?」
→抗HER2療法は再発率を半分にするので「やらないのは勿体ない」そう思います。
「乳がんの化学療法は3ヶ月~6ヶ月で、再発リスクが高い場合は6ヶ月と書かれて」
→前回の回答を読んでいますか?
術前に行うのであれば、「アンスラサイクリンの必須=つまり6か月」しか選択肢はありません。
★無論、『普通に』術後に行えば、(質問者は早期なのだから)非アンスラサイクリンレジメン=3か月でもいいでしょう。
「何とか抗がん剤治療の期間を短縮する方法はありませんか?」
→「術前」ではなく「術後化学療法」であれば、3か月=非アンスラサイクリンレジメンでいいでしょう。
「抗がん剤治療中の人は、やはり普通の生活や健康的な外見を保つことは難しいですか?」
→全く「ナンセンス!」
そんなことを言うようなら「実際に抗がん剤をしている、大勢の人たちに失礼」そう思いませんか??
「遠隔転移が進んでいる可能性が高いですか?」
→ありません!
★どうも、物事の本質から外れて「取り返しがつかない」方向へ足を踏み出しているように危惧します。
とにかく「手術すること」
抗がん剤のことは「術後に、いくらでも考えればよい」ことです。
『何が重要なのか?』優先順位をよく考えましょう。