[管理番号:6766]
性別:女性
年齢:50歳
病名:硬がん
症状:
田澤先生、初めて質問させていただきます。
今年2月より子宮筋腫の手術を受けるため、リュープリン注射 3.75mlを計6回打ちました。
その途中の6月に人間ドックにて乳がんの疑いがあり、7月に生検により確定し、8月に手術を受けました。
病理結果
組織型 硬がん
浸潤径 11㎜ × 8㎜
リンパ節転移 -
核異形度 1
組織異形度 1
リンパ管侵襲 なし
ki67 3%
プロゲステロン 50%
エストロゲン 100%
HER2 0
断端 陰性
①乳がんが発覚する前にリュープリンを打ったので、リュープリンを打たなかった場合の腫瘤の大きさはわからずじまいです。
乳腺外科の医師も婦人科の医師もリュープリンのおかげで小さくなったのではとおっしゃってます。
そうしますと実際にはステージは上がると考えたほうがいいでしょうか。
②ki67の数値は術前に抗がん剤をするとよく変化するようですが、術前に打ったリュープリンの場合も変化があった可能性もあるのでしょうか。
私の場合、ki67は3%と低く、主治医には抗がん剤は必要ないと言われているのですが、抗がん剤のことはあまり考えなくてもいいのでしょうか。
③放射線治療の後、ホルモン剤を服用する予定ですが、私は以前から子宮内膜が分厚いと医師に言われており、子宮体がん検診をすることがあります。
そのことを主治医に伝えましたら、ホルモン剤の前に子宮筋腫の手術、子宮全摘手術をしたほうがいいのではと勧められました。
先月乳がんの手術を受けたばかりで、仕事の関係などもあり、すぐに子宮全摘手術を受けないといけないのかと悩む気持ちがあります。
ホルモン剤を服用しつつ、子宮体がんのフォローもし、時期を見て子宮全摘という方法ではダメなのかなと思ったり。
田澤先生のアドバイスをいただければ幸いでございます。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「乳腺外科の医師も婦人科の医師もリュープリンのおかげで小さくなったので」
「そうしますと実際にはステージは上がると考えたほうがいいでしょうか。」
→術前ホルモン療法(図らずしも、そうなったとして)では、対した効果はありません。
「②ki67の数値は術前に抗がん剤をするとよく変化するようですが、術前に打ったリュープリンの場合も変化があった可能性もあるのでしょうか。」
→あまりなさそうです。
「私の場合、ki67は3%と低く、主治医には抗がん剤は必要ないと言われているのですが、抗がん剤のことはあまり考えなくてもいいのでしょうか。」
→考える必要は「全く」ありません。
一般的に抗がん剤は「細胞分裂の盛んな細胞を選択的に攻撃する(細胞分裂がターゲットなので)」ので、(生き残った癌細胞は)相対的に大人しい癌細胞が多い=Ki67が低くなるのです。
実際に術前抗がん剤を行うと、Ki67が極端に低くなるのはよく経験します。
それに対してホルモン療法剤は「大人しい癌細胞を攻撃する」ので、(それにより)Ki67が低くなると考える必要がないのです。
「ホルモン剤を服用しつつ、子宮体がんのフォローもし、時期を見て子宮全摘という方法ではダメなのかな」
→それで全く問題ありません。