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アポクリン癌 HEA2 +#の予後について

[管理番号:6609]
性別:女性
年齢:59歳

初めまして。
いつも田澤先生のQ&A拝見させていただいております。

今回はわたくしの乳がんについてアドバイスをいただきたく、投稿させていただきました。
今年1月(下旬)日乳がん検診受診後、要精密検診(左乳房)と封書にて返信があったため予約を入れ3月(中旬)日に再検査。
マンモグラフィーでは左右異常なしでしたが、エコーで反対の右乳房にしこりが見つかったため、その場で細胞診検査をしました。
3月(下旬)日に「1.3センチの非浸潤性乳管癌 HER2 +2、Ki67
10%」と診断。

その後MRIでしこり自体は小さいが根っこの長いものであるので
大きめに切除すると説明がありましたが、非浸潤性なのでしこりをとった後は無治療ですと説明がありました。
4月(中旬)日に右乳房温存手術、センチネルリンパ節生検を受けました。

術後の病理検査にて浸潤性癌のステージ1の「アポクリン癌」と判明、
さらに追加検査で浸潤部は10mm、切除断片の状態は陰性で取り切れている、
リンパ管侵襲なし、静脈侵襲なし、アポクリン癌なので病理検査結果に核グレードの記載はなかったそうで不明です、PT1bNOMO、リンパ節への転移なし。

アポクリン癌ではあるが、
Pgr 陰性、Er 陰性、 HER2 +3、Ki67 17.6%(3/13の細胞診時には10%だった)の増殖の速いものだったので放射線治療をしますと先生よりお話があり、
オペを受けた病院には放射線科がなかった為、他院で50グレイを5週間
25回受け7/(上旬)に終了しました。

7/(上旬)の乳腺科の受診にて治療はこれで終了と先生よりお話があったのですが、以前その先生からアポクリン癌は特殊なのであまり症例がないため治療は浸潤癌の治療に準ずる。
予後はステージではなくサブタイプとお聞きしていたので
「HER2 +3でもアポクリン癌ならこのあとの治療はなくていいのですか?」と尋ねましたところ
「アポクリン癌なので大丈夫と思いますが、心配ならタキソテール+ハーセプチン(アンスラサイクリンはきつい薬なので使用しないとのこと)を3週に一回を4回後
ハーセプチンを9か月(3週間に1回)をしますか?」と提案していただきました。

抗がん剤を使うと1年間の脱毛や仕事のことなどリスクがあるので
先生の最初の提案どうりここで治療を終了するか、増殖の速いタイプなので再発率を下げるために抗HER2治療をしておいたほうがいいか
(アポクリン癌だから再発の可能性が低いと考えるのか、HER2 +3の増殖の速い癌と考えるのか)あまりこのタイプの方がおられないため悩んでいます。

田澤先生のお考えをお聞かせ頂ければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

アポクリン癌は(特殊型ですが)それほど珍しくはありません。

一般的にトリプルネガティブとなりやすいですが、今回HER2 3+は手術標本で
 術前診断では2+ですね?
 もしかすると「HER2 3+」自体、読みすぎかもしれないので、抗HER2療法をやるのであれば「FISHで確認」することをお勧めします。

もしもFISH陽性(つまり、本当に陽性なら)抗HER2療法をやりましょう。
(アポクリン癌でトリプルネガティブの場合には抗がん剤をすべきか?悩みますが、
本当にHER2陽性なら、抗HER2療法はすべきです)

☆ただしKi67=17.6%を「増殖の速いもの」という認識は誤りです。(十分すぎるほど、大人しい。 それもあるので本当にHER2陽性?と疑問に思うのです)

 
 

 

質問者様から 【質問2 アポクリン癌 HER2 +#の予後について 管理番号6609】

性別:女性
年齢:59歳

田澤先生、こんにちは。

先日はご返答頂きありがとうございました。

担当の先生にお願いしてFISH法で追加検査をしていただきましたところ
シグナル比1.2 HER2遺伝子 増幅なしで
「陰性」とのご回答をいただきました。

HER2 +3ですが陰性でトリプルネガティブということになりました。

HER2型乳がんでなかったので、抗HER2療法が無駄になるところでした。

ありがとうございました。

先生の今週のコラム142回を拝見しましたが
IHC法で+3でもFISH法で陰性であることは稀にあるのでしょうか?
画像ではよく染まっているそうです。
今週のコラム142回目 サブタイプの不一致(針生検と手術標本での)

HER2 +3でも陰性であればHER2型ではなくトリプルネガティブ型となりハーセピチンの効果は見込めないのでしょうか?

今後はアポクリン癌なので無治療
もし、トリプルネガティブが心配なのであれば

①AC療法を3週間に一回を4回

②CMF療法を一か月に2回を6か月(12回)

③UFT療法 経口薬を二年間

を担当の先生よりご提案いただきました。

どれも期間や副作用の差がありますが効果はほぼ同じと聞いております。

わたしは脱毛の少ないCMF療法を考えておりますが
トリプルネガティブの療法としては効果はありますでしょうか?
TCやAC療法の方がいいでしょうか?

アポクリン癌とは大人しい癌でトリプルネガティブでも無治療でいいのか、
それとも
再発・転移防止に抗がん剤をすべきかとまた悩んでおります。

参考になりますかどうかわかりませんがエコーでの腫瘍の大きさは
7×13×10.9mmで実際の腫瘍の大きさ(浸潤部)は10mmと聞いております。

腫瘍の大きさを13mmとととるか10mmととるかも
悩ましいところです。

先生の
アドバイスを頂ければ幸いです。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

「先生の今週のコラム142回を拝見しましたがIHC法で+3でもFISH法で陰性であることは稀にあるのでしょうか?」
→あります。

「HER2 +3でも陰性であればHER2型ではなくトリプルネガティブ型となりハーセピチンの効果は見込めないのでしょうか?」
→その通りです。

「アポクリン癌とは大人しい癌でトリプルネガティブでも無治療でいいのか」
→ガイドライン上は、(通常の組織型の)トリプルネガティブに準ずる=抗がん剤が推奨とはなります

 しかし、個人的には(Ki67も低いので)抗がん剤を勧めません。

「わたしは脱毛の少ないCMF療法を考えておりますがトリプルネガティブの療法としては効果はありますでしょうか?TCやAC療法の方がいいでしょうか?」
→もしもやるのなら…

 (CMFやUFTなどのような)中途半端なものをしても無意味でしょう。
 アンスラタキサンもしくはTCとなります。

「エコーでの腫瘍の大きさは7×13×10.9mmで実際の腫瘍の大きさ(浸潤部)は10mm」
「腫瘍の大きさを13mmとととるか10mmととるかも悩ましいところです。」

→10mmです。