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術後補助療法について

[管理番号:6594]
性別:女性
年齢:38歳
 
以前にセカンドオピニオンでお世話になりました。
その節はありがとうございました。
 
乳房温存術後、抗がん剤治療をすることになり、TC療法でいく予定でしたが、今の病院で新たに違う治療法(AC療法+weeklyパクリタキセル)が提示されました。
右乳房 AC領域
浸潤性乳管癌 18mm
リンパ節転移 1/9 (センチネルに0.5mm)
断端陽性(非浸潤)
脂肪組織、脈管浸潤あり
ER 90% PgR 90%
Her2陰性
ki 67 =52%
 
私の現状を考えるとアンスラサイクリン系はやっておいたほうがよい。
後々やっておけば良かったと後悔することのないようにと AC療法+weeklyパクリタキセルを強く勧められました。
 
この2つの抗がん剤治療について先生に教えていただきたいです。
先生は以前にTC療法を勧めてくださいましたが、今になり改めてその理由が知りたいです。
セカンドオピニオン当初、私は抗がん剤治療を迷っていたので、
・最低限TC療法をやっておけば大丈夫でしょうという感じで勧めてくださったのでしょうか
それとも、私が迷っていろうが無かろうが、私の病理検査結果を見て、
 
・アンスラサイクリン系は必要ない、TC療法を強く勧めるだったのでしょうか?
先生のセカンドオピニオン時には、抗がん剤治療を避けたい気持ちが強くありましたが、その後気持ちに変化があり、抗がん剤治療をやると決意した今、やるなら後悔のないようできる限りのことをやりたいという気持ちになりました。
そこで新たに提示された
AC療法+weeklyパクリタキセルについて、外科や腫瘍内科の医師達からは下記のように言われました。
・TC療法よりもプラスα効果があるだろうと考えてよい
・TC療法よりも治療期間は長くなるが、治療中の副作用の面から考えるとAC療法+パクリのほうが楽に終わったという感覚になると思う
・あなたはアンスラサイクリン系は効きやすいタイプだと思うから、やっておいたほうが良い
・非浸潤の断端陽性を持っているのでAC+パクリを強く勧める(温存なので、抗がん剤後に放射線治療の予定でしたが、放射線はせずに全摘再建の再手術をした方がいいのかとも考えはじめています。
そのことを伝えると、今後もし全摘する場合は、断端陽性が残っているリスクはなくなるのでTC療法でも良いと言われました)
 
私自身はAC+weeklyパクリタキセルについては、TCよりも治療期間が
長くなる事がネックになりますが、TCよりもプラスα効果があると言われてしまうと、選ばざるを得なくなります。
 
予後(生存率や再発率)に何%の違いが出てくるか等、数字は出せないと言われたので、プラスαの効果の部分が良くわかりません。
 
治療中の副作用の面ではどちらの抗がん剤をやったとしても覚悟して受けるつもりです。
ただ、アンスラサイクリン系の心毒性には将来的に身体に現れたりと不安がのしかかってくるので、後々の身体に余計な負担をかけるべきでないのかなと、そのこともあり迷っています。
 
自分に必要な術後補助療法として、今選べる中でできる限りのことをしっかりとやりたいという気持ちになった今、
AC療法+パクリタキセルという治療法を選択するというのもありなのでしょうか?
抗がん剤担当医と話した直後の私の感覚としては、
TC療法=最低限必要な抗がん剤
AC療法+パクリ=基本の抗がん剤であり、私に必要な最大の内容。
 
これだけやっておけば安心大丈夫
というような感覚になってしまいました。
話をよく聞いたり会話を重ねることで良いこともありましたが、逆に自分の判断の軸がかなりブレてしまいました。
 
アドバイスをいただきたいです。
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
 
「セカンドオピニオン当初、私は抗がん剤治療を迷っていたので、・最低限TC療法をやっておけば大丈夫でしょうという感じで勧めてくださったのでしょうか それとも、私が迷っていろうが無かろうが、私の病理検査結果を見て、・アンスラサイクリン系は必要ない、TC療法を強く勧めるだったのでしょうか?」
→私は、ルミナールタイプBでの化学療法はTCを選択しています。(トリプルネガティブではアンスラタキサンです)
 
「今後もし全摘する場合は、断端陽性が残っているリスクはなくなるのでTC療法でも良いと言われました」
→このコメントからは…
 「断端陽性だから、アンスラタキサンが必要」という解釈になりますが…
 私は「局所の借りを全身治療で返す(カバーする)」という発想がありません。
 局所は局所(本当に断端陽性なのであれば追加切除すべきだし、そうでないなら「きちんと医師自身が乳房内再発が無いのか?エコーすべき」)で対処すべきで 全身療法は、純粋に「遠隔転移のリスクに応じた治療をすべき」なのです。
 
「TCよりもプラスα効果がある」
「予後(生存率や再発率)に何%の違いが出てくるか等、数字は出せないと言われたので、プラスαの効果の部分が良くわかりません。」

→直接比較が無いのです。
 概念的に「TCはタキサンのみ」なのに対して、「アンスラサイクリン+タキサン」は優位なのでは?という発想、それを「プラスα」と表現しているようです。

 
 

 

質問者様から 【質問2 断端陽性について】

性別:女性
年齢:38歳
病名:
症状:

前回(管理番号6594、術後補助療法について)、抗がん剤選択の際には大変お世話になりました。

またご相談させていただきたくよろしくお願いいたします。

無事TC療法を終えることができました。

ジーラスタの影響で全身発疹、アナフィラキシーになったりとスムーズにはいきませんでしたが、入院しながらでも最後までやりきれたことが自分の気持ちにプラスになりました。

今後の治療は、温存なので放射線治療を予定していましたが、前回も書いたように 断端陽性について二軒目の病院で指摘されてから全摘+再建も考え始めていました。

しかし実際に全摘再建について調べてみると私の場合には乳頭も含め全て全摘して再建だと知り、気持ちが付いて行かず落ち込んでいます。

温存の乳房に満足していたので現状は困っていないことも 全摘することに躊躇してしまっています。

このまま温存で放射線治療をするにしても、抗がん剤治療も終わったし早くしなければ決めなければと焦っています。

断端陽性(非浸潤が二ヶ所と把握しています←合っていますか?)に対する局所療法で、温存のまま放射線治療か、再手術で全摘するのか、病院や先生によって意見も分かれ、私自身はどんなことをポイントにして決めたら良いのかわかりません。
病理結果を見て、田澤先生は率直にどのような治療を勧められますか?

局所再発しやすいタイプであったり、残存する断端陽性が近い将来に浸潤してしこりになると今からわかっているのであれば、放射線する前に再建できる今のうちに全摘したほうが良いのでしょうか?

上記の選択肢以外に断端陽性の部分だけを再切除して温存手術→放射線治療というのも考えられますか?

また、神経内分泌系なので進行は大人しい癌だが再発した時には進行が
進んでタチが悪いタイプということも言われましたが、今後の治療を決めるのに気にかけたほうが良い点ですか?

さらに、並行して、手術前に保存した凍結受精卵を戻すタイミングについても模索しています。

ホルモン治療を始める前が良いとのことでしたが、
放射線治療にした場合は、治療後どのくらいの期間を空け受精卵を戻せるのか。

全摘再建の場合は、手術やエキスパンダー、シリコンの入れ替えなど再建期間であっても受精卵を戻すタイミングをはかったり妊娠出産に問題はないのか。

8月上旬にリュープリン 3ヶ月製剤を打ちましたが、そろそろ効き目が切れます。
リュープリン の効き目が切れてから、どのくらいの期間を経て、受精卵を戻すタイミングをはかれるのか。

現在の病院では乳がん治療と妊娠出産の前例がないとのことで、タイミングについては聞けませんでしたので、教えていただけるとありがたいです。

病理結果
(rt.breast)A/C area,tumor size:43×20×33mm(whole)and
18×16×15mm(inv.)Invasive ductal carcinoma(Solid-tubular
carcinoma)[Invasive carcinoma,NST](with neuroendocrine
differentiation,suspected),Nuclear grade 3(Nuclear atypia 3+Mitotic counts 3),SBR histological grade 3(3-3-3),f,EIC(+),comedo
necrosis(+),calcification(+),ly/v(+),surgical margin(+)

右乳房A/C領域に、境界明瞭な充実性腫瘍を認めます。
組織学的には、
N/C比大、クロマチン高度増量を示す大型の腫瘍細胞が充実性、胞巣状に増殖します。
管状構造は乏しい。
また、Mitosisを散見します。
High
gradeなsolid- tubular carcinomaと考えます。
腫瘍は、脂肪組織や脈管に浸潤します。
また、浸潤巣周囲に、広範囲に乳管内成分が広がり、
comedo necrosisや石灰沈着を散見します(EIC(+))。

背景乳腺組織では、adenosis,fibroadenomatus
hyperplasia,UDH,columnar cell change,cyst,apocrine metaplasiaなど
fibrocystic diseaseを認めます。
一部でADHを観察します。

[surgical margin]
垂直断端)皮膚側(0.9~1mm),大胸筋側(1.7mm)
側方断端)内側(+),外側(16mm),頭側(<5mm),乳頭側(尾側)
(+)

内側断端、乳頭側断端より、乳管内成分が露出します。

免疫染色(追加)※一部抜粋
腫瘍細胞は、chromograninAに強陽性を示し~
chromograninAは、神経内分泌系分化を示す特異性の高い指標であり、
neuroendocrine diff.を強く疑います。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

「断端陽性の部分だけを再切除して温存手術→放射線治療というのも考えられますか?」
⇒「内側」と「乳頭側」が陽性なので、「その部分を部分切除」も選択肢に入ります。

「また、神経内分泌系なので進行は大人しい癌だが再発した時には進行が進んでタチが悪いタイプということも言われました」
⇒??
 全く根拠がない。(無意味)

「今後の治療を決めるのに気にかけたほうが良い点ですか?」
⇒全く不要。

「放射線治療にした場合は、治療後どのくらいの期間を空け受精卵を戻せるのか。」
⇒あんまり影響はないと思いますが…
 不妊治療医に確認しましょう。

「全摘再建の場合は、手術やエキスパンダー、シリコンの入れ替えなど再建期間であっても受精卵を戻すタイミングをはかったり妊娠出産に問題はないのか。」
⇒物事はシンプルに考えましょう。

 「シリコンの入れ替え」は、別に決まったタイミングは無いのです。(妊娠を優先して、それは後回しにすればいいだけの話です。)

「リュープリン の効き目が切れてから、どのくらいの期間を経て、受精卵を戻すタイミングをはかれるのか。」
⇒リュープリンは無関係(妊孕性のためにやっているとしたら、殆ど無意味です)

★物事を複雑に考えすぎ!!
 何を優先するのか。よく考えれシンプルに考えましょう。

 抗がん剤が終わって3か月以上「妊娠出産はできない」ので、その期間内に手術(全摘であれ、追加部分切除であれ、全摘同時再建であれ)を終わらせ、そのあと(部分切除なら放射線をしてから) 受精卵を戻せばいいのです。