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乳輪下膿瘍?肉芽腫性乳腺炎?それとも乳がん?

[管理番号:5835]
性別:女性
年齢:32歳
1ヶ月ほど前に右胸が痛み、一部が赤くなり、しこりのようなものもあったので近くの乳腺外科を受診しました
マンモ、エコー、血液検査をしてもらい、炎症所見で癌ではなく、乳輪下膿瘍だろうと言われました。
抗生剤を処方されました。
念のために一週間後にまた見せてくださいと言われました。
一週間たっても痛みや赤みはなくならず。
一週間後に受診すると、血液検査の結果がでていて、その結果で炎症反応がでてないことを心配し生針検査をしました。
結果がでるまでの10日ぐらいの間にはじめにに痛かったところはしこりは残ってるものの
赤みや痛みは和らぎましたが、今度は乳頭を挟んで反対側のあたりが赤くなり痛み腫れてきました。
体もだるく微熱もありました。
なんとか痛み止めを飲んでしのぎ、生針検査の結果を聞きに行くと、癌ではなかったと言われました。
やはり、乳輪下膿瘍、乳輪下乳腺炎だろうと。
抗生剤を飲んで治そうと言われました。
切開したりして膿をだすことはしませんでした。
病理検査報告書には、「標本は4切片存在します。好中球を伴う高度炎症細胞浸潤と多核巨細胞を伴いますが、異型に乏しく明らかな悪性像は見られません。既存の乳腺構造も炎症のため不明です。」と書かれてありました。
それから5日間ぐらい抗生剤飲んでいますが、あまり症状は改善せず。
さらには、はじめに痛かったあたりがまた赤くなり痛みはじめました。
これは乳輪下膿瘍なんでしょうか?
短期間でこんなに何度も違う場所が痛くなくなるのでしょうか?
肉芽腫性乳腺炎の症状にも似てる気がしますが…
乳輪下膿瘍と肉芽腫性乳腺炎の違いはなんでしょうか?本人の症状だけでは、はっきり区別できないのでしょうか?
また、針生検査がしっかりできていなくて癌という可能性はないでしょうか?
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
まず重要なのは「陥没乳頭があるのか?」です。
乳輪下膿瘍は原因無くしておこりません。(通常は陥没乳頭によって角質が排泄されずに乳管が詰まることで起こります)
 ♯それと比較すると「肉芽腫性乳腺炎は特発性(原因がない)」です。
○このメール内容からは「肉芽腫性乳腺炎の可能性が高そう」です。(質問者に陥没乳頭があるのか不明ですが、肉芽腫性乳腺炎を知らない乳腺外科医は、「乳輪下膿瘍」と誤診しがちです)
 根拠は
 1.5日間ぐらい抗生剤飲んでいますが、あまり症状は改善せず⇒抗生剤が無効
 2.短期間でこんなに何度も違う場所が痛くなくなる⇒肉芽腫性乳腺炎には「しばしば」起こります。
 3.多核巨細胞を伴います⇒通常の炎症では出現することは少ない。(肉芽腫性乳腺炎を知っている病理医であれば、「肉芽腫性乳腺炎を疑います」的なレポートになっていた可能性はあります)
 4.その(肉芽腫性乳腺炎を知らない)結局、医師が針生検を行っている。
⇒乳輪下膿瘍で針生検を行うような状況にはなりません。
「乳輪下膿瘍と肉芽腫性乳腺炎の違いはなんでしょうか?本人の症状だけでは、はっきり区別できないのでしょうか?」
⇒一番解り易いのは…
 「乳輪下膿瘍には腫瘍(しこり)はない」が「肉芽腫性乳腺炎には炎症もある(膿も出る)が腫瘍(しこり)がある」
「また、針生検査がしっかりできていなくて癌という可能性はないでしょうか?」
⇒1000%ありません。
 癌は炎症をおこさない(例外として大きな腫瘍の内部が壊死を起こすことがありますが、余程長期間放置しない限り炎症を起こす事はありません)し、症状は全く違います。