[管理番号:5762]
性別:女性
年齢:52歳
田澤先生
いつも拝見させていただいております。
9月に告知を受けてから11月○日に部分摘出手術を終え、昨日病理組織リポートが出て今後の治療についてのお話を聞きました。
今後の治療につきましてご相談がありメール致しました。
*52歳 既婚 子供1人(○○歳)
閉経前
164cm 45kg
【診断】
Invasive loboular carcinoma,right breast,Bp+SNB,area=upper-
outer(C)
10.20×6.50×2.20cm,n(2/4),margin+,ER(7),Pgr(7),HER2(0),
Ki-67(8.0%),gf,ly0,v0,startus:primary,UICC 7th:pT3 pN1 MO StageⅢA,Jap 17th:
pT3 pN1 M0 StageⅢA.
【所見】
検体:右乳腺 乳癌病巣数:1病巣
切除術:Bp+SNB 11.0×7.0×2.0cm,占拠部位:右upper-outer(C)領域
腫瘍径:10.20×6.50×2.20cm
腫瘍径 in situ ca含む:10.20×6.50×2.20cm
組織分類:invasive loboular carcinoma
核異型スコア:2,核分裂スコア:1(1/10),核グレード:1
ER:Allred PS5 IS2 TS7,Pgr:Allred PS5 IS2 TS7
HER2:score 0,強陽性:0%,中等度陽性:0%,弱陽性:0%
Ki-67%:8%
波及度:gf,リンパ管浸襲:ly0,静脈侵襲:v0
断端:皮膚側:+,inv 30,31,36,深部側:+,inv 10,18,23,側方:+,39
In situ ca+,EIC-,娘結節-,comedo-,石灰化-,リンパ球浸潤+
前治療:なし,区分:初発
リンパ節転移:合計(2/4)
SNB(2/2),Level I(0/2)
UICC 7版: pT3 pN1 M0 StageⅢA,規約17版: pT3 pN1 M0 StageⅢA
クロマチン増量した比較的小型円形核の異型細胞が索状配列,一列縦隊,
小胞巣状,
個細胞性に増生しています。
免疫染色ではE-カドヘリン陰性であり浸潤性小葉癌です。
Solidなlobular carcinoma in situが混在してみられ、またductal
component(#18-20,31)
もfocalに認められます。
Carcinomaは地図に分布しています。
腫瘍径
は広がり全体で評価しました。
断端に最大1.5mmの浸潤癌巣が散在しており断端陽性です。
センチネルリンパ節(SN)1に2×10mmの,SN2に微小転移を認めます。
以上が病理組織上の内容です。
ご質問です。
① 切除部の画像を見せていただき説明をしていただきましたが、
断端でプラスがついているのは画像上 上の部分で先生は上の乳腺はとりきっているので端の端ですね。
他はとり切れていると考えています、とおっしゃっていました。
(確かに端っこより内側に小さな腫瘍が点在いるように見えました)
しかし、上記を見ると書いている内容が違うようなのですが、見方をよく理解していないからなのでしょうか?
また、心配でしたら全摘出も考えられますが、再建はできません。
治療法は変わらないです。
ということでした。
最初から小葉癌とわかっていたら全摘再建を考えたかと思うのですが、
そうした方が良かったのでしょうか?とお聞きしたところ、そうだとしても、これからの治療法は変わらないですとの事でした。
先生のお考えをお聞かせいただきたいです。
不安なので全摘も考えているのですが、今から全摘再建は出来ないのでしょうか?
② 術中センチネルリンパ節生検では1つに2mm以下の微小転移があったが、小さかったのでリンパ節郭清をしませんでしたと術後にお話しいただきました。
上記の中ですぐに(SN)2×10mmというのが目に入ってきて、センチネルリンパ節の転移に関しては術後の内容とは違うのですか?と聞いたところ、同じですよとのお話がありました。
2×10mmとはかなり大きいかと思うのですが、どのように解釈するべきでしょうか?(リンパ節郭清が必要だったということでしょうか)
③ 術後の治療としては、抗がん剤治療6カ月→放射線治療→ホルモン療法ということでした。
抗がん剤は必要でしょうかとお聞きした問いころ小葉癌ということで散らばりやすい事と極小のセンチネルリンパ節転移があることから、予防のために抗がん剤治療をした方が、後悔しないと思いますよ。
ただ、小葉癌はホルモンが効きやすいというデータもあるので腫瘍内科の先生と相談して決めましょう。
5年後もし転移が発見された際、ご自身があの時やっとけば・・・と思はない為にもともおっしゃられ…そうだとも思うのですが、もし放射線とホルモン療法で大丈夫であればそのようにしたいと考えているのですが、先生は私の所見の場合抗がん剤はやった方がいいとお考えでしょうか?
④ オンコタイプDxの件をお聞きしたところ、閉経前でセンチネルリンパ節に転移がある場合はあまり意味がない?対象ではない?(違う言い方だったかもしれないです)のでは・・とおっしゃられ、たぶん低く出ると思いますとおっしゃいました・・・。
確かに乳癌ガイドラインでは閉経前、リンパ節転移ありの場合は対象ではないと書いてありますが、オンコタイプDxの信用性は私のタイプではないのでしょうか?
⑤ これまでの先生が書かれている内容を読ませていただくと、小葉癌は範囲が広いのでステージが高く出やすいと推察いたしますが、あまりにも高いのと抗がん剤の件でショックが大きいです。
現段階で私の生存率はどのようになりますでしょうか?また、抗がん剤を上乗せすることで、どのくらい生存率が上がるものでしょうか?
⑥ 私のルミナールはBということでしょうか?
⑦ 今の段階で癌細胞が散らばり知らないだけで転移している可能性はあるでしょうか?皆さんがよく書かれている骨シンチや全身MRI,CT,PETはおこなっておりません。
やっていただくようにお願いした方がよろしいでしょうか?
腫瘍マーカーはCEA3.0,CA15-3 3.0,NCC-ST-439 1.0未満でした。
田澤先生のお考えをご教示いただけると助かります。
長くなり申し訳ありません。
また、お忙しいところすみませんがよろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「今から全摘再建は出来ないのでしょうか?」
⇒できないことはありません。
主治医が「再建はできない」としている理由を聞いてみるといいでしょう。
「2×10mmとはかなり大きいかと思うのですが、どのように解釈するべきでしょうか?(リンパ節郭清が必要だったということでしょうか)」
⇒主治医の『術中センチネルリンパ節生検では1つに2mm以下の微小転移があったが、小さかったのでリンパ節郭清をしませんでしたと術後にお話』とは矛盾していますね。
実際には10mmの転移(肉眼的転移)があったのだから、(「肉眼的転移があったら追加郭清する」という取り決めをしているとしたら「追加郭清すべきだった」となります。
「小葉癌ということで散らばりやすい事」
⇒?????
この医師は「小葉癌には、全例に抗癌剤するということ???」
全く意味不明。
「極小のセンチネルリンパ節転移があることから」
⇒リンパ節転移と「抗癌剤による上乗せがあるのか?」とは無関係です。
「予防のために抗がん剤治療をした方が、後悔しないと思いますよ。」「5年後もし転移が発見された際、ご自身があの時やっとけば・・・と思はない為にも」
⇒????
この手のことを言う医師が「しばしば」居ますが…
その理屈からすると、「全ての患者さんに、あらゆる治療を勧める」となってしまします。
その医師は「全ての患者に(後悔しないようにと)抗癌剤を勧める」のですか??
きちんと「エビデンスに基づいて、適切な治療を勧める」という、責務を放棄して「(効かないかもしれないけど)やらずに後悔するよりも、やっておけば」みたいな事を言うのであれば、それは(医師でなくても)「サルにでもできる」仕事となってしまいます。
「先生は私の所見の場合抗がん剤はやった方がいいとお考えでしょうか?」
⇒(Ki67から判断すれば)「間違いなくルミナールA]です。
私が、化学療法を勧めることはありません。
ただ、どうしても不安な方には「OncotypeDXで確認してもらう」ことをお勧めしています。
「閉経前でセンチネルリンパ節に転移がある場合はあまり意味がない?対象ではない?」
⇒「お知らせ」の中の『Oncotype DXで勘違いしていませんか??』を是非、ご参照のこと。
「オンコタイプDxの信用性は私のタイプではないのでしょうか?」
⇒適応です。
「現段階で私の生存率はどのようになりますでしょうか?」
⇒それを知るためには…
OncotypeDXをするべきです。
「また、抗がん剤を上乗せすることで、どのくらい生存率が上がるものでしょうか?」
⇒これもOncotypeDXすれば、解ります。
現段階では私は「ルミナールAだと思っている」ので、ほぼゼロだと推測します。
「⑥ 私のルミナールはBということでしょうか?」
⇒?
Ki67=8%ですよね??
ルミナールAと思います。(不安ならOncotypeDXしてみましょう)
「⑦ 今の段階で癌細胞が散らばり知らないだけで転移している可能性はあるでしょうか?」
⇒画像診断で解るようなものは当然ないでしょう。
「MRI,CT,PETはおこなっておりません。やっていただくようにお願いした方がよろしいでしょうか?」
⇒無駄な被爆です。
全く不要です。
質問者様から 【質問2】
小葉癌ステージⅢA
性別:女性
年齢:52歳
田澤先生
先日はお忙しい中、私の長い文章を読んで下さり、丁寧にお答えいただきましてありがとうございます。
小葉癌、浸潤径の予想以上の広さ、ステージⅢAという文字、抗がん剤治療の必要と予想を超える結果に動揺し、長い文章となってしまいました事、申し訳ありません。
そのような文章だったにも関わらず、とても早くご返答がいただきまして、休憩などご自分のお時間にお答えいただいているのかと、感謝いております。
すみませんが、再度お時間をいただきお考えを伺いたくメール致しました。
先日腫瘍内科の先生とのカンファレンスがあり、やはり抗がん剤ありきを前提でのお話でした。
いかにおこたえいただけると助かります。
断端:皮膚側:+,inv 30,31,36,深部側:+,inv 10,18,23,側方:+,39
断端陽性に関しまして、主治医の説明を伺った際、画像を見せていただきながら、癌が点在しているが取り切れていると判断している・・・
とお話しいただきました。
Q:私としましては早く放射線治療を行いたいと考えているのですが、
放射線治療を先に延ばしても、全摘をした方がいいでしょうか?(再建が出来ないと主治医がおっしゃったのは、感染症の恐れとその後の放射線治療による硬化への懸念との事でしたので、再建はしない前提です)
Q:今後の放射線治療での抑制は、上記の病理結果においての効果はありますでしょうか?なかなか数値にはできないかと思いますが、どのくらいでしょうか?
■腫瘍径:10.20×6.50×2.20cm
抗がん剤治療⇒放射線⇒ホルモン療法という治療を進めていただいた理由は上記浸潤径の大きさへの懸念と【UICC 7版: pT3 pN1 M0
StageⅢA】腫瘍径の中の一番大きいものがT3つまり5cm以上だったことから、私たちとしては抗がん剤治療と強く勧めます。
とおっしゃいました。
患者数の少ない小葉癌ということで、確実なエビデンスがなく乳管癌の標準治療を奨めるとの事でした。
Q:T3というのは一つの癌の塊の大きさかと思いますが、小葉癌のルミナールAであったとしても標準治療では抗がん剤推奨となるのでしょうか?
小葉癌ではない乳管癌等の治療内容に揃えるものでしょうか?
■ルミナールにつきまして
Q:これまでのカンファレンスでは「ルミナール」という言葉が出てきませんでした。
「ルミナール」というサブタイプを言わないのは小葉癌には当てはまらないからでしょうか?
田澤先生の以前のお答えをいくつか読ませていただいている中で、
ルミナールAでは抗がん剤治療を奨めないとお答えしていらっしゃるQ&Aがたくさんあります。
もう何度もお答えになっていたら申し訳ないのですが、ルミナールAの場合抗がん剤治療をお薦めしないというのは、どのような部分からのお答えでしょうか?失礼な言い方でしたらすみません。
Q&Aから探し切れていなくて、どうしてもお聞きしたいです。
■核異型スコア:2,核分裂スコア:1(1/10),核グレード:1
Ki-67%:8%
Q:ルミナールAではないのでしょうか?上記の内容をもとにお聞きしたところ、上記は「スパイス的」内容であり、重要視されるのはTNMとステージですとの事でした。
「スパイス的」とは検査のやり方によって低く出たり高く出たりするからでしょうか?Ki67は検査する方のとらえ方で低く出たり高く出たりすると所見で読みました(インターネットの見過ぎですみません)
■オンコタイプDx
こちらについては、一つには閉経前でリンパ節陽性(2/4)なので対象ではないとは言いませんが、あまりお勧めしない感じでした。
時間もかかりますし、その時間をかけるより早く抗がん剤を始める方が(2カ月以内)いいかと考えます。
とおっしゃいました。
Q:閉経前、リンパ節転移2/4の私の場合は、オンコタイプDxの対象ではあるが時間をかけてまでやる裏付けが出ていないということでしょうか?(これも以前にお答えしていらっしゃったらすみません)
■抗がん剤治療につきまして
抗がん剤治療を通常6カ月で行いますが、4カ月で行うことも出来ます、とのお話があました。
現段階では放射線⇒ホルモン療法での今後の治療を考えておりますが、
やはり腫瘍内科の先生に抗がん剤の上乗せで転移の確立が下がると言われ、心が揺らいでおります。
抗がん剤の治療を上記短い流れで行った場合の良い点と、懸念する点を
教えていた絵だけると助かります(田澤先生は抗がん剤なしでとおっしゃっているのに、お聞きしてすみません)
沢山のご質問をしてすみませんが、お答えいただけると助かります。
どうか、よろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
回答は、全て前回と変更ありません。
物事はシンプルに考えなくてはいけません。
ルミナールAには抗癌剤の上乗せはない。それは小葉癌でも同様です。
「抗癌剤ありき」の腫瘍内科医の言う事など、私にはどうでもいいことです。
☆質問者には悪いですが…
私と「それらの腫瘍内科医」との議論が「噛みあう事はない」ということです。