[管理番号:4636]
性別:女性
年齢:48歳
いつも勉強させていただいております。
ホルモン治療について、教えていただきたいと思います。
宜しくお願い致します。
9年前に非浸潤ガンと診断され、右胸温存手術に放射線治療をしました。
昨年夏に局所再発が分かり秋に全摘出しました。
病理結果は
最大腫瘍径6ミリ
Er 90% Pgr 90%
Ki67 10%以下
異型度1
リンパ節陰性、脈管侵襲無し
HER2 陰性
医師にはノルバテックスの10年服用を勧められ、4ヶ月服用しましたがひどい副作用はありませんでした。
その後、念の為生理も止めた方がエストロゲンにさらされなくて良いのかと思い、自らリュープリンの併用も希望しました。
医師も「悪くはないと思います」という感じで、スタートしました。
注射を開始して約2ヶ月半ですが、体がフワフワ、クラクラとして集中力に欠けるようになり、度々視界がグラーンとするようなめまいに襲われます。
副作用にめまいがあると聞いたので、多分注射の副作用だと思っています。
(手のこわばり、ホットフラッシュも出ていますが、耐えられる範囲です。)
日常生活は何とかなっていましたが、私はPCを使った集中力が必要な仕事をしており、PC仕事を続けるとめまいも強く出てしまい、また無理に集中しようとするせいか、疲労感も強くなってきました。
このままだと大きなミスをしそうで不安です。
そして先週初めて、道路を歩いていて目が廻り、危うく転びそうになりました。
ミスどころか、このままにしておくと危ないのかな?と思い始めています。
元々3年ほど前に軽いめまいがあったので耳鼻科、脳外科で色々検査しましたが、その時は特に何もなく、年齢的なものでしょう、ということでした。
そこで、質問させてください。
以前の先生のQ&Aで、35歳以上閉経前のリュープリン使用の定義が最近変わった、というような回答を読んだ記憶があるのですが(違っていたら申し訳ありません)、私の場合リュープリン併用の効果は期待できると思われますか。
医師が最初に勧めなかったということは、「気休め」程度なのかな、と考えてしまい、
もしそうならやめようかと思っています。
ただ腫瘍は小さくても、再発、浸潤だったので、多少リュープリンの効果はあり、めまいを和らげるサプリや薬などがあるなら続けたいとも思います。
その場合はどういうお薬が考えられるでしょうか。
また、もちろん個人差があると思いますが、先生の患者さんで、めまいにも徐々に体が慣れていく方は多いのでしょうか。
お忙しいところ恐縮なのですが、宜しくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
メール拝見しました。
私であれば、即刻「リュープリンは中止」します。
術後補助療法とは「QOLを損なわない」ことが大前提であり、たしかにそこには「治療効果とのバランスが存在」しますが、質問者は「6mmの癌」なのです。(中止する事に一瞬の迷いもありません)
○(初回は非浸潤癌だったからホルモン療法をしなかったので)今回は「タモキシフェンを内服」するのは正しいですが、「6mmで10年?」と少々驚きます。
タモキシフェンの10年投与の優位性は承知していますが、「6mmで10年」としてしまうと国家の医療財政が心配となります。(やはり、ある程度の適応を感会えるべきです)
もしかすると担当医の頭の中には「局所再発だから」みたいな誤解があるかもしれませんが… 全く無関係です。
「私の場合リュープリン併用の効果は期待できると思われますか。」
⇒適応外です。
ASCOのガイドラインでは「年齢の枠」を取り払い、「早期で無い患者には(年齢に無関係に)適応有」としているのです。
「ただ腫瘍は小さくても、再発、浸潤だった」
⇒勘違いです。
局所再発を「遠隔転移再発」と混同しないようにしましょう(担当医も含め)