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抗がん剤治療は必要でしょうか

[管理番号:4571]
性別:女性
年齢:44歳
こんにちは。
よろしくお願いします。
2月の下旬に都内のがん専門の大病院で温存手術を受けました。
先週、病理検査の結果が出ました。
浸潤がん・硬がん
浸潤径 1.8cm
リンパ節転移なし・センチネルリンパ節生検0/2
ホルモン受容体陽性(ER PS5 IS2・PgR PS5 IS3)
Her2 1+
ki67 14.7%
核異型度 2
温存手術の断端 –
脈管侵襲 中程度
質問1
ルミナールAかルミナールBになるかどちらになるでしょうか?
質問2
主治医は微妙なところだといいつつ、最後には抗がん剤治療をすすめました。
田澤先生の場合は、抗がん剤を勧めるか勧めないか、どちらでしょうか?
もし勧める場合は、絶対勧めるや、心配ならやればいいなど、勧める強さを教えて頂けると嬉しいです。
勧めない場合も、どのくらいの強さで勧めないのかを、言葉か数字で教えて頂きたいです。
質問3
ホルモン療法と放射線治療の有無と期間など、田澤先生の場合の治療方針を教えて頂きたいです。
よろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1c(18mm), pN0, luminalA
これで「最後には抗癌剤をすすめた」担当医の頭の中をのぞいてみたい(比喩です)
この考え方だと「乳癌術後の90%以上は抗癌剤が必要となってしまう」
⇒患者さん自身にも負担だし、(無駄な抗癌剤による)「医療財政に対する冒涜」となります。
「質問1ルミナールAかルミナールBになるかどちらになるでしょうか?」
⇒ルミナールAです。
 1%の疑問もありません。
「質問2主治医は微妙なところだといいつつ、最後には抗がん剤治療をすすめました。」
⇒???
「田澤先生の場合は、抗がん剤を勧めるか勧めないか、どちらでしょうか?」
⇒勧めません。
 勧める理由が「どこにも見当たらない」ですが?
「勧めない場合も、どのくらいの強さで勧めないのかを、言葉か数字で教えて頂きたいです。」
⇒全く勧めません。
「質問3 ホルモン療法と放射線治療の有無と期間など、田澤先生の場合の治療方針を教えて頂きたいです。」
⇒私の場合というよりも…
 その「都内のがん専門の大病院とやら」がおかしい。
 ○一般的に
 ホルモン療法(当然、タモキシフェン)5年です。(10年にするべきかは5年後に考えましょう)
 それと「温存術は術後放射線とセット」です。術後照射をしない選択肢はありません。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生、ご回答ありがとうございました。
先生のご回答を読んで、今かかっている病院に思うところができました。
なので、その病院から説明された他の数値についても田澤先生にお聞きしたいです。
(病理検査の結果でNG2(NA2 MC2)が抜けていました。
これは核グレードだったのですね)
質問1
手術後に一切無治療だと私の場合の転移再発率は10年で20%~25%と説明されました。
これは妥当でしょうか?
(転移再発と局所再発ははっきりと区別して聞いたので、勘違いで混ざったりはしていません。)
質問2
タモキシフェンで約40%再発率が減らせると説明されました。
これは妥当でしょうか?
また、タモキシフェンの効果はステージや悪性度などには影響されずに一律40%と思ってよいでしょうか?
質問3
質問1と質問2で田澤先生からお聞きした数値を(質問2の数値は1から引いて)掛け合わせた数値が
タモキシフェン単剤での私の場合の転移再発率と考えてよいでしょうか?
よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
今時「Ki67=14.7%が微妙」として「化学療法を勧められている」方ですよね??
実際にOncotypeDXしてみると解りますが…
 High risk にはならないでしょう。『今週のコラム53回目 Ki67が「30未満」ならホルモン療法単独、Ki67が「30以上なら、Oncotype DXを推奨」しています。』を参照してください。
「手術後に一切無治療だと私の場合の転移再発率は10年で20%~25%と説明されました。これは妥当でしょうか?」
⇒無治療だとそれくらいです。
「タモキシフェンで約40%再発率が減らせると説明されました。これは妥当でしょうか?」
⇒ルミナールAの場合はもう少し効果があると考えます。
 つまり(無治療)再発率23%⇒(ホルモン療法を使う Tam Aloneで)10% 
(この場合60%程度)
「また、タモキシフェンの効果はステージや悪性度などには影響されずに一律40%と思ってよいでしょうか?」
⇒違います。
 ルミナールAでは「より大きく」ルミナールBでは「より小さく」なり、トータルとして40%位というイメージでしょう。
「タモキシフェン単剤での私の場合の転移再発率と考えてよいでしょうか?」
⇒その通り、つまり10%程度と考えます。(もしもOncotypeDXをすると、その辺りだと経験上、想像します)
 
 

 

質問者様から 【質問3】

田澤先生こんにちは。
前回も質問に答えていただき、ありがとうございました。
田澤先生にお答えいただいたことを元に自分でも考えて、抗がん剤治療はしないことにしました。
それを某がん専門の大病院の主治医に伝えると、抗がん剤治療をやらないことを了承し、
「では、代わりにLH-RHアゴニスト製剤を使いましょう」と勧めてきました。
タモキシフェン単剤だと弱いらしいです。
そういうものなのでしょうか。
ステージⅠ、リンパ節転移なし、ki67も高くないのに「少しリスクが高い」のように言っています。
はっきりとは言わないのですが、脈管侵襲が(なし、軽度、中程度、高度の中の)中程度になっていることからの処置のような言い方でした。
波及度は ly(++) f(++) in situ(+) :solid,cribriform となっています。
抗がん剤の代わりに勧められたというのが引っかかります。
抗がん剤を拒否する患者に対して、LH-RHアゴニストを勧めるものなのでしょうか。
やるやらないは別にして、最初からそれを選択肢として提示してもらえなかったことに疑問を感じます。
いつもすみません。
よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
私には、その「某がん専門の大病院の主治医」のコメントは全く気になりません。
「その医師が、こういうのですが…」みたいに言われても私には「全く響きません」
♯前前回の回答参照  pT1c(18mm), pN0, luminalA これで「最後には抗癌剤をすすめた」担当医の頭の中をのぞいてみたい(比喩です)
「タモキシフェン単剤だと弱いらしいです。」
⇒誤った考え方です。
 LH-RHagonistは「35歳未満」や「化学療法閉経から月経再開したもの」にしか「上乗せ効果がない」ことが解っています。
 ☆「何かをやれば、その分いいはずだ」と言う考え方では「無駄な治療が多すぎる」ことになります。(きっとその医師は術前にCTやPETを全てオーダーするタイプなのでしょう)