[管理番号:4536]
性別:女性
年齢:36歳
36歳、未婚、出産経験なし
《温存術後の病理結果》
右乳がん、浸潤性乳菅がん、硬がん
pT1c(1.2cm)
乳腺組織g(+)
脂肪組織f(+)
皮膚組織s(-)
リンパ菅侵襲ly(-)
血管侵襲v(-)
センチネルリンパ節(0/3)
核グレードNg3(Na3+Mc2)
断端(-)
ホルモン受容体(ER95%、PgR95%)
HER2(0)
Ki67(30%)
ルミナールB
今後の治療として核グレード3とKi67が30%でグレーゾーンなことから化学療法の抗がん剤治療半年→その後ホルモン治療5年~10年+放射線治療と言われました。
ルミナール型でホルモン強受容体の場合は抗がん剤の効果はあまり得られないとも聞く一方、グレーゾーンで微少転移や再発予防のために抗がん剤をした方が良いとも聞きます
グレーゾーンすぎて抗がん剤治療をした方が良いのかホルモン治療と放射線治療だけで良いのか悩んでいます
①私の状況で半年抗がん剤治療をする場合どのような種類の抗がん剤が適しているのでしょうか②ホルモン治療と放射線治療の場合はどのホルモン薬が適しているのでしょうか
また①+②の場合と②だけだった場合で治療薬は変わりますか
③先生でしたら私の病理結果で術後治療をするとしたらどのように治療されますか
お忙しいなか長々とすみません
よろしくお願いします
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
pT1c(12mm), pN0, luminal
浸潤径も12mmと十分に小さく、早期癌であり再発低リスクです。
余計な情報が溢れている中、変な知識で見失うことなく物事はシンプルに考えなくてはなりません。
○luminal typeの化学療法適応
Luminal typeはA(ホルモン療法単独)とB(ホルモン療法+化学療法)に分けます。
現在保険診療で行われている検査で、これを分けるのは「Ki67」となります。
質問者の場合には「Ki67=30%」であり、(質問者のおっしゃるように)「グレーゾーン」と言えます。
この場合には「OncotypeDX」をお勧めします。
『今週のコラム53回目 Ki67が「30未満」ならホルモン療法単独、Ki67が「30以上なら、Oncotype DXを推奨」しています。』を参照してください。
「①私の状況で半年抗がん剤治療をする場合どのような種類の抗がん剤が適しているのでしょうか」
⇒TCです。
「②ホルモン治療と放射線治療の場合はどのホルモン薬が適しているのでしょうか」
⇒閉経前のホルモン療法は「タモキシフェン」と「LH-RHagonist(ゾラデックスやリュープリン)」しかありません。
「タモキシフェンは必須」であり、(36歳と言う年齢からは)「LH-RHagonist」の併用が推奨されます。
「また①+②の場合と②だけだった場合で治療薬は変わりますか」
⇒かわりません。
ただし、化学療法をした場合、化学療法閉経となるので(その間は)「LH-RHagonist」は必須ではなくなります(化学療法閉経から月経再開した際には、LH-RHagonistの併用が必要となます。)
「③先生でしたら私の病理結果で術後治療をするとしたらどのように治療されますか」
⇒OncotypeDXを(まずは)勧めます。