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ハーセプチンによる治療の治療方針について

[管理番号:4455]
性別:女性
年齢:70歳
先日、母の治療のことをインターネットで調べていた際に、先生のHPにたどり着きました。
研究データや実践を通して、仕事のお忙しい中、とても多くの情報を提供されているところや、親身に質問に回答されている様子をみて、とてもすごいと思ったと同時に、ぜひ先生にお聞きしたいと思いました。
70歳の母のことで相談があります。
ステージなど詳しいことが聞けて
おらず情報が限られておりすみません。
なかなか病気の話をしたがらないので、聞き出しにくいのですが、判断に必要な部分は聞いて、先生のご意見をお聞きしたいと思います。
情報が足りない場合もどんな情報が必要か教えて下されば幸いです。
2年前の乳がん検診では指摘はなかったです。
仕事で忙しく1年後の健診に行けていなかったのですが、半年前より乳房にひきつるような痛みがありました。
仕事が忙しく受診どころではなく放置していて、自己検診をした際に偶然に乳首の裏下側あたりにしこりを見つけたため急きょ病院へ行きました。
エコーでは乳がんはないといわれましたが、しこりがあるのでマンモグラフィーを行い乳がんがみつかり、専門病院へ行きました(余談ですが、仕事のストレスで乳がんが発症したのではないかと感じています)。
 治療方針として手術と手術前後に化学療法をすることになりました。
ホルモンの感受性はないが、ハーセプチンが使えるタイプなので、手術後にハーセプチンも使用できるとのことでした。
術前の化学療法(FEC?)で乳がんが2-3cmからほとんど触診ではわからないほどになり、エコーでも小さくなっていました。
その状態で乳房温存手術をしましたが、センチネルリンパ節転移がありました(量などはわかりません)。
その後、術後化学療法ののちに、放射線療法を行い、ハーセプチンによる治療を月に1回進めてきました。
前回のハーセプチン終了後のPETでは転移はなかったです。
現在(先月)ハーセプチン11回終了したところです。
ハーセプチンの副作用の心不全(心機能の低下?)を繰り返すのでハーセプチンの治療を2度延期ししばらくたって再開したところでした。
先月、再度ハーセプチンを再開したところ、また心機能低下と心拡大があるとのことでした。
他に手のしびれや足の関節や筋肉の痛みと筋力低下、むくみ(全身)、こむら返りなどが出るそうです。
ハーセプチンはガイドラインで回数が決められており最後までするべきか悩みながら休み休み続けてきましたが11回終了後の今、ここで治療を断念しようかと検討しています。
主治医も「PETで今のところ転移もないし、ガイドライン上は回数が決まってるが、手術前の化学療法でもがんは小さくなっていたから、定期的に検診しながら様子を見るのでおそらく大丈夫だとおもう」と説明されているそうです。
そこで、
①先生ならどうのような治療方針をすすめられるかお聞きしたいのと、関連して以下の質問があります。
②ハーセプチンはガイドラインで決められた最後のクールまですること
で治療効果があるのでしょうか?また休み休みすることと継続してすることで治療効果に影響はありますか?
途中でやめた場合どうなりますか?死亡率等のデータはありますか?
③ハーセプチンの副作用が出るということは薬がよく効いていると考えられるのですか?
 (化学療法の副作用が出たときに、薬が効いている証拠といわれたので)
④ハーセプチンの副作用の出る頻度はとても低いのに、母は多くの副作用が出ているように思います。
どんな人が副作用をおこしやすいなどはありますか?
③ハーセプチンによる心不全は抗癌剤の心不全と違い可逆性だと書いてあるのを見ましたが、ハーセプチンにより起こった心機能の低下は投与をやめると本当に完全に元の状態にもどるのですか?
④ここで、ハーセプチンをやめた場合に転移や再発のリスクはありますか?今後の再発率や生存率はどれくらいですか?
先生のご意見をぜひお聞きしたいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
理解していただきたいことは
1.標準治療を途中で止めた場合の細かいデータなどは存在しない。
2.術後補助療法(再発予防)は、(再発治療などとは異なり)けっして「命を賭けて(危険に曝して)まで行うべきではない」ということ
 (やらなくても再発しないかもしれない)「術後補助療法」と(治療しなくては、必ず命の危機に瀕する)「再発後の治療」とは明確な区別が必要なのです。
「①先生ならどうのような治療方針をすすめられるかお聞きしたい」
⇒当然(迷うことなく)中止です。
「途中でやめた場合どうなりますか?死亡率等のデータはありますか?」
⇒ありません。
「③ハーセプチンの副作用が出るということは薬がよく効いていると考えられるのですか?」
⇒無関係です。
「化学療法の副作用が出たときに、薬が効いている証拠」
⇒全く根拠がありません。
「どんな人が副作用をおこしやすいなどはありますか?」
⇒ありません。
「③ハーセプチンによる心不全は抗癌剤の心不全と違い可逆性だと書いてあるのを見ましたが、ハーセプチンにより起こった心機能の低下は投与をやめると本当に完全に元の状態にもどるのですか?」
⇒戻ります。
 ただし、悪戯に「中止することに躊躇して継続」したことは影響する可能性は否定できません。
「④ここで、ハーセプチンをやめた場合に転移や再発のリスクはありますか?今後の再発率や生存率はどれくらいですか?」
⇒不明です。