[管理番号:4265]
性別:女性
年齢:42歳
おはようございます。
乳がんの診断を受けてから乳がんプラザを読ませて頂き、
乳がんについて詳しく理解したり、主治医と治療法を決める際にも参考にさせて頂いています。
有意義なサイトをありがとうございます。
サイトの再開を心待ちにしておりました。
さて私、12月に手術をしまして先週病理結果がでました。
手術までは
非浸潤癌との診断であったため、リンパ節への転移が見つかりかなり動揺しています。
前回の診察で主治医の先生から今後の治療方針について提案を頂きましたが、不安があり決定出来ず、こちらのサイトにて問合せをさせて頂きました。
結果は以下の通りです。
浸潤性乳管癌
pT1a N1 M0 ステージ2a
浸潤部 0.5×0.5×0.5センチ
非浸潤部 2.0×1.5×1.0センチ
センチネルリンパ生検にて3個切除うち転移は1(2ミリの微小転移)
リンパ節侵襲なし
静脈侵襲なし
波及度 乳腺
核グレード 1
ホルモン感受性有り ER100% PgR90%
HER2 無し 1+
ki67 10%
*術式
乳頭乳輪温存乳房切除術(エキスパンダーは入っていません。)
センチネルリンパ生検術中迅速診断にて微小転移が見つかったため、センチネルリンパ3つに追加でひとつ、4つ目リンパ節まではとりましたが、腋高リンパ節郭清は省略。
*主治医が示した今後の治療方針
1.ホルモン療法10年
2.抗癌剤はオンコタイプDXにて、ハイリスクであれば投与する
3.放射線:なし
*以下質問をさせてください。
1.私のタイプは、ルミナルAタイプですか?
2.1が正しければ、抗がん剤の効果はあまり期待出来ないと思われるのですが、オンコタイプDXにて新たに検査する意義は大きいと思われますか?
同じような状況であれば先生も勧めますか?
3.オンコタイプDXで検査すると、ki67 の数値が低くてもハイリスクの結果になることはよくあるのでしょうか?
ki67 から算出されるものと同じような結果となる事が多いですか?
4.オンコタイプDXをした場合ですが、抗がん剤により何パーセントの上乗せ効果があるとわかれば、先生なら副作用を差し引いて患者さんに抗がん剤を勧めますか?
(費用が高額であるのと、結果が出ても、そこでまた迷うのではないかと思いオンコタイプDXの検査自体を迷っています。
主治医の先生は基本的にホルモン療法のみを勧めていて、抗癌剤より私の様なタイプはホルモン療法の期間を伸ばした方が効果があると思うという言い方をされたのでさらに迷っています。)
5.放射線について
微小転移であれば、腋高リンパ節郭清を省略できる。
全摘なら放射線なし。
は理解しているのですが…
私の場合
1.全摘とはいえ乳頭乳輪温存であること。
2.細胞診の針の跡もあること。
3.微小転移ですがマクロ転移との境の2ミリである+腋高郭清をしていないこと。
4.断片陰性であるが切断面と癌細胞が接近している。
(主治医の先生は
痩せ型の人ではよくあることなので心配ないとはおっしゃっていますが。)
以上より、本当に放射線なしで大丈夫なのか不安に感じています。
主治医の先生は放射線については迷いなしのようですが、田澤先生はどう考ますか?
6.ホルモン療法について
田澤先生であれば、ホルモン剤はどのお薬で何年にしますか?
以上、お忙しいところ恐縮ですが回答頂けると幸いです。
1月(下旬)日に病院に行きますので、それまでですと大変有り難いです。
何卒、よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
まずはpT1a(5mm), pN1miは十分な早期です。
微小転移は予後に影響しないことが解っているので過剰な心配をしないように思います。
「1.私のタイプは、ルミナルAタイプですか?」
⇒(Ki67=10%なので)間違いありません。
「2.1が正しければ、抗がん剤の効果はあまり期待出来ないと思われる」
⇒その通り、無駄な治療です。
「オンコタイプDXにて新たに検査する意義は大きいと思われますか?」
⇒全くありません。
「同じような状況であれば先生も勧めますか?」
⇒決して勧めません。
私がOncotypeDXを勧めるのは「Ki67≧30%」の時です。
『今週のコラム53回目 Ki67が「30未満」ならホルモン療法単独、Ki67が「30以上なら、Oncotype DXを推奨」しています。』を是非ご参照ください。
ただ、20%台でも患者さん自身が希望している場合は行います(流石に10%台は行いません)
「3.オンコタイプDXで検査すると、ki67 の数値が低くてもハイリスクの結果になることはよくあるのでしょうか?」
⇒是非、今週のコラム53回目をご参照ください。
「抗がん剤により何パーセントの上乗せ効果があるとわかれば、先生なら副作用を差し引いて患者さんに抗がん剤を勧めますか?」
⇒10%前後です。
「主治医の先生は基本的にホルモン療法のみを勧めていて、抗癌剤より私の様なタイプはホルモン療法の期間を伸ばした方が効果があると思う」
⇒私も全く同感です。
「主治医の先生は放射線については迷いなしのようですが、田澤先生はどう考ますか?」
⇒全く主治医と同意見です。
不要です。
そもそも、ここでいう放射線照射の適応は「局所再発予防」という意味ではなく、
「予後の改善(遠隔転移の防止)」にあります。全く不要です。
「6.ホルモン療法について 田澤先生であれば、ホルモン剤はどのお薬で何年にしますか?」
⇒タモキシフェンで(まずは)5年ですね。
その時点でご本人が10年投与をご希望されれば、それでもいいですが、
確かに「10年投与の優位性」はでていますが…
私の考えでは「全ての方を10年にする」ことは医療経済的に問題があると思っています。
やはり(10年投与は)「ハイリスクに絞るべき」でしょう。