Site Overlay

術後の結果と治療について

[管理番号:4172]
性別:女性
年齢:50歳
はじめまして。
よろしくお願い致します。
2015年 1月の人間ドッグで左乳房外側上部に5ミリのしこりが見つかりました。
総合病院に行きましたが、腫瘍が小さい為、ここでは針生検が出来ないとの事で別の病院を受診。
超音波とマンモ検査後、腫瘍が小さく多分癌ではないとの事で経過観察となりました。
2016年7月に超音波と造影剤を入れてのMRI検査をしましたがグレーゾーンとの事でまた経過観察となりました。
2016年 10月にやはり不安になり別の病院に行きそちらで外科的生検をし 11月に乳がんの診断が出ました。
12月に左乳房部分切除+センチネルリンパ節生検を行い その後、病理検査結果が出ました。
先生から詳しい説明があまりなくて病理検査結果も私からお願いしてコピーをもらいました。
先生からは、おとなしい癌とだけ聞きましたが、
今後の治療方針もまだ聞いてません。
腫瘍の大きさを聞いたところ、外科的生検で取り出した腫瘍は 浸潤性乳管がん0.7×0.5×0.5cm
追加手術をして最終的には 1.5×0.7×0.5cmです。
田澤先生のQ&Aを見つけてから本当に助けられています。
少し 病理組織検査結果がよく解らないのでお伺いさせてください。
病理検査結果の通りに書きます。
よろしくお願い致します。
Breast, left
CD area, T1:size not measurable at surgery. invading g + f. Invasive ductal
carcinoma, scirrhous, Nuc Grade1
Ly-, V-, Surgical margins free
ER:3b, PgR:0, Her2:0, Ki67:10%
Lymph node, left mammary sentinel in the frozen sections at surgery
No significant change(0/3)
組織所見
既に主たる腫瘍成分は試験切除されており、当該部には、縫合糸を核とする異物肉芽腫が形成されており、その周辺に上記属性を示す腫瘍が認められます。
腫瘍の大きさは今回の材料からは不明なので 試験切除時記載のT1をそのまま転用しました。
残存腫瘍の広がりは限局的で 一部は僅かに脂肪織への浸潤を認めます。
切除縁には腫瘍成分はみられません。
又リンパ節移転もみられません。
① 術後の治療方針はどの様になりますか?私はルミナールaタイプになりますか?
1年半前に閉経しています。
ホルモン治療薬は何になりますか?
② 組織所見に、残存腫瘍の広がりは限局的で 一部は僅かに脂肪織への浸潤を認めます。
とありますがどこかに転移しているという事ですか?
③ 経過観察などで、2年前から腫瘍があったのですが、癌組織が他に飛び散っている可能性はありますか?
④ 少し喘息気味でシムビコート30吸入を使用していましたが(毎日ではありません) 乳がんになってからも使用出来ますか?
⑤ 生存率を教えてください。
どうぞよろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
それにしても、質問者は本当に気の毒です。
「腫瘍が小さい為、ここでは針生検が出来ない」
「超音波とマンモ検査後、腫瘍が小さく多分癌ではないとの事で経過観察」
「2016年7月に超音波と造影剤を入れてのMRI検査をしましたがグレーゾーンとの事でまた経過観察」

⇒これらの、全く「とんでもない診療」のおかげで、質問者は「2年近く放置された」と言う事ですね???
 決してあってはいけない診療であり、できることなら「それらの医師達」に「癌だった」ということを教えてあげて「猛省してもらいたい」。正直な気持ちです。
○ただ、それらの「不運な環境?」にありながら、「結果的には、まだ十分早期だった」ことは、本当に幸いでした。
pT1c(15mm), pN0, luminalA
[① 術後の治療方針はどの様になりますか?私はルミナールaタイプになりますか?]
⇒(完全な)ルミナールAです。
「1年半前に閉経しています。ホルモン治療薬は何になりますか?」
⇒アロマターゼインヒビターです。
 3種ありますが、どれも横並びです。
  (発売順に)
 1.アナストロゾール(商品名:アリミデックス)
 2.エキセメスタン(商品名:アロマシン)
 3.レトロゾール(商品名:フェマーラ)
「② 組織所見に、残存腫瘍の広がりは限局的で 一部は僅かに脂肪織への浸潤を認めます。とありますがどこかに転移しているという事ですか?」
⇒違います。
 腫瘍の拡がりが(乳腺の周囲の)脂肪織に及んでいる(むしろ当たり前のことです)というだけの話です。
「③ 経過観察などで、2年前から腫瘍があったのですが、癌組織が他に飛び散っている可能性はありますか?」
⇒早期ですので、可能性は「極めて低い」です。
「④ 少し喘息気味でシムビコート30吸入を使用していましたが(毎日ではありません) 乳がんになってからも使用出来ますか?」
⇒できます。
「⑤ 生存率を教えてください。」
⇒10年生存率は94%です。(ホルモン療法 5年間)