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Stage IIIAの小葉癌

[管理番号:4077]
性別:女性
年齢:49歳
はじめまして。
右乳の浸潤性小葉癌で全摘手術した49歳の女性です。
診断はLuminal AかBで、nuclear grade 1 (Nuclear atypia score 1, Mitotic count score 1) pT3, pN1, pStage
IIIA、リンパ節転移ありでpN1(2/2)[SLN(2/2)]「いずれも
massiveな転移である」と記載されておりました。
詳細は下記のとおりです。
ER J-score 3b (Allred score 5+3=8)
PgR J-score 3b (Allred score 5+3=8) heterogeneityあり。
HER2: score 1+
Ki-67 labelling index 12.5% (63/500)
E-cadherin-
ホルモン治療のみかと思っておりましたが、思いのほか癌が大きかったことと(8.0×8.0×1.5cm)、リンパ節にも転移がセンチネル2個とも
あったことから、抗がん剤治療(FEC×4(3週毎)、TC×4(3週毎))を勧められております。
Stage IIIAともあれば、少しでも有利にするためにも化学療法は致し方ないだろうと納得しつつも、副作用と仕事の両立ができるか不安です。
医師によれば、無治療での再発が25%、化学療法でそこから10%抑えて15%、ここにホルモン剤を加えて更に5%の抑制を期待でき、最終的に再発率を10%にまで抑えられると説明されました。
田澤先生から一言、背中を押していただけたら、覚悟を決めて抗がん剤治療に臨む所存です。
お忙しいかと思いますが、どうかよろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
Ki67=12.5% 明らかなルミナールAです。
私であれば「ホルモン療法単独」とします。(腫瘍径も、リンパ節転移も無関係です)
♯このQandAでもしばしば登場する「浸潤径の大きい小葉癌」ですが、小葉癌が浸潤径が大きくなりがちなことは間違いありません。(だからといって予後が悪い事は決してありません)
「思いのほか癌が大きかったことと(8.0×8.0×1.5cm)、リンパ節にも転移がセンチネル2個ともあったことから、抗がん剤治療(FEC×4(3週毎)、TC×4(3週毎))を勧められております」
⇒これは「抗ガン剤を勧める根拠」とはなりません。
 「閉経前ルミナールAでは腫瘍径やリンパ節転移にかかわらず、化学療法のベネフィットはない」 DBCG77B(無作為化試験) SABCS 2015
「無治療での再発が25%、化学療法でそこから10%抑えて15%、ここにホルモン剤を加えて更に5%の抑制を期待でき、最終的に再発率を10%にまで抑えられると説明」
⇒OncotypeDXをしてみると「本当の数字」がわかります。
○私であれば、「ホルモン療法単独」とします。
 ただ、「担当医から抗ガン剤が必要」と言われたのに、本当に大丈夫なのか?と疑問があるのであれば、是非「Oncotype DX」してみてください。
 ♯ちなみに、「閉経前、リンパ節転移陽性」でもOncotype DXの対象となります
(念の為)
 
 

 

質問者様から 【質問2】

ご無沙汰いたしております。
田澤先生のお言葉、ありがたく頂戴いたしました。
主治医に相談に行ったところ、①Oncotoype-DXは乳管癌が対象で、小葉癌ではないと言われました(PubMedで検索しましたところ、「小葉癌にも適応できる可能性がある」といった知見を、まさに現在進行形でデータ収集している段階といった感じでした)。
②乳癌診療ガイドラインでも、「臨床試験のサブグループ解析や後解析より,ER陽性PgR陽性HER2陰性Ki67低値のリンパ節転移陰性乳癌は予後良好であり化学療法の再発抑制効果が低いことが示唆されているが,腫瘍径が大きい,高度なリンパ節転移を認めるなどの再発リスクの高い患者には化学療法が不要である根拠に乏しい。」(CQ15乳癌診療ガイドライン治療編(059-061ページ))となっており、学会でもまだ結論に至っていない状況を鑑みて、結局は「後悔しないために」と言うのも何ですが、抗がん剤治療を受けることにいたしました。
(比較的増殖が遅いKi67値で果たしてどの程度の効果が期待できるのか、疑問がない訳ではありませんが、
他にできることがある訳でもないのと、比較的副作用も軽く抑えられるようになったことで、頑張ろうと決めました。)
現在FEC療法2サイクル目です。
1サイクル目は辛かったですが、2サイクル目は吐き気止めをうまく使えこなせるようになって(O薬品(外資M社の)イメ〇ド・ステロイド剤のデカド〇ン錠と同時にA製薬のプリン〇
ランが私には合っているようです)、大分楽になりました。
まだFEC療法2サイクルと、TC療法4サイクルが残っている上、リンパ節のセンチネル転移が2個ともあったため放射線治療も受けることになっており、
入口に入ったばかりではありますが、頑張っていこうと思っております。
今後とも何かと治療中に相談させていただけますと幸いです。
引き続きよろしくお願いいたします。
先ずは近況のご報告まで。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「①Oncotoype-DXは乳管癌が対象で、小葉癌ではないと言われました」
⇒誤りです。
 OncotypeDXは小葉癌も対応しています。
「抗がん剤治療を受けることにいたしました。」「今後とも何かと治療中に相談させていただけますと幸い」
⇒抗ガン剤の適応はありません。(前回、回答したとおり)
 
○勿論、QandAをしたからと言っても「私のコメントに影響」される必要はありません。
 ただし、私は「全く抗ガン剤の適応はない」といっているのに、抗ガン剤を選択した方が、再度QandAを利用する意味があるのかが疑問です。
 その意味では、このQandAよりは「ご自身が信頼できるサイト」にご相談もしくは、「ご自身で調べた内容を信じて」治療をされる方が(質問者には)いいのではないでしょうか?
 ♯「QandAを再度、利用されては困る」と言っているわけではありません。(念の為)