[管理番号:3261]
性別:女性
年齢:45歳
乳頭部腺腫による乳頭切除について、アドバイスをいただきたくよろしくお願いします。
45歳、授乳経験はありません。
経過としては、3年ほど前より左の乳頭のみに白い液状の塊が付くようになり(単腔からではなく全体的に)、時間が経過するとかさぶたのように固まってました。
特に痛みなどもなく、時々自分で除去したりしていました。
このころから年齢的に乳がんも心配だったのでエコーでの乳がん検診をしており、例年結果は「両側の乳房に嚢胞あり」でしたが、悪性所見は認められていませんでした。
ところが昨年9月に左乳頭から出血があったので、総合病院内の乳腺外科を受診、エコーをし、乳頭からの分泌物やかさぶたを病理検査に出してもらいました。
乳房の針生検もしました。
いずれの検査でも悪性所見はなかった(内容物としては皮膚の老廃物と細菌などが固まったもの)のですが、医師の勧めで念のためMRIも撮ったところ、「ちょっとあやしいから」ということで左乳頭の一部を形成外科で切り取り、病理検査にだしてもらいました。
その結果も「悪性所見は認められず」「乳頭部腺腫」ということで、乳頭切除も勧められましたが、一旦経過観察していくことになりました。
その後春頃からに再度左乳頭にかさぶたのように分泌物が固まってきて、自分ではがそうとすると乳頭ごと取れてしまいそうになり、6月に以前と同じ医師の診察を受けました。
再度乳頭からの分泌物やかさぶたを病理検査に出しましたが、以前と同じように悪性ではないという結果でした。
が、医師の曰く乳頭がびらんの状態になっており、あまり繰り返すようだとがん化する事もあるので、やはり乳頭を切除した方がいいといわれています。
患部を切除後、病理検査に出して悪性のものが見つからなければ、完全にがんではないと言い切れるが、このままにしておくとがん化する場合も含めて全く「シロ」とも言い切れないということです。
(今回はゲンダシン軟膏やイソジンゲルを処方されていますが、それで症状が良くなっているわけでもないです。)
手術は全身麻酔下で行い、2泊3日程度の入院が必要で、乳頭がなくなるということ(再製手術の説明も受けましたが、この場合再手術になるということ)に加え、家庭の事情もあり、手術や入院は可能であれば避けたいところです。
他に治療法がないのか医師に伺っても、「このままだと同じように繰り返すだけだよ」と言われております。
確かに左乳頭の様子を気にして生活するのもどうかと思うのですが(右の正常な乳頭に比べて左乳頭は常時白っぽく分泌物の塊がありただれているような感じで、うっかり強めのシャワーをあてると出血することもある)、悪いものではないかもしれないのに乳頭を切除してしまうのもためらいます。
何か他に方法はないものでしょうか?
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
これは「乳頭部腺腫 adenoma of the nipple」で間違いなさそうです。
増殖が強く、皮膚を破壊するため(良性腫瘍では皮膚を破壊することは稀)癌と極めて間違われ易いものです。
乳頭部にあると鑑別は「Paget’s」と、なりますが、「乳頭部の生検」もしているようなので診断は間違いなさそうです。
「乳頭がびらんの状態になっており、あまり繰り返すようだとがん化する事もある」
⇒癌化はないでしょう。
ただ、「乳頭部腺腫」をこのままにしても「癌化はしない」が、「増殖して大きくなるだけで決して自然に治癒することはない」ので摘出しかありません。
「このままにしておくとがん化する場合も含めて全く「シロ」とも言い切れないということです。」
⇒最低限「病巣は摘出したい」というのが本音です。
「手術や入院は可能であれば避けたい」
⇒がっちり局麻すれば「全身麻酔は不要」かもしれません(実際診察していないので状況は必ずしも不明ですが)
「他に治療法がないのか医師に伺っても、「このままだと同じように繰り返すだけだよ」と言われております。」
⇒その通りです。
決して「自然治癒」したり「軟膏で改善」することはないのです。
摘出しなければ「癌化はしないまでも」増大(悪化)するだけです。
「何か他に方法はないものでしょうか?」
⇒ありません。
摘出しかないのです。