[管理番号:2969]
性別:女性
年齢:38歳
浸潤性右乳管癌
病理結果
ホルモン受容体
エストロゲン 陰性
プロゲステロン 境界線
HER2 3+
グレード 3
Ki-67 37%
サブタイプ HER2陽性
リンパ節 今のところなし
遠隔転移も所見なし
乳房全摘出+同時再建の予定
術後、化学療法とHER2陽性の治療を半年と言われました。
再発がとても怖いです。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
腫瘍径の記載がありませんが、「リンパ節転移所見なし」ということから「早期乳癌」のようです。
ハーツータイプであり、抗HER2療法が必須となります。
○抗HER2療法は「再発率を半分とする」大変[優れた治療」です。 頑張りましょう。
「術後、化学療法とHER2陽性の治療を半年と言われました」
⇒正確に言えば…
アンスラサイクリン(AC, EC, FECのどれか)を3カ月⇒タキサン(ドセタキセル、パクリタキセルのどちらか)+ハーセプチンを3カ月⇒ハーセプチン単独で9カ月 ♯ハーセプチンとしてトータル1年というメニューの筈です。
質問者様から 【質問2】
腫瘍径がぬけてました。
2.7~9と言われ、ステージⅡaです。
術中のリンパ転移があれば、Ⅱbになりますよね?
リンパ転移だと、放射線が追加と言われています。
本を見るとHER2は、2~3年後に再発する進進行性の乳ガンと記載があり、治療しても無駄なのか…と非常に心配でなりません。
やはり、生存率は低いのでしょうか?
母親も乳ガンで、再発の苦しさや、最後の状態も見てきているので、とても不安でなりません。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
抗HER2療法は人類の偉大なる勝利の一つです。
2008年、抗HER2療法が術後補助療法として適応拡大されました。
HER2陽性乳癌も2008を境に大幅に予後が変わっています。
「本を見るとHER2は、2~3年後に再発する進進行性の乳ガンと記載」
⇒その本のことは知りませんが…
かつて[難攻不落」と言われていたHER2陽性乳癌は、いまや「最も予後が良い癌」となっています。
「術中のリンパ転移があれば、Ⅱbになりますよね?」
⇒その通りです。
「リンパ転移だと、放射線が追加と言われています。」
⇒4個以上だと「推奨度A]です。
全身療法が発達した現在、「リンパ節転移1-3個での放射線適応」には疑問があります。
放射線照射はあくまでも「局所療法」なのです。
「やはり、生存率は低いのでしょうか?」
⇒抗HER2療法を行えば、「再発率は半分」となります。
「HER2が予後が悪い時代」は、とうの昔に過去となりました。
やるべきことをやることです。
質問者様から 【質問3】
術後の病理結果がでました。
Inbasive ducta varcinoma,Papilloutubula type,of the right breast:右
CA,Papillotubular carcinoma,3.5cm (pT2),g,f,HG(NG)Grade3,ly0,v0,surgical
,margins appeared free of cancer eztension,
リンパ節/sLNB
Ngative for sLNs metastasis on permanent sectioms,NO,stege Ⅱa
と記載ありました。
月末より抗がん剤開始です。
EFC療法+ハーセプチンを合わせて約1年の予定です。
状態や予後は悪いのでしょうか?
あと、治療後に卵巣の機能が戻り妊娠など可能でしょうか?
命が優先とは思っていますが、なかなか諦めきれない思いもあります。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
pT2(35mm), pN0, pStage2A, HER2 type
十分な早期乳癌です。
「EFC療法+ハーセプチンを合わせて約1年の予定です」
⇒これには勘違いがあるようです。
FEC(アンスラサイクリン)とハーセプチンは併用しないので、正確には「FEC終了後、ハーセプチン1年」となります。
ただ、抗HER2療法のgolden standardは「アンスラサイクリン+タキサン」であり、現在ではそこから「アンスラサイクリンを抜いてタキサン+ハーセプチン」とした「非アンスラサイクリンレジメン」が(早期では)主流になりつつあります。
質問者の場合は(FECとハーセプチンしかしないのであれば)「非タキサンレジメン」となってしまいます。 これは一般的ではありません。
「状態や予後は悪いのでしょうか?」
⇒せっかくの早期乳癌です。
悪い筈がありません。
「あと、治療後に卵巣の機能が戻り妊娠など可能でしょうか?命が優先とは思っていますが、なかなか諦めきれない思いもあります。」
⇒38歳という年齢からは(いったんは化学療法閉経にはなっても)自然に回復する可能性も十分にあります。
ただし、「妊娠出産」を考えるのであれば、(化学療法前に)「卵子凍結をしておく」方が安全です。