[管理番号:2887]
性別:女性
年齢:54歳
2016年4月現在54歳6か月です。
2011年3月に(49歳5か月・閉経前)、ひだり乳房温存手術を行い、病理結果は以下の通りでした。
Ki-67の測定はありませんでした。
・浸潤性乳管がん(硬がん)
・組織学的ながんの広がりは10mm×10mm×10mm
・術中のセンチネルリンパ節生検でリンパ節転移は なし
・ホルモン感受性 ER 陽性(陽性細胞の占有率 5 陽性強度3)
PR 陽性(陽性細胞の占有率 5 陽性強度3)
・HER2 陰性
・脈管浸襲 なし
・核異型度 グレード1
・断端検査 陰性
なお、HER2については最初IHC法で(2+)だったため、
化学療法の有無を迷うとして、以下の検査を行った結果、陰性と判明しました。
・FISH法 シグナル比 1.0 HER2遺伝子増幅なし
・オンコタイプDX 再発スコア 16
10年平均再発率 10%(95%CI:8%―13%)
ERスコア 7.9
PRスコア 7.1
HER2スコア 8.2
結局化学療法は必要ない結論となり、2011年5月より放射線治療と、
ホルモン療法(タモキシヘェン服用)を始めました。
途中不正出血や卵巣の肥大(最大8cm)があり休薬したりしましたが、術後1年ほどで生理は止まり、卵巣も徐々に通常の大きさに戻りました。
現在は血液検査上も閉経状態です。
婦人科でエコーにより子宮と卵巣の経過観察を続けていますが異常なく、また腫瘍マーカー、マンモ、エコー、CT、骨シンチも異常ありません。
以上を踏まえてですが、あと3か月ほどでタモキシヘェン服用が丸5年間となるので以降の治療について医師と話したところ、「リンパ節転移もないし、オンコタイプも16と低リスクだから、これで治療終了でよいと思います。
あとは年に1回画像診断すればいいでしょう」と言われました。
引き続きアロマターゼ阻害薬を5年間服用するものとばかり思っていたので驚いてしまいました。
私のようながんの場合(ルミナルAタイプに分類されると思いますが)
5年以上経ってからの晩期再発が比較的多いこと、乳がんは遠隔転移してしまうと根治は難しいことを考えると、ここで治療を終了するのには正直不安があります。
オンコタイプDXでは10年以内の再発率について
は10%としていますが、術後10年後以降の再発については不明であり
再発しないためにはアロマターゼ阻害薬を飲むべきでしょうか?
タモキシフェンを5年間服用した後にレトロゾールを5年間服用すると再発率が42%減少するという臨床試験結果があるそうですが、もともと低い再発率の場合はどうなるのでしょうか?
再発率減少に与える影響が微小だとしたら、さらにアロマターゼ阻害薬を服用するまでもないでしょうか。
また副作用も気になります。
むち打ち事故の後遺症で肩関節が硬く肩こりもひどいので、筋痛や関節痛の副作用も心配です。
次回7月の診察時までに自分で決めていくことになったのですが、
調べた限りではどの因子がどうならば「タモキシフェン5年間服用だけで以降の薬は必要ない」と決められるのかわかりませんでした。
そこで質問をさせてください。
1.タモキシフェン5年間服用後の追加ホルモン療法について、なにか新 しい臨床試験結果やエビデンス、推奨療法等はありますか?
2.タモキシフェン5年間服用で得られると思われる私の10年平均再発 率10%は、今後レトロゾールを5年間服用することによって概ね何% になりますか?あるいは生存率がどの位上乗せされますか?(計算式も教えてください)
3.私はアロマターゼ阻害薬を飲む方がよいですか?だとしたら至適期間は何年ですか?種類はレトロゾールでよいですか?
4.副作用があった場合、服用を中止すれば元通りになりますか?(例えば関節痛があった場合、なくなりますか?)
5.ルミナルAタイプのホルモン療法は5年間・10年間のどちらが現在の主流ですか?
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「1.タモキシフェン5年間服用後の追加ホルモン療法について、なにか新 しい臨床試験結果やエビデンス、推奨療法等はありますか?」
⇒新しくはありませんが、
タモキシフェン5年より10年が有効であることは間違いありません。(ATLAS Long-term effects)
「2.タモキシフェン5年間服用で得られると思われる私の10年平均再発率10%は、今後レトロゾールを5年間服用することによって概ね何%になりますか?あるいは生存率がどの位上乗せされますか?(計算式 も教えてください)」
⇒申し訳ありませんが…
そのようなデータはありません。
「3.私はアロマターゼ阻害薬を飲む方がよいですか?だとしたら至適期間 は何年ですか?種類はレトロゾールでよいですか?」
⇒アロマターゼインヒビターとして5年間内服が推奨されます。
アナストロゾールでもエキセメスタンでもレトロゾールでも殆ど同等です。
「4.副作用があった場合、服用を中止すれば元通りになりますか?(例え ば関節痛があった場合、なくなりますか?)」
⇒その通りです。
「5.ルミナルAタイプのホルモン療法は5年間・10年間のどちらが現在の主流ですか?」
⇒現在は移行期にあります。
考え方としては、
①タモキシフェン内服中に閉経⇒アロマターゼインヒビターに変更して更に5年
②タモキシフェン5年終了時に閉経していない場合⇒タモキシフェンを更に5年間追加
♯タモキシフェンをどのような症例で10年まで延ばすべきかは未だ基準は有りません。