Site Overlay

術後の治療について

[管理番号:2666]
性別:女性
年齢:44歳
2月(下旬)日に右乳房全摘とお腹の肉を使っての再建手術を受けました。
昨日の外来で病理検査の結果を聞いたのですが、
今後の治療をどうしたらいいのか悩んでおります。
担当医にはホルモン治療はやった方がいいと思うが、
抗ガン剤と放射線をやるかやらないかは自分で決めてと言われました。
病理検査の結果
- Rt. C,3.2×1.2cm(最大浸潤径),scirrhous carcinoma,NG1,f,ly+,v
+,ER+,PgR+,HER2:1+,margin(-),sn(1/2)+n(1/27)
腫瘍細胞のNuclear gradeは1相当(核異型:中等度スコアー2)、核分裂
像:1個程度/10hpf(スコアー1)
免疫組織科学的にはHER2は1+の陽性、ER陽性(80%程度、moderate to
weak)、PgR陽性(40-50%程度、moderate to weak)、MIB-1陽性細胞数は
平均1-2%程度、hot spotで8%程度
抗ガン剤をやっても1%位しか再発リスクは減らないと言われたのですが、仕事もありますし、1%しか変わらないのであれば抗ガン剤はやらなくてもいいかな?と思うのですがご意見をお願いします。
放射線はやった方がいいのでしょうか?よろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT2(32mm), pN1, NG1, luminalA(Ki67 一桁)
質問者はNG1だし、Ki67も「一桁」なので「間違いなくluminalA」と言えます。
○luminalAでの化学療法の追加に対する考え方は
 ①St. Gallen 2015でのvotingでは「luminalAで化学療法の適応となるのはリンパ節転移4個以上が最も多い」
 ②SABCS 2015での発表で「リンパ節転移陽性もしくは腫瘍径5cm以上でも、化学療法によるbenefitは無かった」という報告
 ○私はというと、上記①②を参考にした上で「New Adjuvant.comでの上乗せの数字8%」から(化学療法は積極的には勧めず)「ホルモン療法単独」を推奨します。
「抗ガン剤をやっても1%位しか再発リスクは減らないと言われた」
⇒「1%」というのが、どこから出た数字なのか不明ですが、「抗ガン剤の効果は期待できない」と思います。
 
「仕事もありますし、1%しか変わらないのであれば抗ガン剤はやらなくてもいいかな?と思うのですがご意見をお願いします。」
⇒上記の通りです。
 私であれば「ホルモン療法単独」を推奨します。
 
「放射線はやった方がいいのでしょうか?」
⇒やらなくてもいいと思います。
 「乳房切除術後の放射線照射の適応は「リンパ節転移4個以上(乳癌診療ガイドライン 推奨度A)」と思います。