[管理番号:2278]
性別:女性
年齢:49歳
こんにちは。
半年くらい前から、左の乳首から分泌物が出るようになり、この2ヶ月は血が混じり、乳頭や脇に痛みを感じます。
マンモグラフィー、エコーとも異常なしで、いま分泌物の細胞診の結果を待っています。
病院では、これで異常がなければ様子見、とのことですが、自分では、痛みもあるので、放っておくのは心配です。
超低用量ピルを飲んでいますが、消退出血の前や、排卵に当たるときに、悪化するように思います。
検査をさらに受けるべきか、受けるなら、どのような検査があるでしょうか。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「乳頭分泌に対して、まともな診療がされていない」現状に、とても悲しくなります。
この回答を書いていて、「今週のコラムの題材」を決めました。(参考にしてください)
「今週のコラム 12回目 「この乳管系を完全に切除」することで、それ(後で周囲に癌が発生する事)も予防できるのです。」
「半年くらい前から、左の乳首から分泌物が出るようになり、この2ヶ月は血が混じり」
⇒分泌は「単孔性」なのでしょうか?
そこが「最も重要」なところです。
「単孔性分泌」であれば「血性、非血性にかかわらず、乳管内病変を疑わなくてはなりません」(血性の場合には、乳管内病変の中でも癌の確率が上がります)
「乳頭や脇に痛みを感じます。」
⇒これは「女性ホルモンによる刺激症状」でしょう。
この症状は「分泌とは切り離して」考えましょう。
「分泌物の細胞診の結果を待って」「病院では、これで異常がなければ様子見」
⇒とんでもない診療です。
「乳管内病変の可能性」についての話はないのですか?
(もしも単孔性ならば)乳管内病変の可能性を考えて「乳管造影すべき」ですし、逆に(多孔性ならば)「そもそも検査など不要」となります。
○いずれにしても「分泌液の細胞診」など無意味です。「ああ、細胞がありますね」で終了です。
「検査をさらに受けるべきか、受けるなら、どのような検査があるでしょうか。」
⇒分泌が「単孔性」か「多孔性」か、それが大事です。
「単孔性なら、乳管造影ができる乳腺外科医を探しましょう」
もしも多孔性ならば「気にする必要はありません。様子を見ましょう」
質問者様から 【質問2】
田澤先生
1月に管理番号2278で、乳頭からの出血について質問させて頂いた者です。
その際はご丁寧な回答とコラムをありがとうございました。
前回、単孔性か多孔性かが重要、と回答頂きましたが、私の場合、単孔から出血しております。
今日、もう一度病院に行き、乳管内乳頭腫からの出血の可能性が高いと診断されました。
検査結果には、炎症細胞や泡沫細胞の見られる血性背景に胞体が厚く、変体空胞を伴い、核腫大、核形不整を示す上皮性乳管状集塊を少数認める、と書いてありました。
ただ今の段階では、エコーでもはっきり確認できず、ごく小さいものだろうとのことで、針を刺しての細胞診や乳管造映は乳管を特定できないため、いまはできないそうです。
悪性であれば大きくなるので、6ヶ月後にエコーで大きさを確認する、ということで、いったん通院は終わりました。
血液の状態もサラサラで、悪性の可能性は低いと言われましたが、
完全に否定もできないそうです。
このまま、6ヶ月後までまっても良いでしょうか。
何度も恐縮ですが、
先生のご意見をまたお聞きしたく、よろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「乳管造影は乳管を特定できないため、いまはできない」
⇒これは「誤り」です。
乳管造影はむしろ「エコーではっきり確認できず、ごく小さいもの」を確認するためにあるのです。
これは、分泌孔を確認し、そこに造影剤を注入するだけです。
分泌孔さえ、はっきり同定できれば可能なのです。
「血液の状態もサラサラで、悪性の可能性は低いと言われました」
⇒全く無関係です。
「悪性の場合は血液そのもの(濃い)で、良性だと薄い」とでも思っているのでしょうか?
完全な「誤り」です。
「このまま、6ヶ月後までまっても良いでしょうか。」
⇒「単孔性」「血性」「40代後半」これらであれば、「乳管造影」で乳管内病変を証明し、「乳管(腺葉)区域切除」で確定診断すべきです。
○「腫瘍が小さすぎて、乳管造影ができない」など「全くナンセンスな言い訳」にすぎません。