[管理番号:2082]
性別:女性
年齢:84歳
田澤先生、よろしくお願いします。
84歳、トリプルネガティヴ乳がん、ステージⅣ、肺・リンパ節転移の患者の家族の者です。
8月に左乳房全摘、リンパ節転移ガンの摘出手術を受けました。
腎臓機能の低下もあります。
現在、主治医より、抗がん剤TS-1による治療を薦められています。
しかし、以下の理由により、抗がん剤治療には消極的です。
① b型肝炎があることから、抗がん剤治療を受けるには、バラクルードの継続的服用が必要であること。
(現在、B型肝炎の症状は出ていません)
② 全身的倦怠感が強く、今は食事が普通に摂れている事により、体力をかろうじて維持しているが、抗がん剤の副作用で食欲減退した場合、体力が維持できるかが不安。
一方、免疫細胞療法は、副作用が少なく、第4の治療法となってきているという情報から、免疫チェックポイント阻害剤の利用も含めた免疫療法を受けたいと思い、いくつかの病院で打診してみましたが、免疫療法の乳がんにおける効果が明確ではないため、抗がん剤治療を優先すべきという意見でした。
患者本人は、抗がん剤はできれば受けたくないが、ガンを治したいという気持ちは強くあります。
家族としても、根治は不可としても、できるだけ今の状態を維持し、1日でも長く生きていて欲しいと懇願しています。
① 抗がん剤治療を受けるべきでしょうか?
② バラクルードの永久的服用は大丈夫でしょうか?
③ 免疫療法については、どのようにお考えでしょうか?(抗がん剤療法と併用することも含めて)
どうぞよろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
84歳、肺転移ですね。
「腎機能の低下」も年齢相応のものでしょうか?
できるだけ維持を狙う治療ですね。
「転移性乳癌」ですから抗がん剤は「何でもあり」となります。
「治療を選択」する場合「経口抗がん剤:TS-1」の選択は一般的なものと言えます。
Another choiceとしては「点滴抗がん剤を少量投与 weekly PTXにbevacizumabをのせた積極的な治療」もありますが、これは「家族の積極的な賛成」がなければ実現しそうもない話です。
「① 抗がん剤治療を受けるべきでしょうか?」
⇒(ご本人、御家族の希望をかなえるものとしては)唯一の手段と言えます。
「② バラクルードの永久的服用は大丈夫でしょうか?」
⇒あまり問題ありません。
「③ 免疫療法については、どのようにお考えでしょうか?(抗がん剤療法と併用することも含めて)」
⇒(現段階で)乳癌に効果の有る免疫療法は皆無です。
○抗がん剤を「効果と副作用のバランスをみながら」使用することがいいと思います。
TS-1だとしても、「少量投与」など量を調整して行えば「副作用は許容できる」と思います。
質問者様から 【感想2】
田澤先生
早々のご回答ありがとうございました。
迷いがなくなりなした。
遠方に住む母に、これから出向いて、抗がん剤治療を勧めてみます。
悩んでいる人たちのためにと、先生の患者でもない方々のために、こうした活動をなさっていらっしゃる田澤先生に敬服しました。