乳がんの手術は江戸川病院|乳がんプラザ

こんにちは。田澤です。

 

「しまった!」

昨日、大阪で講習会があったので(開始が朝早かったので大阪に前泊しました。)pm5時過ぎには、新幹線の中。

すっかり「安部礼司」を聴くのを忘れてしまった!(「空飛ぶタイヤ」を読みふけっていました。大型トレーラーのタイヤが脱落したアレです。当時話題になった「ハブ」を覚えています)

 

と、いうことで「今週のコラム」が遅くなってしまいました。

再発治療に対する抗がん剤

6月18日3「遠隔転移の化学療法について」を回答していて、感じた事。

 

化学療法が先か、ホルモン療法でだらだらやってからか?

 

Key Wordは「いい状態を維持」です。

ホルモン療法でダラダラと病勢悪化を待ち、(病勢悪化することは予想していたことなのに)「この状態では抗がん剤は体に負担だからしないほうが良い」とは…

 

★結局、最初から「抗がん剤をしない」ように工程表を作成していることになります。

矛盾があるとはおもいませんか?

 

この質問者にも共通することですが、

皆さん(及び、ある種の医師)の考えの中に「抗がん剤は負担だ。私にはできないかもしれない。」という意識があるようです。

ネットを見ると「闘病記」なる「こんなにも抗がん剤はきつい」という文字ばかりが「一人歩き」しているのでしょう。

 

☆実際は…

抗がん剤には、かなりの種類があるのです。

「きつい」ものもあれば、「そうでもない」ものもたくさんあります。

特に再発治療に有効な抗がん剤は「きつくない」のです。

 

Bevacizumab + paclitaxel

投与スケジュール

Day1) bevacizumab + paclitaxel

Day8)paclitaxel

Day15)bevacizumab + paclitaxel

Day22)休み

これを「3投1休」と表現します。

・これは非常に「効果と副作用のバランス」がいい薬剤です。

効果は絶大であり(当院では、手術不能乳がんの大多数が、この3クール投与で手術可能となっています)それに比して副作用は軽微です。

・bevacizumabは分子標的薬であり、これ自体には一般的な抗がん剤の副作用(吐き気や脱毛)は一切ありません。(鼻血や高血圧が回を重ねると出てきますが、許容範囲といえます)

・paclitaxelは毎週投与なので、副作用は大したことがありません。(気を付けるのは「便秘」くらいであり、その他「脱毛」は3回目投与以降に「痺れ」は6回目以降に出ますが、「強烈」ではありません。)

・また「高齢者」には(bevacizumabはそのままで)paclitaxelだけ減量(8割程度)とすれば、「なんのことも無く」継続投与可能なのです。

 

Eriblin

投与スケジュール

Day1) eriblin

Day8) eriblin

Day15) 休薬

「2投1休」です。

・この薬剤も非常にバランスがいい薬剤です。

効果と副作用は(1に比べると)「効果は(若干)劣るが、副作用はより軽い」と理解するといいでしょう。

 

アンスラサイクリン、(EC, AC)

投与スケジュール

Day1) ファルモルビシン(アドリアマイシン)+エンドキサン

Day8) 休薬

Day15) 休薬

これは「1投2休」とは表現せず、「3週に1回投与(triweekly)」と表現します。

・伝統的にKey drugとして抗がん剤の中心的薬剤

・術後補助療法の主役

・副作用(吐き気)がネックであり、「効果と副作用のバランス」は上記(1、2)には及ばない。

・蓄積性の非可逆的心毒性があり、生涯投与量に制限がある。

 

ドセタキセル

投与スケジュール (2と同じ)

・アンスラサイクリンと並んでKey drug

・術後補助療法の主役

・副作用(強烈なだるさ、筋肉痛及び蓄積性の浮腫、痺れ)があり、(3同様)上記(1、2には)及ばない。

 

その他

・ビノレルビンやジェムシタビン、経口(TS-1、カペシタビン)がある。

・正直言って、これらの薬剤は「効果と副作用のバランスが逆転」していると感じる。

・(私は)積極的にこれらを勧めることがない。

 

再発治療にスタンダードはありません。

(抗がん剤を使わず、ホルモン療法でダラダラする遣り方も無論あります。

ただ、上記薬剤の特性を知って、患者さんが積極的ならば

 

効果と副作用のバランスがとれた抗がん剤で「いい状態を維持」するやり方があることを知ってもらいたいのです。

例)

1.あくまでも「ホルモン療法」から開始し、(病勢が悪化したら)「抗がん剤も考慮しましょうね」パターン

ホルモン療法→「病勢が、次第に悪化。病変の進行に伴う症状が出現」→(この状態で)抗がん剤を開始しようとしても(身体がきつくて)減量せざるをえない→効果が今一つのまま病勢悪化

2.抗がん剤を開始し、「画像上、CR:complete response 完全緩解(を狙う)」→(病状がいい状態を)ホルモン療法で維持→(ホルモン療法で病状再悪化したら)抗がん剤の再登場

このケースは『今週のコラム 123回目 QOLを保ったまま(胸部Xpも正常だし、無症状)、副作用も問題なく継続できる。』を参照してください。

 

たしかに、2であっても(ホルモン療法で)「永遠に維持はできない」かもしれません。(永遠に維持=根治は再発乳癌では数%以下なのです)ただ、逆に言えば「0%ではない」のです。

 

☆再発治療で「根治を目指しましょう」とは(私も)言いません。

ただ「長期コントロールの先には(もしかして)根治があるかもしれない」

そう思うのです。