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全摘出手術を急ぐべき?

[管理番号:3064]
性別:女性
年齢:54歳
5月マンモ、エコー検診で右乳房しこり(エコー上3.6X3.2cm)が見つかり、(毎年マンモ検診を受けていたのに、発見されず。)、針生検。
結果は、ER陽性、PR陽性、HER2陰性(スコア+1)、
KI167陽性率47.6%、浸潤性乳管癌、硬癌相当の像。
波及は少なくともF,明らかな乳管内癌成分は見られない。
検診を受けたA病院:乳房MRI,PET-ct(5/(下旬)受診予定)、
結果を踏まえ、術前抗がん剤後、温存手術。
術後、放射線、薬物療法。
再建希望の場合は大学病院に紹介。
各種再建対応可。
予約待ちが多いが、術前抗がん剤終了後に手術できると思われる。
以前受診していたB病院;乳がん執刀約1000件、20年、再建もしている。
確定診断前に受診、エコー、相談。
リンパに1つくらい転移が?
頭が真っ白でよく覚えていません。
Q1.硬癌?、KI167が高く、転移がどんどん進んでいるようで気が気ではありません。
転移のスピードは?
Q2.KI167が高い、腫瘍が大きい、転移・再発が不安等の
理由から、温存にはこだわらず、命を優先し、全摘手術、再建を相談してみようかとも思っています。
先生は、同様に思われますか?
Q3.先生の治療方法としては、どのようにお考えでしょうか?
Q4.B病院にはマルチCTがあるそうです。
PET-ctは、受けた方が、術前情報量が増えて、良いでしょうか?家族は、PETを受けれるのなら、受けておいてはと申しております。
Q5.再建を考えるなど後回しにして、腫瘍摘出を急ぐべきでしょうか?
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
ルミナールタイプ
乳房温存手術を目的とすれば「術前化学療法」は適応となります。
ルミナールタイプでは「抗ガン剤が効きにくい」わけですが、Ki67=47.6%であれば効果が有る可能性はあります。
「Q1.硬癌?、KI167が高く、転移がどんどん進んでいるようで気が気ではありません。転移のスピードは?」
⇒乳癌は、そんなに目に見える進行はありません。
 ご安心を。 「硬癌とかKi67とか、ネットの余計な情報」は見ない方がいいでしょう。
 
「Q2.KI167が高い、腫瘍が大きい、転移・再発が不安等の理由から、温存にはこだわらず、命を優先し、全摘手術、再建を相談してみようかとも思っています。先生は、同様に思われますか?」
⇒再建が「手術日程に悪影響しない」のであれば、それでいいと思います。
 
「Q3.先生の治療方法としては、どのようにお考えでしょうか?」
⇒温存の希望が有るのであれば「術前化学療法を選択」してもいいですが、ただし
「3週毎には腫瘍が大きくなっていないかのチェック」と、もしも増大した場合の
「手術枠の確保」が必須です。
 温存に拘らないのであれば「当然、手術先行」で問題ありません。
 ただ一般的に「同時再建を選択」すると「日程が先になる」事情があるので、(日程が先となる事に)心配ならば(再建無の)「乳房切除⇒後日2次再建」でいいと思います。
 
「Q4.B病院にはマルチCTがあるそうです。」
⇒全く無駄な検査です。
 
「PET-ctは、受けた方が、術前情報量が増えて、良いでしょうか?」
⇒全く無駄な検査です。遠隔転移などありえません。
 無駄どころか有害なのです(医療被曝)
 
「Q5.再建を考えるなど後回しにして、腫瘍摘出を急ぐべきでしょうか?」
⇒差し迫った状況とは思いませんが…
 同時再建を選択した場合に、「手術日程が大幅に遅れる」のであれば「再建無の手術」の方がより安心です。